ファストファッションブランドによるインフルエンサーマーケティング事例4選

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「トレンドのファッションをリーズナブルに」をコンセプトとするファストファッションは、今やすっかりファッション業界におけるいちジャンルとして確立されています。そんなファストファッション業界のメインターゲットは、流行に敏感な若い世代であり、それは同時にSNS世代と言い換えることもできます。

視覚的なアプローチを得意とするインフルエンサーマーケティングは、ファッション業界と相性の良いマーケ戦略です。中でもメインのターゲット層がSNS世代であるファストファッション業界にとって、インフルエンサーマーケティングは理想的なアプローチ方法と言えるでしょう。事実、ZARA社やH&M社等の大手ファストファッションブランドは、すでにさまざまなインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施し、結果を出しています。

今回は、代表的な4つのファストファッションブランドが実施したインフルエンサーマーケティングキャンペーン事例をご紹介します。

 

目次

    1. H&M社の事例
    2. ZARA社の事例
    3. GAP社の事例
    4. OLD NAVY社の事例
    5. まとめ

H&M社の事例

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの背景

H&Mは、数あるファッションブランドの中でもインスタグラム公式アカウントのフォロワー数が特に多いブランドのひとつです。これは、同社がこれまで有効なインフルエンサーマーケティングを展開してきた結果と言えるでしょう。

H&M社のインフルエンサーマーケティングキャンペーンは、各キャンペーンの目的に合わせたバラエティ豊かな企画が特長です。これまでにセレブのようなメガインフルエンサーとタイアップしたインフルエンサーマーケティングキャンペーンや、家族が参加できるゲームを実施したキャンペーン、インスタグラムストーリーを使用したキャンペーンなどを実施してきました。

今回は、そんなH&M社のインフルエンサーマーケティングの中から、ホリデーシーズンに合わせて実施したキャンペーン事例をご紹介します。

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの概要

H&M社は、4人のセレブ・インフルエンサーとタイアップし、冬のホリデーラインナップの購買促進を目的としたインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施しました。インフルエンサーに選ばれたのは、俳優やミュージシャンといった4人のセレブたちです。彼らはホリデーをテーマにした1分程度の広告を宣伝するため、その数日前からインスタグラム、Facebook、Twitterなどで動画の一部を紹介。さらに#hmのハッシュタグとブランドの公式サイトのリンクをコメント欄に載せることで、オーディエンスのキャンペーンへの興味を駆り立てました。

4人の広告は、「インフルエンサーたちにそれぞれアクシデントが起こったものの、H&Mブランドのおかげでハッピーなホリデーを過ごすことができた」というストーリー仕立てになっています。男性、女性、母親、そしてペットを家族に持つ人と、それぞれ異なるライフスタイルをベースにしたことで、広い層のオーディエンスにリーチすることができました。

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの結果
・コンテンツの総閲覧数:1,247万7,727回
・いいね!の数:127万3,593回
・コメント数:1万4,859回
・シェア/リツイート数:1万9,420回
・エンゲージメント率:約10%

ZARA社の事例

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの背景

ZARA社は、数あるファストファッションの中でもトップの売上を保ち続けているブランドです。2015年には23億ドルという年間利益を達成し、「インフルエンサーマーケティングを実施した中で最も成功したブランド」として話題を集めました。

ZARA社は、早い段階からマーケティングにおけるインフルエンサーの影響力を重視しており、インフルエンサーマーケティングキャンペーンの実施に踏み切りました。ファッションに特化したトップインスタグラマーたちをインフルエンサーとして起用し、彼らにブランドの商品の魅力を宣伝してもらうことで認知拡大を狙ったのです。

またZARA社は、自社のファッションカタログページとよく似た画像をインスタグラムに投稿することで、ファッション業界のトレンドに関するアイディアやヒントをオーディエンスに広く提供しました。

今回は、同社が実施したインフルエンサーマーケティングの中から、特に大きな成果を挙げた「#I am denim campaign」をご紹介します。

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの概要と結果

ZARA社が実施したインフルエンサーマーケティングキャンペーン「#I am denim campaign」は、リアル・ピープル(実在する一般的な人々)のための新商品の開発を目指し、リアル・ピープルたち自身がZARA社とコラボして新商品のデザインプロジェクトに加わるというものでした。ZARA社とタイアップしたインスタグラムインフルエンサーのTeesh Rosaは、プロジェクトでの様子をインスタグラムに投稿。その再生回数は36万5,000回を超え、広範囲のオーディエンスへと拡散されました。

またZARA社は、インフルエンサーマーケティングキャンペーンによって「他のハイブランドの服よりも、ZARA社のファッションの方が取り入れやすい」というイメージを与えることにも成功しています。

