Z世代の92%が有名セレブよりもソーシャルメディアインフルエンサーを信頼している今日では、インフルエンサーマーケティングにチャレンジしていない大企業はもはや存在しないといっても過言ではないでしょう。2018年のインフルエンサーマーケティングは、2008年でいう「SEO」と同じです。
CEOやCFO、COOの注目を集めるには十分な実績があるインフルエンサーマーケティングですが、過去5年間を振り返ってみると、ブランド、プラットフォーム、インフルエンサーがそれぞれ急速にアプローチする方法を変えてきました。
今回は、日々変化するインフルエンサーマーケティングをうまく戦略に取り入れるために考慮すべき重要な点を7つご紹介します。
目次
- 予算の拡大
- よりユニークかつクリエイティブに
- 信憑性の追求
- インフルエンサーマーケティング広告の台頭
- インフルエンサー起用に対する責任がより重くなる
- B2Bインフルエンサーの増加
- より使いやすいプラットフォームの登場
- まとめ
予算の拡大
まず最初に、予算が増加しています。予算の拡大はインフルエンサーマーケティングが変化する最大の推進力となるでしょう。調査によると、インフルエンサーマーケティング広告の支出は2015年にはわずか5億ドルでしたが、2020年までには10億ドルまで増加すると言われています。
・より多くのインフルエンサー事務所が登場
・クリエイティブなコンテンツ制作のための予算の増加
・有料スポンサードポストのための予算の増加
・より多くの広告規制
・より多くのプラットフォームの関与
インフルエンサーマーケティングには上記のような傾向が見られます。
インフルエンサーマーケティングは、初期の頃は挑戦的で未知のものでしたが、今日ではインフルエンサーマーケティングに関する何千もの成功事例を見つけることができます。こういった成功事例を構築し、メディアとCEOたちの注目を集めることで、マーケターは予算拡大を進めることができます。
よりユニークかつクリエイティブに
2016年、テレビタレントのScott DissickさんはプロテインパウダーをSNSで宣伝する際、投稿する写真のキャプションを指定されましたが、それがこの商品のダイレクトメールのコピー&ペーストだったため「インフルエンサーマーケティングはよくない可能性がある」と世界に発信しました。この逸話はマーケターの不備の極端な例ですが、ブランドがキャンペーンをどのように実行しているかについての問題を垣間見ることができます。
世間の注目と予算が増えるにつれて、インフルエンサーのオリジナルのコンテンツから有料スポンサードポストまで、できる限り「シームレスに見えるよう作成する」ことが求められています。昨今のSNSユーザーは、スポンサードポストとインフルエンサーが本当に楽しんでいる投稿を、簡単に区別できるようになりました。そのため、ブランドとインフルエンサーマーケティング代理店は、キャプションの作成方法、写真とビデオの内容、およびコンテンツ展開方法について、より慎重に検討する必要があります。
インフルエンサーの個性とオリジナルの文章を統合した、クリエイティブなビデオコンテンツの利用も増加しています。Instagram Storiesも、よりユニークでインフルエンサー独自のビデオコンテンツと投稿を組み合わせたツールとして今後もっと広がりを見せるでしょう。
信憑性の追求
消費財メーカーから飲食店、小売業者を担当する170人のマーケターを対象に実施したインフルエンサーマーケティング調査では、87%の回答者が「インフルエンサーマーケティングの最大のメリットは、自社ブランドに関する偽りのないコンテンツを作成してもらえること」と述べました。このメリットを失わないようにするためには、信憑性を示すためのステップを踏む必要があります。
例えば、動画インフルエンサーマーケティングの成長を担うビデオプロダクション企業「Clum Creative社」CEOであるMike Clumさんは、「広告と同時に、広告作成の舞台裏を見せる長編ビデオを公開することで、ブランドとインフルエンサーの両方のファンと、より深い信頼関係を築くことができます。」と語りました。
GoldShark社とYouTuberのKOLDさんのコラボレーションの舞台裏で、その好例が見られます。コンテンツ作成過程を映した8分間のビデオでは、作成されたコンテンツに費やされた大変な作業行程を記録しただけでなく、GoldShark社の製品に対するKOLDさんの情熱も示されていました。この舞台裏を撮影したビデオを公開したことによって、KOLDさんのYouTubeチャンネルに投稿された完成形のビデオはより意味を持ったダイナミックなものへと変化し、最終的に多くのエンゲージメントを生み出した素晴らしいインフルエンサーマーケティングキャンペーンコンテンツになりました。
インフルエンサーマーケティング広告の台頭
ブランドによる公式な宣伝投稿だけでは、2019年以降は十分な効果が得られません。今後さらにインフルエンサーマーケテイングキャンペーンは台頭し、有料スポンサードポストが増えていくでしょう。こういった投稿はブランドとインフルエンサーの両方にメリットがあるため勢いを増し、ブランドの公式アカウントが発揮する宣伝効果は減っていく傾向にあります。
ニュースフィードアルゴリズムにおいて、FacebookやInstagramのインフルエンサーコンテンツがどれほど優先されているかを考えると、自社広告のエンゲージメントだけに頼ることは、あまりにリスクが高すぎます。
インフルエンサーとタイアップして有料スポンサードポストを利用することにより、ブランドはエンゲージメントだけでなく販売の所有権と管理権も得ることができます。
インフルエンサー起用に対する責任がより重くなる
Unilever社が偽のフォロワーを持つインフルエンサーを公に糾弾し、タイアップを行わないと宣言した日から、広告業界に波紋が広がりました。 2012年のTwitter最盛期の頃から、多くのデジタルマーケティング担当者が偽フォロワーの存在は知っていましたが、このUnilever社の発言によってタイアップするインフルエンサーとの対話に対する意識が高まりました。
