海外の芸能人やタレントに見るインスタグラム進出戦略

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米国出身の女優であるジェニファー・アニストンさんは、愛犬の写真と共に、選挙に行ったことをインスタグラムで報告しました。また、歌手のテイラー・スウィフトさんは、実の兄弟との2ショット写真など、プライベートで撮影した写真をインスタグラムに投稿しています。

ジェニファー・アニストンさんやテイラー・スウィフトさんのようにテレビや映画の世界で活躍する芸能人は、かつては手の届かない遠い世界の住人でした。しかし、今ではインスタグラムなどのソーシャルメディアを通じて私生活の様子をファンに発信するのが当たり前になりつつあります。

純粋にファンサービスとしてコンテンツを発信している芸能人やタレントもいますが、インスタグラム上には企業とタイアップした広告コンテンツが数多く発信されており、一部の芸能人やタレントにとって大きな収入源の1つになっていることをご存じでしょうか。

私生活の一部を切り取ったように見える自然体の写真は、スタイリストやプロのヘアメイクアップアーティストによってセッティングされ、カメラマンが撮影して美しく加工された「最高の一枚」かもしれません。そして、芸能人やタレントは、コンテンツを投稿することによって企業から報酬を得ているのです。

今回は、インスタグラムで活躍している芸能人やタレントが報酬を得る仕組みや秘訣について詳しく解説します。

目次

  1. 芸能人やタレントがインスタグラムで報酬を得る仕組み
  2. インスタグラムでビジネスを展開するメリット
  3. 芸能人やタレントがインスタグラムで得ている報酬額
  4. インスタグラムで報酬を得ている芸能人やタレントの秘密
  5. まとめ


  6. 芸能人やタレントがインスタグラムで報酬を得る仕組み

    インスタグラムやフェイスブック、YouTubeなどのソーシャルメディアでは、「インフルエンサー」と呼ばれるオンライン上の有名人が数多く活躍しています。その中でもインスタグラムは、インフルエンサーの間で「No.1のソーシャルメディア」と評価されています。それには次のような理由があります。

    ・ユーザーのスポンサーコンテンツに対する受容性が高い
    ・コンテンツに対して積極的にリアクションをするユーザーが多い
    ・インフルエンサーの多くがインスタグラムで活躍している
    ・フォロワー数の少ないマイクロインフルエンサーでも活躍できる

    詳しくはインスタグラムのみで大きな成果をあげたインフルエンサーマーケティングキャンペーン事例5選にまとめてあります。

    インフルエンサーは企業とタイアップして商品やサービスを紹介するためのコンテンツを作成し、インスタグラムなどのソーシャルメディア上に投稿しています。このようなマーケティング手法は「インフルエンサーマーケティング」と呼ばれ、企業とタイアップしてインフルエンサーが作成したコンテンツの事を「スポンサードコンテンツ」といいます。

    2018年に企業がスポンサードコンテンツの報酬としてインフルエンサーに支払った報酬の合計金額は、インスタグラム単体で10億ドルと言われています。さらに、インフルエンサーマーケティングは2020年の現在でも市場規模を拡大しています。

    テレビで活躍する芸能人やタレントも数多くインフルエンサーマーケティングに参入しており、元々知名度の高い芸能人やタレントのアカウントには、すぐに数十万人といった規模のフォロワーが付きます。そのため、多くの企業が芸能人やタレントとのソーシャルメディア上のタイアップを望んでいるのです。



    インスタグラムでビジネスを展開するメリット

    では、芸能人やタレントがインスタグラムなどのソーシャルメディア上でビジネスを展開する「インフルエンサーマーケティング」に参入した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

    1. 従来の企業広告のように嫌われない

    インターネットのメインユーザーであるミレニアル世代や、ミレニアル世代よりも若い「ジェネレーションZ」と呼ばれる若年層は、従来の企業広告を嫌う傾向があり、ネット広告をブロックするソフトウェアをスマートフォンやパソコンにインストールしています。そのため、一昔前まで主流だったウェブ広告は、以前ほど効果的ではなくなっています。

    一方、ソーシャルメディア上で展開されているインフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーとフォロワーの信頼関係がベースになっています。インフルエンサーのアドバイスは友人や家族からの助言や口コミに似ており、企業広告よりも受け入れやすいというメリットがあります。

