消えつつあるインフルエンサーとブランドの境界線

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昨今、ブランドや小売業者はインフルエンサーのことを主要なマーケティングチャネルとして考えています。例えば、Airbnbという民泊予約サイトとタイアップしてスナップチャットにスポンサー投稿をしたKim Kardashianさんから、アメリカの高級百貨店であるノードストロームとタイアップしてカシミアの服のデザインを行なったファッションブロガーたちまで、インフルエンサーは大手ブランドからも次々に注目を集めています。

インフルエンサーはその影響力が大きくなればなるほど、自身のブランドを設立する傾向にあります。こういったマクロインフルエンサーとブランドの境界線は非常に曖昧になりつつある一方でマイクロインフルエンサーが注目を集めています。

インフルエンサーは今や「マーケティング戦略における金の卵」として宣伝における重要なポジションにつきました。元洋服デザイナーのRebecca Minkoffさんは、インフルエンサーとして活躍した末に、プロデューサーとしてバッグブランド「Rebecca Minkoff」を立ち上げています。彼女は自身のプロダクションにモデルとして、Chriselle LimさんやArielle Charnasさんといった有名なファッションブロガーを数人起用しました。そして彼女は、このインフルエンサーたちを「ニューヨークファッションウィーク」のランウェイショーの最初に出演させています。

ブランドとSNSプラットフォームがインフルエンサーとどのように関係しているかについて、インフルエンサーマーケティング事業社「MuseFind社」のCEOであるJennifer Liさんと、ニューヨークのハンドバッグブランド「GiGi New York社」のCEOであるTom Glazerさんが語った様子を今回の記事で紹介します。


目次

  1. インフルエンサーマーケティングプラットフォームとは?
  2. インフルエンサーによる独自ブランド
  3. マイクロインフルエンサーとは?
  4. マクロインフルエンサーは独自ブランドを立ち上げる傾向に
  5. まとめ

  6. インフルエンサーマーケティングプラットフォームとは?

    ブランドのマーケティング戦略においてインフルエンサーが果たす役割がより大きくなってきているため、ブランドとインフルエンサー間のパートナーシップを促進するプラットフォームが多く作成されています。またインフルエンサープラットフォームを利用すれば、インフルエンサーマーケティングキャンペーンの成功を追跡することも可能です。インフルエンサープラットフォームサービスを提供する「MuseFind社」のJennifer Liさんは「ブランドがソーシャルメディアのインフルエンサーを介して顧客を再びときめかせる手助けをすることをミッションと考えています」と話しています。

    「弊社は、ブランドに最も関連性の高いインフルエンサーを見つけ出してタイアップし、インフルエンサーの成績とその影響を知ることができるプラットフォームを提供します」とLiさんは説明しています。 MuseFind社は、資生堂やOreo社、Soylent社、John Varvatos社などの大手ブランドともインフルエンサーマーケティングキャンペーンに取り組んできました。ブランドやインフルエンサーのため分析プラットフォームとして、他にはCaptiv8やTapInfluence、TRIBE、Traackr、Klout、ShopStyle、rewardStyle、そして最近ローンチされたSnapalyticsがあります。


    インフルエンサーによる独自ブランド

    インフルエンサーとブランドの区別はますますなくなってきています。メイクアップアーティストのMichelle PhanさんやファッションブロガーのZoellaさんのようなインフルエンサーたちが、次々と独自の製品ラインを作り出してブランドを立ち上げているからです。

    このため従来のブランドは消費者からの信頼性を高めるために、よりインフルエンサーを頼りにしています。このことはブランドとインフルエンサー間の共生関係につながる道となっています。しかし最終的にはインフルエンサーマーケティングの成果は、インフルエンサーと消費者の関係に左右されます。

    Liさんは「インフルエンサーマーケティングは信頼の経済に基づいています。私を含めインフルエンサーは、フォロワーをフォローをするのと同じくらい簡単に、フォロワーのフォロワーもフォローすることができます。だから私は、あるインフルエンサーがあまりにも多くの広告をしているような気がしたり、タイアップしている企業が高品質なブランドではないと感じたら、そのインフルエンサーに従わないこともできます。つまり、消費者となるフォロワーたちも私と同じようにインフルエンサーに違和感を覚えるのです。なので私はインフルエンサーたちと協力して、顧客のより高い購入意思を作り出そうと試行錯誤しています」と説明しました。

    インフルエンサーの力は、必ずしも彼らのフォロワー数にあるというわけではなく、透明性とキュレーションによって実際にフォロワーに影響を与える能力にあります。ラグジュアリーマーケティングウェブサイトの「Luxury Daily」のSarah Jonesさんとインフルエンサーマーケティング事業を行なう「Traackr」は、インフルエンサーはそのフォロワー数ではなく、ブランドとの関連性を考慮して選択する必要がある、と警告しています。高級ブランドの場合、ブランドイメージを維持するために正しいペルソナを選ぶことが重要です」と説明しています。


    マイクロインフルエンサーとは?