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ブランドは、「FakeCheck.co」「HypeAuditor」「TwitterCheck」といったシンプルなツールを使用して偽フォロワーをチェックしています。こういったアプリにより、インフルエンサーのフォロワーのうち何パーセントが本物であるかをすばやく確認できます。
偽フォロワーに関してはブランドだけでなく、スポンサーシップの明瞭さを求めてさらなる規制や要求を推進している「FTC(連邦取引委員会)」およびその他の政府規制当局からも、インフルエンサーに対して説明責任が求められています。カナダは公式のインフルエンサーマーケティング広告の基準を公開するまでに至っていますし、ほかの国々も随時インフルエンサーマーケティング広告の規制を固めていく傾向にあります。
偽のフォロワーやbotによるエンゲージメントは明確に判断できない場合もありますが、インフルエンサーを選定する段階では慎重になる必要があります。疑惑を持ったままタイアップしないためにも、上記のような偽フォロワー検出ツールを利用して損はありません。
B2Bインフルエンサーの増加
B2Bビジネスはインフルエンサーマーケティングには向いていない、というのは全くの誤解です。B2Bインフルエンサーは、今後インフルエンサーマーケティングを続けるならば真剣に取り組むべきインフルエンサーグループです。
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ビジネス特化型SNSである「LinkedIn」に所属しているB2Bインフルエンサーたちは、企業のCEOやマーケター、コンサルタントなどで構成されている5000〜100,000のフォロワーを持つマイクロインフルエンサーです。なので、信憑性の高い長文のテキスト投稿やビデオコンテンツで非常に高いエンゲージメント率を得ることができます。
例えば、外資系転職ブランド「The Bridge Group社」のCEOであるTrish BertuzziさんもLinkedinのB2Bインフルエンサーです。彼女の投稿は、説得力のある逸話やストーリーを通して人間関係の価値とマーケティングへの信頼を強調しています。
またTrish Bertuzziさんは自身の経験談や短編ビデオなど、LinkedInユーザーが簡単にアクセスできる魅力的なマルチメディアコンテンツを作成しています。彼女はCEOでありながら多くのコメントを投稿し、B2Bセールス、マーケティング、起業家精神に関する会話にも積極的に参加している人気のB2Bインフルエンサーです。
さらに、フォロワー数の多いマクロインフルエンサーと比べると低価格でタイアップできるため、B2Bブランドにとって最高のタイアップ相手として、B2Bインフルエンサーは現在注目を集めています。
より使いやすいプラットフォームの登場
インフルエンサーマーケティング代理店がマーケティング予算の増加量が多いブランドに自然と惹かれていく一方で、インフルエンサーマーケティングプラットフォームは、ブランドが自社の公式チャンネルを持ち込むことをより簡単にしています。
インフルエンサーマーケティングプラットフォームを使用すると、
・インフルエンサーの検索
・フォロワーに関連する指標の分析
・キャンペーンに適したインフルエンサーの検索
上記だけでなく、選定したインフルエンサーとのタイアップ予約を迅速に行うことができます。
例えば、15万人以上のインフルエンサーデータベースを持つ「AspireIQ」は、特定のキャンペーンのためにブランドとインフルエンサーを一致させる「クイックマッチ」が可能な検索エンジンを持っています。また「Hypr」はインフルエンサーごとに異なるグループのリストを作成する機能がある管理ツールを使用できるプラットフォームで、手頃に利用価格を設定できる「Upfluence」はインフルエンサーマーケティングキャンペーンの成果をトラッキングできるツールに特化しています。
こういったインフルエンサーマーケティングプラットフォームを利用すれば、代理店やタレント事務所が行う仕事を、たった数回のクリックで簡単に実施することが可能です。
まとめ
今回は、インフルエンサーマーケティングの変化について7つのポイントに分けて紹介しました。
2019年以降、ますます勢いを増すと予測されているインフルエンサーマーケティングですが、インフルエンサーの需要の増加に伴い「偽フォロワー」や「偽のエンゲージメント」が増えるという点でも注意する必要があります。またその人気が高まるにつれてインフルエンサーマーケティングに関連する企業や代理店、プラットフォームも増えていくのは事実です。
関連事業の増加に伴って「どこに登録すべきか」という問題は発生しますが、コストパフォーマンスの良い便利なツールは、自社のキャンペーンに応じて積極的に利用することがマーケティング戦略の成功に繋がります。B2Bブランドなら、新たに注目を集めているB2Bインフルエンサーとタイアップすることで大きな結果が得られるでしょう。
様々な変化を伴うインフルエンサーマーケティングですが、ブランドに合ったインフルエンサーを選定し、クリエイティビティに任せてコンテンツ作成を依頼できる信頼関係をタイアップしたパートナーと築くことが、変わらない重要な点だと考えられます。
おすすめ記事:費用対効果抜群の「オーガニックインフルエンサーマーケティング」とは?
参考:https://socialmediaexplorer.com/social-media-marketing/7-ways-influencer-marketing-is-changing-and-how-marketers-can-keep-up/
https://www.integrate.com/blog/linkedin-b2b-marketing-8-influencers/
https://influencermarketinghub.com/top-influencer-marketing-platforms/