    インフルエンサーは日頃からフォロワーとコミュニケーションを取り、どのようなコンテンツがフォロワーに喜ばれるかを熟知しています。インフルエンサーが時間を掛けて作り上げたコンテンツは内容自体が魅力的なので、明らかに広告だと分かるものであってもフォロワーからポジティブな反応が寄せられます。

    ただし、フォロワーが関心を持っている分野と全く関係のない商品やサービスのプロモーションは逆効果になる可能性があるので注意が必要です。

    2. フォロワーが少なくてもビジネスになる

    インフルエンサーマーケティングは「フォロワー数が多いインフルエンサーが有利」と思われがちですが、実情は少し違います。フォロワー数が多いインフルエンサーは一度にたくさんのリーチを獲得することができますが、その中にはスポンサードコンテンツのターゲット層に合わないフォロワーも大勢含まれています。

    一方、フォロワーが少ないインフルエンサーはフォロワーとの結びつきが強く、フォロワーは、インフルエンサーが専門とする分野に強い関心を持った人々で構成されています。

    例として、フォロワーが100万人のオリンピックアスリートと、フォロワーが5万人のヨガインストラクターを比較してみましょう。ヨガウェアのメーカーがインフルエンサーマーケティングを展開する場合、タイアップ相手として最適なのはどちらのインフルエンサーでしょうか。

    この場合、ヨガインストラクターのフォロワーはヨガに関心がある人々だと考えられるので、フォロワー数が5万人のヨガインストラクターとタイアップした方が費用対効果が高いインフルエンサーマーケティングキャンペーンが期待できます。

    フォロワー数が少ないインフルエンサーは影響を与えられる範囲が狭いため、多くの企業が複数のインフルエンサーとタイアップ契約を結んで、効率的にインフルエンサーマーケティングを展開しています。

    3. 営業ツールになる

    インスタグラムなどのソーシャルメディアの使い道は広告宣伝だけではありません。プロフィールやコンテンツを充実させておくことによって、新たな仕事の依頼が舞い込むこともあります。

    インフルエンサーマーケティングを考えている企業は、タイアップ候補となっているインフルエンサーの名前でアカウントを検索し、配信しているコンテンツの内容やファンとの接し方を事前に確認しています。また、インフルエンサーマーケティングプラットフォームなどにアカウントを登録しておけば、より多くの企業にアカウントを見てもらうことができます。



    芸能人やタレントがインスタグラムで得ている報酬額

    実際に、芸能人やタレントはソーシャルメディアでどのくらい報酬を得ているのでしょうか。米国のインフルエンサーマーケティングプラットフォームである「Mediakix」は、テレビで活躍する有名人がインスタグラムで1年間に獲得している報酬を計算するために、数名の有名人のインスタグラムコンテンツを約1ヵ月分調査しました。

    米国ではFTC(連邦取引委員会)がインフルエンサーマーケティングのルールを定めており、スポンサードコンテンツには「#ad(#広告)」というハッシュタグを付けることになっています。広告であることを隠して投稿されているコンテンツもありますが、今回のMediakixの調査では、広告であることが明確に分かるものだけを対象にしています。

    スポンサードコンテンツの報酬はフォロワー数によって大きく異なり、フォロワーが100万人を超える有名人の場合は1件あたりのスポンサードコンテンツの報酬が1万ドルを超えることもあります。今回の調査では、1件あたりのスポンサードコンテンツの報酬を3段階に設定して有名人が得ている報酬を計算していきます。

    低価格帯:1件あたり5,000ドル
    中価格帯:1件あたり1万ドル
    高価格帯:1件あたり1万5,000ドル

    調査対象となったインスタグラムのアカウントのコンテンツを分析したところ、コンテンツが広告であることを示す「#ad(#広告)」や、ブランドのハッシュタグなどが付いた明らかにスポンサードコンテンツだと分かるコンテンツが、1ヵ月間で平均7.4件確認できました。

    仮に、1件あたりのスポンサードコンテンツの費用が低価格帯の5,000ドルだった場合、有名人は月間3万7,000ドル、年間にすると44万4,000ドルの報酬を得ていることになります。中価格帯であれば年間88万8,000ドル、高価格帯であれば年間133万ドルという計算になります。

    今回の試算ではスポンサードコンテンツの月間平均投稿件数を7.4件に設定しましたが、人によってはさらに多くのスポンサードコンテンツを投稿している場合もあります。また、広告であることを明示していない「隠れスポンサードコンテンツ」も相当数混ざっていると仮定できるため、実際の報酬は今回計算した値よりも高くなると考えられます。

