「透明性」が求められる美容業界とインフルエンサーマーケティングへの影響【後編】

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前回の「「透明性」が求められる美容業界とインフルエンサーマーケティングへの影響【前編】」では、多様化する「美しさ」と、「クリーンビューティー」という考え方について説明しました。

今回の後編では、変化する「ビューティーPR」の手法、信憑性の低いレビューの増加、そして、美容業界とインフルエンサーマーケティングの今後について説明します。

目次

    前編

  1. 多様化する「美しさ」
  2. 「クリーンビューティー」という考え方
  3. まとめ
  4. 後編

  5. 変化する「ビューティーPR」の手法
  6. 信憑性の低いレビューの増加
  7. 美容業界とインフルエンサーマーケティングの今後
  8. まとめ
  9. 変化する「ビューティーPR」の手法

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    Filmed this quick video yesterday as I was organizing my ‘facial mist collection’. Insane, I know. Going to be completely honest though…I didn’t purchase most of these with my own money. They were sent to me in PR packages from some of my favorite beauty brands, which I am forever grateful for. But to be honest again, I have SOO many more that are brand new and packed for upcoming giveaways and donations. There is just no way I can use all of these up on my own. The reason for this post is not to show off my collection, but to show you all that as bloggers, we really do get sent a LOT of products on a daily basis. The reason why I am constantly loving new products is because I am constantly testing them. I don’t share most of what I receive because it doesn’t work out for me for one reason or another. There is a lot of discussion around authenticity, sponsorships, PR packages etc. in the beauty community and I really want to do a full video on this. Let me know if that is something you would be interested in watching and any questions I can answer for you in the video!

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    ビューティーPRとは、美容に関係する商品サンプルをインフルエンサーに郵送して使ってもらい、彼らのツールを使ってプロモーションしてもらうことを言います。

    ビューティーインフルエンサーの Arshia Moorjaniさんは、自宅にあるフェイスミストのコレクションを Instagram に投稿し、それらのほとんどがブランドから送られてきたサンプルであり、使い切ることができないとキャプションで説明しています。

    アメリカの美容雑誌「Fashionista」が2018年に約350名の美容関係者を対象に実施した調査によると、ほぼすべてのインフルエンサーが「毎週何かしらの美容品のサンプルが届く」と答えています。そして、全体の81%は、「その多くが過剰包装である」と答えています。

    インフルエンサーに商品をプロモーションしてもらうために、どのブランドも競合よりも豪華でユニークなサンプルセットを送ろうとしています。これにより、次のような問題が起きています。

    ◆使われずに破棄される化粧品

    ブランドがインフルエンサーに送ったサンプルの中には、使われずに破棄されてしまうものもあります。例えば、フェイスクリームにインフルエンサーがアレルギーを起こす原材料が含まれていた場合、インフルエンサーはサンプルを使用することができません。

    また、ファンデーションのサンプルが郵送された場合、あらゆるカラーバリエーションが含まれていることが多いですが、インフルエンサーの肌色に合うファンデーションはごく一部のカラーのみなので、それ以外は破棄される確率が高くなります。

    ◆過剰包装

    多くのブランドが参入し飽和状態の美容業界で、ブランドは「人目を惹くパッケージを使用しなければならない」というプレッシャーの中にいます。その結果、小さな化粧品が必要以上に大きな箱に入れられたり、商品をよく見せるための梱包材の過剰使用などが起きています。

    ◆紙媒体の販促ツール

    ブランドが商品サンプルに同封するカタログやチラシなどもゴミを増やす原因になります。電子カタログを利用したり、データをメールで送付するなどの工夫をすればゴミを減らすことができます。

    ビューティーPR自体は昔からあるマーケティング手法ですが、このように多くの問題点を抱えています。

    インフルエンサーマーケティングへの影響

    多くのインフルエンサーが、ビューティーPRのマイナス面についてオフィシャルに疑問を投げかけ始めています。その結果、美容ブランドとインフルエンサーの間で、ビューティーPRの無駄をなくそうとする試みが広がっています。

    ブランドは、インフルエンサーが不要な商品サンプルを送り返すことができるように、発送伝票と封筒を商品サンプルに同封するようになりました。また、リサイクル可能で環境に優しい梱包材を使用する動きが出ています。

    また、インフルエンサーは、使用しなかった商品サンプルをブランドのファンにプレゼントするなどの対応をしています。

    ゴミを減らそうとするブランドやインフルエンサーの取り組みがオーディエンスに伝わることによって、環境問題に関心があるオーディエンスが新たにブランドに興味を持ってくれる可能性も広がります。

    信憑性の低いレビューの増加

    商品のユーザーレビューは消費者の購買決定に大きな影響を与えます。美容ブランドは、商品をプロモーションするためにより多くのレビューを集めなければなりません。特に、新商品のプロモーションをする際にはユーザーからの良い口コミが必要不可欠です。