GAP社の事例

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの背景

ハイストリートファッションブランドとして高い人気を誇るGAP社は、これまでにもたびたびインフルエンサーとタイアップしたキャンペーンを実施してきました。その中でも、シンプルな内容ながら大きな成果を挙げて話題となったのが、GAP社の新しいプロジェクト「styld.by」のプロモーションのためのインフルエンサーマーケティングキャンペーンです。

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの概要と結果

GAP社は、新しいプロジェクト「styld.by」のプロモーションのため、人気インフルエンサーたちとタイアップしたインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施しました。

インフルエンサーには、ファッションブロガー、モデル、歌手など幅広いジャンルでそれぞれ活躍する面々を起用。「過去に自分のサイトでGAP社のファッションについて取り上げたことがある人物」であることを条件とし、最終的には240万人ものフォロワーを持つRefinery29をはじめ、Jamie BauerやWhoWhatWhereといったソーシャルメディアにおいて大きな影響力を持つメガインフルエンサーたちが選ばれました。

このインフルエンサーマーケティングキャンペーンは、「インフルエンサーたちがGAPブランドのアイテムをどのように自分のワードローブに加えているか」というアプローチで構成されました。彼らが季節やシーンに合わせて自分らしくブランドのファッションアイテムを着こなす姿を見せることで、オーディエンスたちの心をしっかりと掴んだのです。そしてオーディエンス自身にも#styldby.youというハッシュタグと共に、自分たちのワードローブを紹介するよう促し、結果としてGAP社はずば抜けたリーチを獲得しました。

インフルエンサーたちの日常のワンシーンを切り取ったような演出は、よりコンテンツの「本物感」を強めることに成功。さらにコンテンツから直接インフルエンサーのワードローブを丸ごと購入できるシステムが導入されていたのも、このインフルエンサーマーケティングキャンペーンが成功した一因と言えるでしょう。

OLD NAVY社の事例

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの背景

手ごろな価格設定で世界的にシェアを伸ばしているOLD NAVY社は、「インフルエンサーマーケティングのベテラン」とも言えるブランドです。これまでもスポーツウェアの宣伝、ブラックフライデーセールなど、幾たびものシーンでインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施し、魅力的なコンテンツでリーチ数を増やしてきました。

インフルエンサーマーケティングキャンペーンの概要と結果

OLD NAVY社は、女優でありビューティー、ファッション、ライフスタイルなどのジャンルで活躍する人気インフルエンサーMeghan Rienksとタイアップしたインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施しました。

Meghan Rienksは、インスタグラム、YouTube、Twitterなどのソーシャルメディアプラットフォームにおいて活躍する人物です。インスタグラムでは130万人のフォロワーを、Youtubeでは200万人ものチャンネル登録者を持るほどのメガインフルエンサーであり、OLD NAVY社は彼女の人気とキャラクターを存分に活かした企画を考案。「さまざまなシーンでのファッションコーディネートのアイディア」を提供するキャンペーンを展開しました。具体的には、パーティーに参加する時の装いや、デートの時のおすすめコーディネート、1着で3パターン着回す方法、旅行に行く時の服の選び方などを数十秒~2分弱のビデオで紹介したのです。

このインフルエンサーマーケティングキャンペーンは、単純でありながら非常に効果的な結果を得られた事例のひとつです。たった1人非常に人気の高いインフルエンサーを使うことで、彼女のファンへ強いブランドメッセージを何度も届ける成功しました。

まとめ

今回ご紹介したファストファッションブランドは、ファッション業界で活躍するインフルエンサーとタイアップし、「彼女たちのワードローブやファッションアドバイスをオーディエンスへ提供する」という手法で、流行に敏感なオーディエンスの心を掴みました。

テレビや雑誌の広告と違い、インフルエンサーマーケティングはインフルエンサーたち個人の感性に任せることで、 オリジナリティと信ぴょう性のあるコンテンツが生み出せるのが強みです。インフルエンサーごとに違った服の合わせ方や着まわし術を提供することで、さまざまなアイデアやおしゃれのヒントを生み出すことを可能にしています。ファストファッション業界は、ファッション業界の中でも今回の事例のような「アイディアを提供する」タイプのインフルエンサーマーケティングがマッチしていたからこそ、ブランドの持つ魅力アピールに成功したと考えられます。

 

参照:
https://blog.hubspot.com/marketing/examples-of-influencer-marketing-campaigns
https://shanebarker.com/blog/influencer-marketing-examples/
https://mediakix.com/blog/hm-marketing-case-study-celebrity-influencers-sponsored-videos/
https://flockler.com/blog/4-examples-of-brands-using-influencer-marketing-tactics
https://pmyb.co.uk/5-influencer-marketing-campaigns-smashed-roi/

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