インフルエンサーマーケティングは、「一般消費者をターゲットとしたBtoC企業向けの戦略」と思われがちですが、法人ターゲットとしているBtoB企業においても大きな成果を期待できるアプローチです。というのも、ターゲットが法人であっても実際にマーケットをリサーチし最終的な判断を下すのは、法人に所属している「人」であるためです。
ターゲットはブランドによる宣伝やプレゼンテーションだけでなく、自らの入念にリサーチしたうえでこの重要な決定を下します。従って、第三者の意見や口コミが最終判断を左右する非常に重要な要素であることは、言うまでもないでしょう。またBtoB企業における契約毎の取引金額はBtoC企業に比べて遥かに大きいため、第三者の意見はなおさら大きな意味を持ちます。
事実、世界ではすでに多くのBtoB企業がインフルエンサーマーケティングに乗り出し成功を収めています。今回はBtoB企業が実施した8つのインフルエンサーマーケティングキャンペーンのうち、前編として4つ事例をご紹介します。
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目次
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前編
- Cardlytics社の事例
- SAP社の事例
- Video Fruit社の事例
- American Express社の事例
- まとめ
- TopRank社の事例
- G.E.社の事例
- Time Warner Business Class社の事例
- PricewaterhouseCoopers社の事例
- まとめ
後編
Cardlytics社の事例
Cardlytics社は、1,500ものファイナンシャル企業をクライアントに、デビットカードのキャッシュバックプログラムや購入データを集計するサービスを提供しているブランドです。同社のキャッシュバックプログラムの認知拡大のため、そして現行のクライアントや潜在的顧客に対しプラグラムの利便性とシンプルさをアピールするために、インフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施しました。
ブランドは、ターゲットにリーチできるインフルエンサーとタイアップし、ソーシャルメディアプラットフォームや自身のブログで「お金を節約するためのヒント」に関するコンテンツを作成するよう依頼しました。このようなテーマは、SEO的に需要が高いことを見込んでの依頼でした。事実、この時作成されたコンテンツはその後もエンゲージメント向上に貢献し続けています。
このインフルエンサーマーケティングキャンペーンの結果、Cardlytics社は3,070万のインプレッションを達成し、同社が提供するプログラムの認知拡大に成功しました。この結果には、同社の提携銀行も感銘を受けたと言います。このインフルエンサーマーケティングキャンペーンにおける成功のカギは、インフルエンサーにブランドに関連が深くかつターゲットにとって有益なコンテンツを作成してもらったこと、そしてSEO対策を考慮したコンテンツであったことが挙げられます。
SAP社の事例
SAP社は、企業向けソフトを開発しているBtoB専門のブランドです。統合業務、ファイナンシャル、物流、人事マネジメントのソフトを中心に扱っており、SAP社はマーケットのさらなる拡大にはインフルエンサーの存在が効果的であると判断し、インフルエンサーマーケティングに乗り出しました。
同社がタイアップしたインフルエンサーは、ビジネスコンサルタント、研究者、作家など。ターゲット企業内において決定権を持つ人たちに対し、大きな影響力を持つとされる人材が起用されました。またSAP社は幅広いジャンルのクライアントを大勢抱えていることから、各部署がそれぞれ最適なインフルエンサーを起用するという方法で行われました。そしてブランドに関連性の高いコンテンツの作成やインフルエンサーのイベントへの参加などを通し、ターゲット企業のキーパーソンへと働きかけました。
例えば、毎年2万人程参加するSAP社のカンファレンスSapphireでは、11人のインフルエンサーがインタビュー形式のビデオコンテンツを作成し、カンファレンスに参加できなかった約8万人の人へライブ配信しました。またインフルエンサーたちはこのカンファレンスで各企業の重役たちと交流し、SAP社の商品を体験してもらうなどしています。
SAP社は、他のイベントにおいてもインフルエンサーにイベントのプロモーションとして、イベントのハッシュタグを付けたコンテンツの作成依頼をしており、これらのインフルエンサーマーケティングの結果、Twitterトレンドにも取り上げられています。
Video Fruit社の事例
Video Fruit社は、ウェブサイトを運営している中小企業をターゲットに、emailリストを作成するためのソフト、コース、コーチングプログラム等のツールを提供しているブランドです。創始者のBryan Harrisは、自身がインフルエンサーとなったインフルエンサーマーケティングを展開するというユニークな方法を試みました。
彼は、emailリストサービスに関する情報を提供している著名なサイト「OkDork」にアクセスし、Video Fruit社に関する口コミをゲスト投稿しました。そしてその投稿が反映されると、それまで1日あたり平均285人程度で合ったVideo Fruit社の公式サイト訪問者が、一気に1,086人にまで伸びたのです。さらにべージビューは約5倍に、ページ滞在時間も8%伸びました。訪問者数の73%は新規であったことから、Video Fruit社によるこのインフルエンサーマーケティングは、新しいオーディエンスを増やしブランドの認知拡大に大いに効果的だったと言えるでしょう。
American Express社の事例
クレジットカード会社のAmerican Express社は、さまざまなインフルエンサーマーケティングを展開しているブランドのひとつです。その中には、中小企業をターゲットとしたBtoBのキャンペーンも含まれます。「Love My Store」と名付けられたこのインフルエンサーマーケティングキャンペーンは、中小企業が消費者に対して「American Express社のクレジットカードも扱っているよ」と宣伝する手助けをする、というアプローチで実施されました。
同社は、中小企業経営者でありブロガーでもあるGrace Bonneyとタイアップ。Graceは、American Express社のステッカーを6種類作成し、そのステッカーをターゲット企業のウィンドウやレジに貼ることで、消費者がひと目でAmerican Express社のクレジットカードが使えると分かる、という取り組みを行いました。
さらに、デザインブロガーでありインフルエンサーであるEmily Hendersonとタイアップし、より多くの顧客を呼び込むためのコツや、ステッカーを貼る場所のアドバイスをソーシャルプラットフォーム上にて実施しました。
このインフルエンサーマーケティングキャンペーンの結果、American Express社のステッカーは40万枚も印刷・分配され、インプレッション数も5万という数字を達成しました。また最も優秀なソーシャルメディアマーケティングを表彰するThe Shorty Awardでも最終選考に残るなど、高い評価を受けました。
まとめ
今回は、BtoB企業が実施したインフルエンサーマーケティングキャンペーンの中から、前編として4つの事例をご紹介しました。どの事例でもインフルエンサーの選抜がかなり入念に行われており、いずれもブランドに関連性が強く、かつターゲットへの影響力が大きい人物が選ばれていることが分かります。
BtoB企業のインフルエンサーマーケティングでは、ターゲットが企業という個人より大きな単位となるため、その分ターゲットもビジネスの決定には慎重です。だからこそ、ターゲットに響くコンテンツでアプローチできるインフルエンサーマーケティングは、大きな可能性を秘めた戦略と言えるでしょう。
後半では、TopRank社、G.E.社、Time Warner Business Class社、PricewaterhouseCoopers社の事例をご紹介していきます。
おすすめ記事:BtoB企業によるインフルエンサーマーケティング事例8選【後編】
参考:https://6degrees.agency/7-influencer-marketing-case-studies-that-prove-influencer-marketing-is-here-to-stay/
https://everywhereagency.com/case-study/cardlytics/
https://influencermarketinghub.com/7-great-b2b-influencer-marketing-examples/
https://izea.com/2017/07/18/b2b-influencer-marketing-campaign-examples/