    最近では、クラウドソーシングプラットフォームなどを通じて今までよりも簡単にユーザーレビューを集めることができるようになりました。その一方で、ユーザーレビューの信憑性について業界内外から疑問の声が上がっています。

    クラウドソーシングプラットフォームを利用したレビューの増加

    最近では、ブランドとユーザーを結びつけるクラウドソーシングプラットフォームが人気を集めています。ブランドはクラウドソーシングプラットフォームを通じて繋がったユーザーに使いきりサイズの商品サンプルを郵送し、ソーシャルメディアや美容関連のウェブサイトに商品レビューを投稿してもらっています。

    クラウドソーシングを活用すると簡単に多くのレビューを集めることができますが、その内容に信憑性がなければあまり意味がありません。使い切りサイズの商品サンプルを使ったユーザーのレビューと、実際に商品を購入して長期間使用しているユーザーのレビューが異なるのは当然です。

    消費者は、ユーザーレビューの数だけではなく、その内容までチェックしているという点に注意が必要です。レビューの数が多くても、良いレビューと悪いレビューが極端に分かれている場合、良いレビューの信憑性が疑われ、かえって消費者の信頼を無くすことになりかねません。

    社員によるフェイクレビュー

    最近では、美容ブランドの社員が強制的にフェイクレビューを投稿させられているケースもあります。アメリカのスキンケアブランドである「Sunday Riley」は、社員に対して、化粧品の専門店である「Sephora」に自社製品に関する良いレビューを投稿するように促す内部Eメールを送信していました。その情報が外部に漏れ、Sunday Riley は批判を浴びました。

    さらに、送信されたEメールには商品のセールスポイントをアピールする手順まで書かれていました。Sunday Riley と Sephora はこの件について謝罪しましたが、有名なサイトに掲載されているレビューだからといって信用できる訳ではない、という事実が明らかになりました。

    良いレビューは新商品の売り上げに大きく影響しますが、ネット上では、良い噂よりも悪い噂の方が一瞬で広まります。一度ブランドのイメージに傷がついてしまうと、後々の経営に深刻な影響を与えます。

    インフルエンサーマーケティングへの影響

    自分の率直な意見を拡散するインフルエンサーは、質の高い製品を販売しているブランドにとっては力強い味方です。そして、インフルエンサーもタイアップするブランドをより慎重に選ぶようになるでしょう。

    消費者から信頼してもらえるレビューは売り上げの拡大に大きく貢献します。すでにオーディエンスとの関係性が出来上がっているインフルエンサーの「レビュー」は、大きな意味を持ちます。

    さらに、ブランドが訴求する商品の特徴と実際の使用感の矛盾点をインフルエンサーが伝えることによって、ブランドの透明性をアピールすることができます。インフルエンサーとのタイアップは、透明性をアピールしたいと願う美容業界にとって非常に有効なプロモーション手段と言えます。

    美容業界とインフルエンサーマーケティングの今後

    膨らみすぎた小売価格、環境問題、フェイクレビューなど、美容業界で蔓延しているマイナス要素を一層し、業界の透明性を高めていこうとする動きは今後も続くと考えられます。そして、そのようなマイナス要素に対するブランドの対応も必須と言えます。

    フォロワーと信頼関係で結ばれ、率直な意見を発信するインフルエンサーは、透明性を高めようとする美容業界で必要不可欠な存在です。

    もし、インフルエンサーが美容ブランドのメッセージを伝えるだけの「アンバサダー」になれば、オーディエンスへの説得力を失ってしまうでしょう。インフルエンサーは消費者の一人であり、消費者の代表とも言えます。それが美容業界でインフルエンサーが求められ続ける大きな理由です。

    まとめ

    今回は、美の透明性を高めようとする美容業界の動向と、その変化がインフルエンサーマーケティングに与える影響について説明しました。

    消費者は自分たちが使用している美容製品についてより多くのことを知りたいと思っています。企業は製品についての情報をオープンにし、それをインフルエンサーを通じて発信することによって多くの人に届けることができます。

    透明性を高めようとする美容業界の動きはインフルエンサーマーケティングにとって追い風です。「信頼性」と「透明性」で勝負するインフルエンサーにとって、今回紹介した美容業界の変化は歓迎されるものと言えます。

    ただし、消費者は、インフルエンサーが発信する内容を以前よりも厳しい目でチェックしています。インフルエンサー自身の透明性を保つためにも、発信する情報の内容には慎重になる必要があるでしょう。

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    「透明性」が求められる美容業界とインフルエンサーマーケティングへの影響【前編】

    参考:http://mediakix.com/2019/02/beauty-transparency-influencer-marketing/#gs.bwwd1o 

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