    現在は、ソーシャルインフルエンサーを採用する際の考え方として、フォロワー数を重視するという考えから「コンテンツなどのクオリティを重視すべき」という考え方に移行しています。

    ファッション・ジャーナリストであり「FORBES」のブロガーであるRebecca Suhrawardiさんは「フォロワー数が8000人をきるようなマイクロインフルエンサーでも、ブランドメッセージをシェアする手助けが可能です。フォロワー数だけが多いインフルエンサーよりも、関連性の高いマイクロインフルエンサーとタイアップすることで、透明性やユニークな視点でのコンテンツ作成が期待できます。そしてブランドに合ったオーディエンスに到達する可能性も高くなります」と話しています。

    フォロワー数の多いマクロインフルエンサーは、他のブロガーも追いかけているオーディエンスを多く抱えていることがよくあります。例として、GiGi New York社はマイクロインフルエンサーとのパートナーシップを成功させました。同社のマーケティングチームによると「非常に大規模な成果が予想されていたビッグブロガーたちとタイアップした際に、私たちは驚かされました。彼らの売り上げとトラフィックは、私たちが期待していたものではなかったからです。マクロインフルエンサーに対して、フォロワー数の少ないブロガーたちのフォロワーは、そのブロガーと他に1~2人しかフォローしている人がいない場合も多いため、より大きなエンゲージメント率を獲得することができます。」

    GiGi New York社とインフルエンサーは密接な関係を築くことに成功しています。同社のCEOであるTom Glazerさんは「インフルエンサーと友達になることということは本当にメリットがあります。私たちが今日の商業的成功を収める前にインフルエンサーとそのような関係ができていたので、本当に幸運でした。」と説明してます。同社は、Coach社やJ. Crew社のような他のブランドとの差別化を重要視していて、顧客にとって有益なコンテンツを制作することに焦点を当てています。

    「弊社は顧客に新しいものを提供したいと考えています。私たちはしばしば、一般的な若い女性がインフルエンサーを、自分の個人的なスタイリストとして見ているように感じます。インフルエンサーを見ているおかげで、彼女たちはコンスタントにファッション雑誌を読むことなくトレンドに乗ることができます」とTom Glazerさんは語りました。インフルエンサーはトレンドを更新し続け、独自のスタイルを貫きつつ小規模なオーディエンスとブランドをつなぐユニークな立場にあります。


    マクロインフルエンサーは独自ブランドを立ち上げる傾向に

    インフルエンサーたちの宣伝は、新しい「有名人のお墨付き」と言えるでしょう。米国の情報サービス会社「Bloomberg」によると、毎月インフルエンサーマーケティングに2億5,500万ドルが費やされているようです。実際、インフルエンサーマーケティングプラットフォームである「MuseFind」からのデータによれば、92%の消費者が広告や伝統的な有名人の支持よりもインフルエンサーを信頼しています。広告ブロック機能を利用している顧客の47%には、従来のデジタル広告では効果が限定されてしまいます。

    ブランドは単なるマーケティングツールとしてだけでなく、インフルエンサーの力を活用する必要があります。インフルエンサーたちは、ブランドが顧客を理解するための強力なフィードバックツールになる可能性があるからです。

    「MuseFind社」のCEOであるJennifer Liさんは「弊社はインフルエンサーを単なる看板としてではなく、「彼ら自身」としてみています。インフルエンサーたちはブランドの広告となる以外にも多くの能力を持っていて、ビジネスにも精通しています」と説明しています。「今後2〜5年後には、インフルエンサーが自身のブランドを立ち上げることになるでしょう。そのインフルエンサーたちは、ブランドであるかインフルエンサーであるかわからなくなる地点まで、自身とブランドの境界線を消していくでしょう。」


    まとめ

    マイクロインフルエンサーは、オーディエンスをより洗練してエンゲージメント率を高めていくことで成長し続け、マーケティングにおいて重要な役割を果たしています。ブランドの戦略が進展するにつれて、マイクロインフルエンサーは、有名人の地位を避けて、透明性を保ちながら、より高いコンバージョン率をたたき出します。

    ブランドや小売業者は従来のマーケティングよりも、トレンドや製品レビューなどのあらゆる種類の情報を提供するソーシャルメディアへの関心をますます高めています。マクロインフルエンサーが自身のブランドを立ち上げることでインフルエンサーとブランドの境目をあいまいにしていく一方で、フォロワー数にこだわらず「自分自身を持った」マイクロインフルエンサーが高い成果を上げる傾向にあります。

    ブランドはフォロワー数に捕らわれず、コンテンツやフォロワーのクオリティを見て分析することで、新しい「本物の」マーケティングチャンネルを探し出すことができるでしょう。



    参考:https://www.forbes.com/sites/deborahweinswig/2016/10/05/influencers-are-the-new-brands/#3df616627919 

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