インフルエンサーマーケティング・アワード2019の受賞企業から学ぶキャンペーン事例【前編】

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インフルエンサーマーケティングは、今や世界で最もホットなマーケティング戦略として、さまざまなジャンルのブランドが採用しています。そんな中、2018年1月から2019年1月までの12ヶ月間に優れたパフォーマンスを発揮したキャンペーンが選ばれる「インフルエンサーマーケティング・アワード2019」の表彰式が、2019年3月にロンドンのシェラトングランドホテルにて開催されました。

今回の記事では、この表彰式で金賞を受賞した14部門のブランドを前編・後編に分けてご紹介。前編では、大賞を含む食品・飲料部門、トラベル部門/ クリエイティブ部門、ファミリー・子育て部門/ ベストコラボレーション部門、ホーム・ガーデン部門、テレコム部門、スポーツ・フィットネス部門の6つをお届けします。

おすすめ記事:インフルエンサーマーケティング・アワード2019の受賞企業から学ぶキャンペーン事例【後編】

目次

    1. 前編

    2. 食品・飲料部門:Holland & Barrett社
    3. トラベル部門/ クリエイティブ部門:Eindhoven365社
    4. 【大賞】ファミリー・子育て部門/ ベストコラボレーション部門:Renault UK社
    5. ホーム・ガーデン部門:Liquid-Plumr社
    6. テレコム部門:Deutsche Telekom社
    7. スポーツ・フィットネス部門:ŠKODA UK社
    8. まとめ
    9. 後編

    10. ファッション・スタイル部門/ インフルエンサー融合部門:NET-A-PORTER社 & JW Anderson社
    11. 健康部門:Benenox社
    12. ビューティー部門:Boots社
    13. ROI効果部門:KFC社
    14. エンゲージメント率部門:NIVEA社
    15. まとめ

食品・飲料部門:Holland & Barrett社

健康食品およびサプリメントのブランドであるHolland & Barrett社は、自社で扱うマヌカハニーの品質に関するキャンペーンを実施しました。イギリスでは偽物のマヌカハニーが多く出回っていることに触れ、Holland & Barrett社におけるマヌカハニーの品質に対する姿勢をアピール。同社では、原産国ニュージーランドが設定するハイスタンダードの基準をクリアした、100%ピュアなマヌカハニーのみを扱っていることを強調しました。

このキャンペーンでは、イギリスのトップインフルエンサー5人が起用され、インスタグラムをはじめとしたソーシャルメディアプラットフォームにて、Holland & Barrett社のマヌカハニーの品質が高いことを伝えるコンテンツがアップされました。中でも反響が大きかったのが、インフルエンサーたちも参加したマヌカハニーのエデュケーショナルイベントです。このキャンペーンの結果、Holland & Barrett社は年間売上の89.7%をわずか4週間で達成するという快挙を成し遂げました。

トラベル部門/ クリエイティブ部門:Eindhoven365社

Eindhoven365社は、オランダのエイントホーフェン市の都市マーケティングを行っている企業です。同社はインスタグラムのストーリー機能を活用したエキサイティングなキャンペーンによって、トラベル部門とクリエイティブ部門の2部門にて金賞を取得。有力候補だったNational Geographic社やAX社を抑えての受賞となりました。

このキャンペーンは、隣国ベルギーのインフルエンサー16人とタイアップし、エイントホーフェン市内を舞台にした48時間のミステリーツアーを楽しんでもらうというものです。彼らに事前に明かされていたのは最終目的地のみで、それぞれのオーダーメイドプログラムに従い、ホテル、バー、レストラン、ショップなど、その都度次の目的地が知らされるというユニークで斬新な内容でした。アワードの審査員は「インフルエンサーマーケティングの可能性に挑戦したこの企画によって、Eindhoven365社はインフルエンサーたちと契約ではなく心でつながることに成功しました。この魅力的でワクワクするキャンペーンにはリスクもありましたが、そのクリエイティビティによって目標以上の結果を達成したのです」とコメントしました。

【大賞】ファミリー・子育て部門/ ベストコラボレーション部門:Renault UK社

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1 on 1 time with my girls is important, yet when we're at home, the chances of that occuring are rarer than a steak that's still mooing. Therefore the car is really the only place it happens these days. Being uncomfortable with silence & wanting to avoid the obligatory game of 'I spy' that invetiably ends up either very obscure or toilet related after 5 rounds, I've taken to adopting the role of a human based in-car entertainment system that must perform on-demand & end up doing some pretty strange things to keep boredom at bay, the latest of which are impromptu impressions. It's like driving around in a very mediocre mobile royal variety show performance. That said, I'd do anything to make them think I'm more than just a never ending stream of groan-worthy dad jokes. I'm particularly proud of my orange impression – a lesser man may have crumbled at that request, but my A level method acting got me through. Just don't ask me to do a banana's voice, I wouldn't know where to start. #incarentertainment #allorangesareoldamericansright #notjustdadjokes #morethandadjokes #whyanorange #taxi #availableforkidsparties #behindcardoors @renaultUK #fatherofdaughters #dadlife #ad #instadad

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大手自動車メーカーのRenault UK社は、自社のミニバンであるルノー・セニックのプロモーションのためにインフルエンサーキャンペーンを実施しました。「家族」をテーマにしたこの企画は、子育てをメインコンテンツとするインフルエンサー2人とタイアップし、彼らの家族の様子を1年間に渡って発信するというものです。彼らはファミリー・子育て部門およびベストコラボレーション部門の金賞に加え、インフルエンサーマーケティング・アワード2019の大賞も受賞し、3冠を達成しました。

