2018年1月から2019年1月までの12ヶ月間に行われたインフルエンサーマーケティング・キャンペーンにおいて、優れたパフォーマンスと結果を残したキャンペーンを表彰する「インフルエンサーマーケティング・アワード2019」。今回は6部門をご紹介した前編に続き、後編としてファッション部門、健康部門、ビューティー部門、ROI効果部門、エンゲージメント率部門の5つをお届けします。おすすめ記事:インフルエンサーマーケティング・アワード2019の受賞企業から学ぶキャンペーン事例【前編】
目次
- 前編
- 食品・飲料部門:Holland & Barrett社
- トラベル部門/ クリエイティブ部門:Eindhoven365社
- 【大賞】ファミリー・子育て部門/ ベストコラボレーション部門:Renault UK社
- ホーム・ガーデン部門:Liquid-Plumr社
- テレコム部門:Deutsche Telekom社
- スポーツ・フィットネス部門:ŠKODA UK社
- まとめ
- ファッション・スタイル部門/ インフルエンサー融合部門:NET-A-PORTER社 & JW Anderson社のキャンペーン
- 健康部門:Benenox社
- ビューティー部門:Boots社
- ROI効果部門:KFC社
- エンゲージメント率部門:NIVEA社
- まとめ
後編
ファッション・スタイル部門/ インフルエンサー融合部門:NET-A-PORTER社 & JW Anderson社のキャンペーン
ファッションブランドであるNET-A-PORTER社とJW Anderson社は、カプセルコレクションのプロモーションとして、インフルエンサーを起用したキャンペーンを実施しました。このコレクションは19世紀半ばのイギリスにおける芸術と新教育運動をコンセプトとしたもので、「アートのためのアート」「モダン・フェミニン」をテーマにマーケティングが展開されました。
NET-A-PORTER社とJW Anderson社はインフルエンサーを起用するにあたり、フォロワー数よりも彼らの芸術的才能と自分たちのストーリーをオーディエンスに伝える才能を重視しました。選ばれた5人のアーティスト・インフルエンサーたちは、このコレクションをモチーフにしたアート作品を制作。コレクションのラインアップを身にまとい、作品と共にぞれぞれのストーリーをコメントしたコンテンツを発信しました。その結果、これらのコンテンツはわずか30日間で34万人ものオーディエンスに拡散され、ストーリービューの閲覧は128%上昇。インスタグラムのエンゲージメントは1万9,000に上り、計29のコンテンツによる全体のエンゲージメントは4万6,600を超える成果を挙げました。
健康部門:Benenox社
Benenox社が扱うエナジーブースト・サプリメントBenenoxは、夜寝る前に飲むタイプの栄養補助食品です。同社はこのサプリメントのプロモーションとして、「ミレニアル世代の『よく働き、よく遊ぶ』という考え方から離れ、良質な眠りとエネルギーに満ちた朝を迎えてほしい」という思いをコンセプトとしたキャンペーンを実施しました。
このキャンペーンでは、150人以上のインフルエンサーにBenenoxのサンプルが配布されました。そのうち25人がBenenoxに関するコンテンツをソーシャルメディアプラットフォームに投稿し、自分たちの多忙な生活で同製品をどのように活用しているか、どのような効果があったかをコメントしました。中でも、インスタグラムで14万8,000人のフォロワーを持つGrace Victoryは、このキャンペーンのメイン・インフルエンサーとして起用され、2週間続けてBenenoxを摂るチャレンジを実行。長年彼女を悩ませている不眠症に対し、どのような効果があったかを発信しました。
このキャンペーンはインスタグラム・YouTube・ブログを合わせ計135万人のオーディエンスに拡散されたほか、70以上のメディアに取り上げられ、Benenoxの売上は15%アップを記録しました。
ビューティー部門:Boots社
スキンケアアイテムやコスメを扱うBoots社は、同社初の開催となるBoots Beauty Festivalのプロモーションのため、インフルエンサーとタイアップしたキャンペーンを実施しました。ターゲットは美しさに最も敏感な16~24歳とし、その世代に人気のあるインフルエンサーとタイアップすることで、フェスティバルの魅力をオーディエンスにアピールしました。
