メガネブランドによるインフルエンサーマーケティング事例2選

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一流ジュエリーブランドから有名ドーナツショップまで、有効なマーケティング手段としてインフルエンサーを起用する企業はますます増え続けています。事実、マーケターの約89%が「インフルエンサーマ―ケティングによるROIは、他のマーケティング方法に比べて同等もしくはそれ以上の成果を生み出している」と回答しています。

中でも、洗練された画像や動画でオーディエンスの視覚に訴えかけるインスタグラムは、メガネのようなファッション性の高いアイテムと非常に相性が良いと言えます。今回は、インスラグラムを使ってインフルエンサーキャンペーンを成功させたメガネブランド2社の事例をご紹介します。

 

目次

      1. Warby Parker社の事例
      2. Polaroid Eyewearの事例
      3. まとめ

Warby Parker社の事例

インフルエンサーマーケティングの手法には、有名人のように膨大なフォロワーを持つメガインフルエンサーによって一度に多数のオーディエンスに訴えかけるという方法があります。その一方で、フォロワー数の少ないインフルエンサーを起用したコンパクトなアプローチもあります。

アメリカのメガネブランドであるWarby Parker社は、メガインフルエンサーではなくニッチなインフルエンサーとコラボするキャンペーンを企画しました。その内容は、もともとブランドのファンであったインフルエンサーを起用し、彼らが愛用するメガネを着用してそれぞれの分野で活躍する姿をコンテンツとしてアップするというものです。インフルエンサーとして選ばれたのは、およそ7,800~348,000人の強いフォロワーを持つ7人のインスタグラマーやYouTuberで、それぞれの個性が光るクリエイティブなコンテンツが次々アップされました。

キャンペーンの内容

本キャンペーン「Wearing Warby」では、ユニークかつクリエイティブなインフルエンサーを通して、オーディエンスのブランドへの関心とSNSにおける同ブランドとのエンゲージメント率を上げることを目的に行われました。

このキャンペーンの一番のポイントは、誰をインフルエンサーとして起用するかという点でした。Warby Parker社は、ブランドのパートナーとなるインフルエンサーは「”本物”であり、かつブランドにナチュラルにフィットする人物」でなければならないとして、以下の条件を掲げました。

・頻繁にブランドとコラボレーションしている記録がないこと。
・過去にWarby Parker社のメガネを着用しているコンテンツを1回以上掲載していること。(スポンサーなしのものに限る)
・ライター、料理研究家、ミュージシャン、写真家など特定の分野で秀でた才能があり、パッションを持って取り組んでいること。またそれらを行うにあたってメガネの着用が必要であること。
・インスタグラムを頻繁に使っている人物であること。

本キャンペーンのソーシャルメディアプラットフォームにはインスタグラムが採用され、各インフルエンサーがWarby Parker社のメガネを着用して生き生きと才能を発揮している様子が次々とインスタグラムに投稿されました。

結果

コンテンツのポスト数:18
ターゲットとなったインスタグラムのフォロワー数:844,111
いいね!の数:55,250
コメント数:640
エンゲージメント率(全体の平均値):3.45%

Polaroid Eyewearの事例

Polaroid Eyewearとは、特殊なフィルムによって反射光や眩しさを軽減する偏光レンズを使用した「ポラロイド・サングラス」のことです。Safilo社のブランドであるこのサングラスはブランド創始者Edwin Land氏が考案したもので、アウトドアやスポーツのシーンで広く活躍し、今や世界中で親しまれるサングラスへと成長しました。

そんなブランド創設80周年を記念したイベントのひとつとして行われたのが、今回のインフルエンサーマーケティングキャンペーンです。昨今、メガネ業界のマーケットは900億ドルにものぼるとされており、その競争は苛烈を極めています。そんな中、Safilo社のPolaroid Eyewearのポラロイド・サングラスを際立たせ、ほかのブランドとの差別化を図るため行われたこの企画は、これまでにないスケールのものでした。世界7ヶ国において計250人以上ものインフルエンサーを起用したのです。この企画は大きな話題となりました。

キャンペーンの内容

このキャンペーンは、イギリス、ブラジル、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェーの計7ヶ国で行われました。インフルエンサーの採用基準は、高いエンゲージメント率を保有していること、そしてブランドと関係性があることとし、各国からそれぞれ異なるライフスタイルやファッションスタイルを持つインフルエンサーが計250人以上選出されました。彼らはキャンペーン開始に合わせ、同時に自分たちの「ポラロイド・サングラス」の物語をインスタグラムにアップ。世界に向けてブランドの魅力を発信しました。

Safilo社のグローバルデジタル&メディアディレクターであるKrister karjalainenさんは、「私たちはビッグなインフルエンサーより、より真実味のあるコンテンツを求めてマイクロインフルエンサーとのタイアップにチャレンジしました」としています。さらに7ヶ国250人以上というスケールについて、「この企画はあらゆる企業やブランドの中で、私たちが知る限り最も規模が大きいインスタグラム・キャンペーンだったわ」とも言っています。

キャンペーンは2017年5月、まさにサングラス市場がピークになる時期を狙って実施されました。ターゲットは、1980年前後~2005年頃に生まれた若い世代、通称ミレニアル世代です。インスタグラムを効果的に使用したこの「視覚に訴える戦略」は、SNSによって審美眼が研ぎ澄まされたミレニアル世代の興味を引き付け、エンゲージメント率につなげるのに大きな効果を発揮しました。まさにターゲットにぴったりとフィットした戦略だったといえるでしょう。

結果

このキャンペーンで、Polaroid Eyewearはわずか1日にしてインスタグラムで1,500万以上のアクセスを記録しました。Safilo社は、ハッシュタグ #InstantExperience と #PolaroidSunを使ってオーディエンスによるリーチ、エンゲージメント率、販売実績を計測した結果、驚異的な成功を記録。これを受け、Krister karjalainenさんは「私たちは間違いなく、近い将来に同様のキャンペーンを行うでしょう」と宣言しています。

まとめ

今回、Warby Parker社では各分野で才能を発揮しているインフルエンサーとブランドのタイアップ企画を、Polaroid Eyewearでは他に類を見ない世界規模でのキャンペーンを打ち上げ、双方ともに大きな成果を上げました。

メガネやサングラスは、ファッション要素の強いアイテムであることから、視覚的なアプローチがマーケティングにおいて必要不可欠といっても過言ではありません。インフルエンサーが着用している姿をインスタグラムを通して見ることで、店頭で陳列されたアイテムを見ただけでは気づきにくいデザインやディテールを観察できるうえ、インフルエンサーたちの魅力的なライフスタイルに自分の姿を重ねることで、ブランドへの憧れを高める効果も期待できます。

またインフルエンサーマーケティングの知名度が年々上がり続ける中、ありふれたプロモーションではなく、オーディエンスの心をとらえる”本物”のコンテンツを作ることも重要な要素といえるでしょう。そのための戦略を練ることこそが、インフルエンサーマーケティング成功へのカギなのかもしれません。

 

参考:http://mediakix.com/2019/01/warby-parker-influencer-marketing-case-study-instagram/#gs.4z38uy
https://www.thedrum.com/news/2017/05/26/polaroid-eyewear-enlists-instagram-influencers-mark-80th-year-it-looks-balance
https://www.yotpo.com/case-studies/blenders/
https://www.fashionmonitor.com/free-blog/Polaroid-eyewear-on-its-influencer-campaign-success/jc

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