「忙しい現代、車の中こそ家族の時間を過ごすのに最適な場所である」というコンセプトで企画されたこのキャンペーンでは、それぞれの家族が1年間で計12のコンテンツを投稿。#BehindCarDoorsのタグと共に家族のリアリティドラマが拡散され、大きな反響を呼びました。このキャンペーンは約1億5,900万人にインパクトを与え、視聴の結果、ルノー・セニック購入にポジティブであると回答したオーディエンスは78%にまで上昇。各メディアも大々的に取り上げ、大成功を収めました。

ホーム・ガーデン部門:Liquid-Plumr社

排水管クリーナーを扱うLiquid-Plumr社は、商品のプロモーションのためTV等によるマーケティングを行っていましたが、思ったような成果が出せずにいました。そこで消費者がどのような経緯で排水管クリーナーの購入に至るかを調査した結果、「DIYサイトなどを参考に自分で解決しようと試みるものの、最終的に市販の排水管クリーナーを購入する」ということが判明。その際、ほとんどの人が「聞いたことがあるブランドだから」という理由でライバルのDrano社の商品を購入していることが分かりました。

これを受けて、Liquid-Plumr社はブランドの認知拡大と自社商品の効能のアピールするためにインフルエンサーマーケティングに乗り出しました。「Will It Clog」というタイトルで実施されたこのキャンペーンは、インフルエンサーが髪、石鹸、ベーコン、チョコレートクッキーなどさまざまなものを排水管を詰まらせ、同社の商品がそれを解消できるかという実験スタイルで行われました。インフルエンサーには、過去に「Will It 〇〇?」というシリーズを行ってきた人気YouTuberデュオVAT19を起用。これまでのプロモーションにはなかったリアルな演出は大きな反響となり、7,500万人以上が視聴したほか、Liquid-Plumr社は2015以来のシェア成長率を記録しました。

テレコム部門:Deutsche Telekom社

Deutsche Telekom社は、インフルエンサーの力によってEli Traumの「有名なミュージシャンになりたい」という夢を叶える「Eli’s Dream」キャンペーンを実施し、テレコム部門の金賞を受賞しました。タイアップしたインフルエンサーたちは、ライブストリーミング、インタビュー、ビデオなどさまざまな形でEliを取り上げ、自分たちのソーシャルメディアプラットフォームで紹介。情熱とイマジネーションを駆使して、Eliの才能をアピールしました。

この型にはまらない斬新なキャンペーンは、3,000万人以上のオーディエンスに届き、Eliのインスタグラムのアクセスは2ヶ月で600%も上昇しました。またエンゲージメント率は8%を超え、Eliの夢を叶えると共にキャンペーンは大成功を収めました。

スポーツ・フィットネス部門:ŠKODA UK社

ŠKODA UK社は自転車メーカーとして創業し、現在ではヨーロッパの老舗自動車メーカーとして知られるブランドです。同社は女子サイクリングのインフルエンサーとタイアップし、スポーツ業界における男女平等を訴えるキャンペーンを実施しました。

今日におけるイギリスの女子サイクリングは、オリンピック金メダルの受賞やワールドタイトルの獲得など、素晴らしい活躍を続けています。にも関わらず、世界で最も有名な自転車レースであるツール・ド・フランスは男子しか参加できないなど、男女の間には埋めがたい格差がありました。ŠKODA UK社とタイアップしたインフルエンサーたちは、ソーシャルメディアプラットフォームを通して、サイクリング界における男女平等と多くの女性のサイクリング参加を訴え、女性たちの夢を応援。緑のテープを自分の自転車に貼ることでキャンペーンをサポートしようと呼びかけました。

審査員に「インフルエンサーマーケティングのあるべき姿としてお手本のような存在」と評されたこのキャンペーンは、2,200万人のオーディエンスに影響を与えたほか、若い女性のアクセス数が118%増加するなど、目覚ましい結果を残しました。

まとめ

今回は、インフルエンサーマーケティングアワード2019の受賞企業として6つの部門をご紹介しました。いずれも明確なテーマを元に、元来のマーケティングに縛られないクリエイティブなアイディアが受賞につながったと言えるでしょう。新しい試みは常にリスクをはらむものですが、その危険を恐れず新しい世界に挑戦することは、インフルエンサーマーケティングの新たな可能性の開拓にもつながります。

後編では、ファッション・スタイル部門/ インフルエンサー融合部門、健康部門、ビューティー部門、ROI効果部門、エンゲージメント率部門にて受賞したキャンペーンをご紹介します。こちらもぜひご覧ください。

おすすめ記事:インフルエンサーマーケティング・アワード2019の受賞企業から学ぶキャンペーン事例【後編】

 

参考:https://influencermarketingawards.com/2019/winners/
https://www.thedrum.com/news/2018/08/03/holland-barrett-cmo-bringing-transparency-wellness-we-don-t-make-up-stories
https://www.eindhoven365.nl/nl/updates/another-city-trip-winnaar-bij-internationale-influencer-marketing-awards
https://shortyawards.com/11th/will-it-clog-2
https://www.pulse-advertising.com/blog/2019/03/28/best-telecoms-campaign-pulse-wins-another-award/?utm_source=facebook&utm_medium=socialmedia&utm_campaign=blog18
https://www.telegraph.co.uk/cycling/inspiring-women/time-for-change/

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