このキャンペーンで起用されたSophieは、インスタグラムで34万8,000人のフォロワーを持つイギリスで最も有名なビューティーインフルエンサーです。ターゲットと同世代の彼女は、Boots社が扱うコスメティックアイテムを使った華やかなメイクを披露するとともに、当日は最新の流行コスメやコンテストもある旨をコメント。インフルエンサーのページで紹介された商品は売上が26%のアップするなど大きな成果を挙げたことから、同社はこのイベントを毎年行う予定であるとしています。
ROI効果部門:KFC社
フライドチキンのチェーン店として有名なKFC社は、インフルエンサーマーケティングをよく活用することで知られるブランドです。今回、新たにゲーム業界へ参入するためにKFC Gamingを立ち上げ、新たな分野への開拓がスタートしました。KFC Gamingは、新規参入した同社が競争の激しいゲーム業界を生き残るためにはブランドの認知拡大が必須として、インフルエンサーとタイアップしたキャンペーンを実施しました。
KFC Gamingは、ゲームインフルエンサーたちにKFC社のフライドチキンの無料券を配布し、インフルエンサーはYouTubeなどでKFC Gamingについてのコンテンツをアップしました。その結果、1,660万人を超えるオーディエンスに拡散され、わずか48時間で78万8,220を超えるエンゲージメントを達成。競争率の高かったROI効果部門の金賞を飾りました。
エンゲージメント率部門:NIVEA社
化粧品ブランドのNIVEA社は、男性用の商品を取り扱うNIVEA MENにおける新たなイメージ戦略のため、インフルエンサーとタイアップしたキャンペーンを実施しました。これまでの平凡なイメージを払しょくし、現代の男性のニーズに合ったブランドとして認知させ、オーディエンスの日々の生活の中にブランドを浸透させることが目的です。このキャンペーンは、NIVEA MENとスポンサーシップを結ぶサッカーチームのレアル・マドリードとコラボし、元来の「企業から個人へのアプローチ」ではなく「人と人とのつながり」をコンセプトとした視点で展開されました。
NIVEA MENは、世界中から計31人のインフルエンサーをマドリードへ招待し、レアル・マドリードの日常を体験できるツアーを実施。さらにフォロワーの中から選ばれた人がこのツアーに参加できるという企画も行われ、このキャンペーンは#PrepareWithNiveaMenのタグと共にまたたくまに世界中に拡散されました。結果として、シェアやいいね!といったポジティブなアクションは180万に達し、エンゲージメント率は業界標準値の2.5倍にあたる8%を記録しました。
まとめ
以上、インフルエンサーマーケティング・アワード2019で金賞を受賞したキャンペーン事例を、前編と後編の2回に分けてご紹介しました。
ファッション・スタイル部門で受賞したケースではアーティスト・インフルエンサーによるアート作品とストーリー性のあるコメントでコレクションを宣伝し、ビューティー部門で受賞したケースではターゲットを的確にとらえたアプローチで結果へとつなげました。またエンゲージメント率部門を制したNIVEA MENのように、スポーツスポンサーシップを通して、オーディエンス全体を巻き込んだケースもありました。
インフルエンサーマーケティングの魅力は、柔軟な発想力と企画力を駆使することで、限りないアプローチが可能な点です。今回の受賞したキャンペーンもその代表的な例と言えるでしょう。インフルエンサーマーケティングは、2019年以降もますます多様化していくことが予想されます。
おすすめ記事:インフルエンサーマーケティング・アワード2019の受賞企業から学ぶキャンペーン事例【前編】
参考:https://influencermarketingawards.com/2019/winners/
https://hypebae.com/2018/9/jw-anderson-net-a-porter-spring-summer-2019-capsule-campaign
https://www.prweek.com/article/1583278/case-study-waking-millennials-used-promote-energy-supplement-launch
https://www.influencerupdate.biz/news/67638/kfc-has-launched-a-new-gaming-brand/
https://www.youtube.com/watch?v=q9e152zTX8s