「透明性」が求められる美容業界とインフルエンサーマーケティングへの影響【前編】

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今、美容業界では「美の透明性」を高めようとする動きがあります。「美の透明性」とは、美容業界における倫理観と信頼性を指した言葉です。

コスメ、ヘアケア、スキンケアなどのブランドが属する美容業界は、長年の間、原材料の品質、小売価格の値上げ、製造過程などの重要な情報を消費者がほとんど知ることができないという問題が指摘されてきました。また、商品のターゲット層やモデルの選択に「人種的な偏りがある」という非難もありました。

美容業界に限らず、ネット上で様々な情報が手に入る状況になった今、企業は経営の透明性を高め、消費者に信頼してもらえなければ商品は売れません。

消費者の「美容製品に対してもっと様々なことを知りたい」という需要が、美容業界のインフルエンサーマーケティングにも影響を与えています。「透明性」と「信頼性」で勝負するインフルエンサーとのタイアップは、透明性を高めて消費者と信頼関係を築きたいと考えている美容業界のブランドにとって最も適切なプロモーションの手段と言えます。

今回は、美の透明性を高めようとする美容業界の動向と、その変化がインフルエンサーマーケティングに与える影響について前編と後編に分けて説明します。

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「透明性」が求められる美容業界とインフルエンサーマーケティングへの影響【後編】


目次

    前編

  1. 多様化する「美しさ」
  2. 「クリーンビューティー」という考え方
  3. まとめ
  4. 後編

  5. 変化する「ビューティーPR」の手法
  6. 信憑性の低いレビューの増加
  7. 美容業界とインフルエンサーマーケティングの今後
  8. まとめ


  9. 多様化する「美しさ」

    美容業界で活躍するモデルは、若い白人で、「シスジェンダー(こころの性と身体の性が一致している人)」が一般的でした。近年、消費者の間では、人種・年齢・性別などの多様性を認める考え方が浸透してきています。

    美容業界もそれに伴って、あらゆるタイプの肌色に対応できるようファンデーションのカラーバリエーションを拡大し、多様な年齢、人種のモデルを起用してより幅広い層へのアプローチを試みるようになりました。

    また、一部のブランドは、社員やブランドのファンに実際に商品を使ってもらう手法も取り入れています。有名モデルよりも消費者の目線に近い社員やファンのリアルな声は、消費者にとってより身近で、貴重な情報と言えます。

    美の多様化の成功例と失敗例

    歌手でモデルでもある Rihanna さんの美容ブランド「Fenty」は、美容に関心がある人々やマスコミの間で「包括的な美容ブランド」として評価されています。

    Fenty は40色以上のファンデーションのカラーバリエーションを持ち、様々な肌のトーンに対応できるようにしています。また、非常に多様性に富んだモデルのキャスティングを実施しています。Fenty は美の多様化に成功している代表的な美容ブランドと言えます。

    一方、世間の声を無視し、美の多様化に失敗した企業もあります。パリの美容ブランドである「Givenchy」は、ファンデーションとコンシーラーの新しいシリーズを発表しましたが、カラーが非常に限定的で、一部の消費者の肌色にしかフィットしないことから非難を受けました。メイクアップアーティストで YouTuber の Jeffree Star さんを始めとした複数のビューティーインフルエンサーは、Givenchy をボイコットすると宣言しました。

    企業の視点で考えれば、「どんな肌色にも合う一色」を販売した方が効率的ですが、実際にはそのようなファンデーションは白い肌をベースに持つ人々にしかフィットしません。ブランドは、世間の動向を注視し、それを製品戦略に反映し、ブランドとしてのメッセージを消費者に伝えていく必要があります。

    インフルエンサーマーケティングへの影響

    今後は、「使う人を選ばない包括的な美容製品」への需要が益々高まっていきます。多様性への理解を示し、対応できる企業のみが今後のグローバル市場で成長していくでしょう。

    インフルエンサーマーケティングは、多様化に対するブランドの考え方をアピールするのに最適な方法です。これまでターゲットにしてこなかったオーディエンス層で活躍するインフルエンサーとタイアップすることによって、ブランドは新しい顧客層を獲得し、自分たちの考えをメッセージとして発信することができます。

    また、「美の多様化」により、これまでの美容業界で一般的だった「若い白人」や「シスジェンダー」以外のインフルエンサーが新たに求められて美容業界に参入してくるケースも増えてくると考えられます。



    クリーンビューティー」という考え方

    「クリーンビューティー」は、美容製品から科学的な原材料や毒性のあるものを排除しようとする動きのことで、「美の透明性」の中でも最も話題になっているトピックです。環境保護、アレルギー、動物保護の観点や、化学製品を嫌う消費者層への対応など、様々な背景からこの考え方が広がっています。

    これまで美容業界の広告で多用されてきた「植物由来」「オーガニック」「ナチュラル」などの言葉の定義は明確に定められている訳ではなく、すでに消費者の心を掴む言葉ではなくなりつつあります。消費者は、「ナチュラル」のようなぼんやりとしたイメージではなく、具体的な原材料など、より事実に基づいた情報を求めています。

    その結果、次のような新しい言葉が生まれています。

    ◆ナチュラルビューティー
    植物、ミネラル、植物から抽出された原料のみを使用していること

    ◆グリーンビューティー
    ナチュラルビューティーの条件に加えて、環境に優しいパッケージを使用し、持続可能な製造方法を用いていること

    ◆ノン・トキシックビューティー
    毒性のある原材料を含んでいないこと

    ◆オーガニックビューティー
    オーガニックな原材料のみを使用していること

    ◆クルールティ・フリー・ビューティー
    動物実験を行っていないこと

    ◆ビーガンビューティー
    動物由来の原材料を使用していないこと

    これらの言葉も科学的な根拠や明確な定義はありませんが、「植物由来」「オーガニック」「ナチュラル」などの従来のセールスワードよりも細かくカテゴリー分けされ、具体的な消費者のニーズに答える結果になっています。

    インフルエンサーマーケティングへの影響

    消費者は、製品の原材料やその調達先、品質など、美容製品についての様々な情報を知りたいと思っています。インフルエンサーは「一消費者」の目線で、それらの情報を分かりやすくオーディエンスに伝えることができます。

    インフルエンサーは今まで以上に積極的に、科学的な証明があり、高品質な原材料で作られた製品や、透明性のある供給チェーン、倫理的なマーケティング手法を背景とした製品を推薦すると考えられます。

    企業も製品に関する情報をオープンにし、インフルエンサーと消費者のどちらにも信用してもらえるような状態を目指す必要があります。そして、インフルエンサーが発信する情報はより正確さが求められるようになるでしょう。

    まとめ

    今回の前編では、多様化する「美しさ」と、「クリーンビューティー」という考え方について説明しました。

    後編では、変化する「ビューティーPR」の手法、信憑性の低いレビューの増加、そして、美容業界とインフルエンサーマーケティングの今後について説明しますので併せてご覧ください。

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    参考:http://mediakix.com/2019/02/beauty-transparency-influencer-marketing/#gs.7gq5ab 

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