コンテンツマーケティングは名前の通り、ブランドがコンテンツ(情報)を発信することによって潜在顧客にブランドや商品を知ってもらう手法で、今ではブランドやマーケターの間でごく一般的なマーケティング施策として定着しています。
一方、インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーに依頼してブランドや商品をプロモーションしてもらう手法です。混同されることが多い両者ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、インフルエンサーマーケティングとコンテンツマーケティングの違いや効果的な活用方法などを分かりやすく解説します。
目次
- コンテンツマーケティングとインフルエンサーマーケティングの違い
- コンテンツマーケティングのデメリット
- インフルエンサーマーケティングが人気を集めている理由とは?
- インフルエンサーがブランドのコンテンツマーケティングを強化できる理由
- インフルエンサーマーケティングをマーケティング戦略に取り入れるコツ
- まとめ
コンテンツマーケティングとインフルエンサーマーケティングの違い
インフルエンサーマーケティングとコンテンツマーケティングは効果を比較されることが多いですが、そもそも両者は全く別のアプローチではなく、「インフルエンサーマーケティングはコンテンツマーケティングの一部」と言えます。
コンテンツマーケティングとは?
コンテンツマーケティングとは、ブログ・ウェブサイト・ウェビナー・ホワイトペーパーなど、さまざまな形式で潜在顧客が興味を持つようなコンテンツを発信し、コンテンツを通じてブランドや商品に興味を持ってもらうマーケティング手法を指します。コンテンツマーケティングは長期間に渡るプロジェクトが一般的で、ブランドが主導で実施されます。
コンテンツマーケティングの目的は通常、ダイレクトに商品をプロモーションすることではありません。コンテンツを通じて潜在顧客の悩みを解決し、商品やブランドに「顧客の方から」興味を持ってもらうことを目指します。そのため、コンテンツマーケティングを通じて商品やブランドを知った潜在顧客は、ブランドに良い印象を持っていることが多いのです。これが、コンテンツマーケティングが効果的だと言われている最も大きな理由の一つです。
インフルエンサーマーケティングとは?
一方、インフルエンサーマーケティングは、オンライン上で強い影響力を持つ「インフルエンサー」と呼ばれる人々を通じてブランドや商品を宣伝してもらうマーケティング手法です。インフルエンサーマーケティングの主な舞台はブログやソーシャルメディアなどのオンラインプラットフォームで、コンテンツの内容はインフルエンサーが中心となって決定されます。「コンテンツを通じたブランドや商品のプロモーション」という意味では、インフルエンサーマーケティングはコンテンツマーケティングの一部と考えることができます。
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コンテンツマーケティングのデメリット
「91%のB2Bマーケターがコンテンツマーケティングに取り組んでいる」という調査結果があるほど、コンテンツマーケティングの効果はマーケターの間で確かなものとして知られています。しかし、オンライン上には、企業のブログ、ホワイトペーパー、ウェビナーなど、ありとあらゆるコンテンツが溢れており、狙ったターゲットにコンテンツが届かないという問題が起きています。
コンテンツマーケティングに関する情報を発信する「Content Marketing Institute」の調査によると、85%を超えるブランドが露出を高めるために何かしらのコンテンツを発信していますが、コンテンツマーケティングが「効果的だ」と感じているマーケターは全体の30%程度に留まっています。
さらに、コンテンツマーケティングは時間をかけてコツコツ続けることによって効果を発揮するマーケティング手法なので、効果が見えるまでコンテンツを作り続ける必要があるというデメリットもあります。コンテンツの作成を外部の会社に依頼した場合はまとまった予算も必要です。
インフルエンサーマーケティングが人気を集めている理由とは?