    また、通常のスポンサードコンテンツ以外にも、プレゼント企画や「インスタグラムストーリー」の投稿など、芸能人やタレントがフォロワーにアプローチする手段は数多くあります。

    ただし、インスタグラムで成功している芸能人やタレントは、「個人のセンスで自由にスポンサードコンテンツを作成している」という訳ではありません。次の章では、インスタグラムで稼いでいる芸能人やタレントの秘密を解説していきます。



    インスタグラムで報酬を得ている芸能人やタレントの秘密

    インスタグラムで報酬を得ている芸能人やタレントは、思いつきや感覚でスポンサードコンテンツを作っている訳ではありません。

    この章では、有名人が報酬を得るための方法について書かれた著書「Celebrity Inc.」の作者であるJo Piazzaさんと、ソーシャルメディアプロモーションサービスを展開する「Social Intelligence Agency」の創業者であるLisa Jammalさんという2人の専門家が、ソーシャルメディアのビジネス戦略について語った内容をご紹介します。

    1. コンテンツ戦略を立てるマネージャーがいる

    芸能人やタレントがインスタグラムでビジネスを展開する上で大切なことは、「フォロワーに何を見せたいか」ではなく、「フォロワーが何を見たいか」を意識することです。インスタグラムで成功するためにはオーディエンスファーストの視点でコンテンツを作成することが必要で、「ソーシャルメディアマネージャー」と呼ばれる、コンテンツの内容を管理するプロフェッショナルが存在します。

    Jo Piazzaさん:

    「芸能人やタレントがコンテンツのベースとなるストーリーを作成したら、ソーシャルメディアマネージャーが、それを意味が伝わる文章に「翻訳」します。優秀なソーシャルメディアマネージャーの中には芸能人並みの報酬を受け取っている人もいますが、たった1回の不適切な内容のツイートや写真で契約が切れてしまうこともある、非常にプレッシャーのかかる仕事です。ソーシャルメディアマネージャーは芸能人の「表の顔」なのです。 」

    Lisa Jammalさん:

    「コンテンツ作成は、キャッチコピー・写真・クリエイティブ戦略を一体化させるコミュニティマネージメントがベースとなっています。インスタグラムアカウントを持つ芸能人やタレントと私たちの共同作業です。」

    2. コンテンツを作るプロのチームがいる

    スポンサードコンテンツは通常の企業広告とは異なり、インフルエンサーの日常生活の中に自然と商品やサービスを取り入れるのが一般的です。最近ではインフルエンサーマーケティングに参入する企業が増えることで競争が激しくなり、より高品質なコンテンツが求められるようになっています。

    インフルエンサーが自然体で写っているように見える写真も、実は多くのスタッフによって作り上げられた「最高の一枚」かもしれません。

    Jo Piazzaさん:

    「多くのスポンサードコンテンツは、前もって決められたものです。ヘアスタイリングやメイクのプロも関わっています。だからこそ、スポンサードコンテンツは常にクオリティが高いのです。そして、写真はフォトショップなどで加工されるのが一般的です。名前が知られた芸能人やタレントであれば1回のコンテンツで1万5,000ドル稼ぐこともあるので、コンテンツの質にこだわるのは当然のことでしょう。」


    まとめ

    今回は、インスタグラムで活躍している芸能人やタレントが報酬を得る仕組みや秘訣について詳しく解説しました。

    インスタグラム上でのビジネスを成功させるためには、趣味のブログやオフショット配信とは全く異なるマーケティング戦略が必要です。今後、インスタグラムにはさらに多くの芸能人やタレントが進出してくることが考えられ、より高度な戦略が求められるようになるでしょう。

    企業とのタイアップで結果を出すためには、インフルエンサーマーケティングプラットフォームやエージェンシーなど、インフルエンサーマーケティングのプロにサポートしてもらうことも一つの方法です。

    参考:https://www.eonline.com/news/661534/5-things-you-didn-t-know-about-celebrity-instagram
    https://mediakix.com/blog/how-reality-stars-on-instagram-make-millions/
    https://mediakix.com/blog/instagram-influencer-marketing-industry-size-how-big//
    https://www.statista.com/statistics/201182/forecast-of-smartphone-users-in-the-us/

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