インフルエンサーマーケティングもコンテンツマーケティングと同様、フォロワーが数百人規模のメガインフルエンサーとタイアップしない限りは、いきなり目を見張るような効果はないかもしれません。しかし、インフルエンサーが持つフォロワーのコミュニティに直接働きかけることができるので、狙ったオーディエンスに確実にリーチできるという大きなメリットがあります。
有名人を起用したブランドによるプロモーション、つまり、有料広告によるプロモーションは以前から行われてきましたが、消費者の行動が変化し、ブランドのメッセージが以前ほど信用されなくなっています。そこでブランドは、ソーシャルメディア上に信頼関係で結ばれたフォロワーのコミュニティを持ち、特定の専門分野で強い影響力を持つインフルエンサーとのタイアップに着目しました。
Influencer Marketing Hubが2020年に約4,000のマーケティングエージェンシーやブランドなどを対象に実施した調査によると、2019年には380を超えるインフルエンサーマーケティングエージェンシーやプラットフォームが新設され、回答者の91%が「インフルエンサーマーケティングの効果に期待している」と答えました。
インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーがすでに構築している消費者のコミュニティにインフルエンサー経由でリーチできるという大きなメリットがあります。不特定多数に向けたキャンペーンよりも成果が分かりやすく、費用対効果が高いことでも知られています。
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インフルエンサーがブランドのコンテンツマーケティングを強化できる理由
ここまで、インフルエンサーマーケティングとコンテンツマーケティングの違いについて説明してきました。では、ブランドはいずれかの手法に集中するべきなのでしょうか。結論から言うと、決してどちらかを捨てる必要はありません。すでにコンテンツマーケティングに取り組んでいるのであれば、そこにインフルエンサーマーケティングをプラスすることによってマーケティング戦略を強化することができます。
価値のあるコンテンツを発信することはブランドにとって新しい顧客を惹きつけるための有効な手段ですが、正しいプロモーションが伴わなければコンテンツが存在していることにすら気づいてもらえないかもしれません。
ソーシャルメディアで活躍するインフルエンサーとタイアップしてコンテンツを配信してもらうことによって次のようなメリットが生まれます。
・確実にソーシャルメディアのユーザーに届くのでコンテンツを作るための時間とリソースが無駄にならない
・インフルエンサーはフォロワーが好むコンテンツを熟知している
・インフルエンサーは自らの経験や意見をコンテンツとして発信するためプロモーションに「人間味」が加わる
・インフルエンサーを通じてユーザーに接触することによって持続可能な関係性を構築できる
ブランドは、インフルエンサーマーケティングを通じてユーザーとの接点を作り、コミュニティを広げ、コンテンツマーケティングを強化することができます。さらに、業界で名前が知られているインフルエンサーとタイアップすることで業界の最新情報にも触れることができます。インフルエンサーを、単なる広告塔ではなくマーケティングチームの一員として迎えることによる効果は図り知れません。
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インフルエンサーマーケティングをマーケティング戦略に取り入れるコツ
この章では、インフルエンサーマーケティングを上手にマーケティング戦略に取り入れるためのポイントを紹介します。
・ゴールを明確にする
インフルエンサーマーケティングを実施するには、当然インフルエンサーを探す必要があります。有名なインフルエンサーとのタイアップはそれなりに費用がかかりますが、中には商品やサービスを無料でプロモーションしてくれるインフルエンサーも存在します。
ブランドが目指すのはこれまでとは違うオーディエンスへのリーチなのか、それとも短期集中型のプロモーションなのか、ゴールを明確にした上で最適なインフルエンサーを見つけることが大切です。
インフルエンサーを選ぶ主な基準は次の3点です。
・インフルエンサーが作成しているコンテンツの内容
・リーチ
・エンゲージメント
インフルエンサーに求める基準を明確にすることによって、ブランドに「相応しくない」インフルエンサーをフィルターにかけることができます。また、実際にインフルエンサーが作成したコンテンツを読み、フォロワーの反応を確認することも大切です。
インフルエンサーに仕事のオファーをする前に、最近の活動内容をソーシャルメディアなどでチェックしておきましょう。そして、インフルエンサーとコミュニケーションを取る際は、オープンでフレンドリーな関係性を保つことが重要です。
インフルエンサーは多くのブランドからタイアップのオファーを受けています。そのため、相手の時間を無駄にするようなオファーはすぐに断られてしまうでしょう。ブランドのゴールを分かりやすく説明し、正直にインフルエンサーとコミュニケーションを取りましょう。
・関係性を構築する
インフルエンサーマーケティングを実施する際は、トラフィックや「いいね!」の数、リーチなどの数字ばかりに目がいき、インフルエンサーとの関係性を築くことが後回しになりがちです。
ソーシャルメディアに投稿されたコンテンツよりも、ブランドとインフルエンサーが築き上げた関係性の方がずっと長く続きます。ブランドへ価値を提供してもらうことだけを考えるのは得策とは言えません。インフルエンサーと良い関係性を築こうとする姿勢がブランド側に見えたら、インフルエンサーは喜んでそれに応えてくれるでしょう。
もしブランドがポットキャストを運営しているのであれば、インフルエンサーを招待して番組を配信しましょう。インフルエンサーを自社のウェブサイトやブログで紹介することもできます。このように、インフルエンサーとブランドの双方にメリットがある関係性を築く方法を学んでいくことが大切です。
コンテンツマーケティングエージェンシー「BrandContent」の創業者であるSharon Flahertyさんは次のように話します。
「ブランドがターゲットとするコミュニティやオンラインプラットフォームに付加価値を与える作業は手間がかかります。しかし、ブランドが発信するメッセージに信憑性を持たせるためにはこれらの作業を自動化するべきではありません。」
ブランドはインフルエンサーと共にコミュニティを盛り上げ、ブランドを身近に感じてもらい、ファンを育てていく姿勢を持つことが大切です。
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まとめ
今回は、インフルエンサーマーケティングとコンテンツマーケティングの違いについて説明しました。
オンライン上にさまざまなコンテンツが溢れている現在、以前と同じコンテンツマーケティングの手法で狙った成果を得るのは難しいかもしれません。インフルエンサーとタイアップすることによって、オーディエンスが好むコンテンツを作成し、ターゲット層に届けることができます。
また、インフルエンサーとブランドの間に出来上がった信頼関係は、コンテンツマーケティング以外の戦略でも役に立つでしょう。
参考:https://mediakix.com/blog/content-marketing-vs-influencer-marketing-strategy/
https://smallbiztrends.com/2018/04/content-marketing-and-influencers.html
https://influencermarketinghub.com/influencer-marketing-benchmark-report-2020/
https://neilpatel.com/blog/influencer-outreach-in-content-marketing/