「Z世代」と呼ばれる「ジェネレーションZ」は、1996年から2010年に生まれた10代を中心とする年齢層です。10代が多い年齢層であるにも関わらず、彼らの年間購買力はすでに440億ドル(約4兆8400億円 / 1ドル110円計算)に達しています。
10代の消費者が顧客として重要な役目を果たすようになったため、あらゆるブランドがZ世代へのリーチを試みています。しかし、「デジタルネイティブ」「集中力が持続する時間はたったの8秒」など、これまでの世代とは異なる特徴を持つこの新世代にアプローチするのは簡単ではありません。
ブランドがターゲットとするオーディエンス、とりわけ Z世代にリーチするための新しい手法として注目されているのがインフルエンサーマーケティングです。「テレビなどかつてのメディアを捨て去った」と言われているZ世代に対して、インフルエンサーマーケティングが非常に有効なマーケティング手法として注目されています。
今回の記事では、Z世代の特徴と、Z世代にインフルエンサーマーケティングが有効である理由について前編と後編に分けて説明していきます。
- Z世代の特徴
- Z世代の人口
- Z世代とインターネット
- Z世代の購買決定
- Z世代とスマホアプリ
- まとめ
- 従来のメディアを捨て去った10代
- オンラインで10代にリーチする方法
- インフルエンサーとZ世代の強力な結びつき
- Z世代へ向けたマーケティングプロモーションの必要性
目次
-
前編
後編
Z世代の特徴
Z世代にはいくつかの特徴があり、それを理解することによって他の年齢層との違いを区別することができます。
Z世代の最も大きな特徴はインターネットとの親和性です。「デジタルネイティブ」と呼ばれるZ世代へのリーチは、デジタルマーケティングを行うブランドにとって新しいチャレンジであり、大きなビジネスの可能性を秘めていると言えます。
Z世代の11の特徴について順に説明していきます。
【Z世代の人口】
1. 全世界のZ世代の人口は2020年までに25億6000万人に達する
2. Z世代が成長するとアメリカの消費者全体の40%を占めることになる
3. 50%のZ世代が2020年までに「少数民族」になる
【Z世代とインターネット】
4. 全世界のZ世代の98%はスマートフォンを所有している
5. 「1日平均10時間」- Z世代の50%がネットに繋がっている時間
6. 71%のZ世代が1日3時間以上オンラインで動画を見る
【Z世代の購買決定】
7. アメリカのZ世代の85%は新商品についてソーシャルメディアで情報収集する
8. 「8秒間」- Z世代の集中力が持続する時間
9. 67%のZ世代は広告で「リアルな人々」を見ることを好む
【Z世代とアプリケーション】
10. Z世代の85%は広告をブロックするソフトウェアを使っている
11. 「他の SNS よりも Facebook が好き」と答えたZ世代はたったの9%
Z世代の人口
1. 全世界のZ世代の人口は2020年までに25億6000万人に達する
全世界のZ世代の人口は2020年までに25億6000万人に達すると予測されています。アメリカ国内では2020年までに8470万人になり、アメリカの人口の24.7%を占める計算になります。
Z世代は、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた世代)、X世代(1960年代初頭から1970年代に生まれた世代)に続く3つ目に大きな年齢層です。現在、アメリカ人の5人のうち1人がZ世代に属しています。Z世代は、2025年までに全人口の29%を占めると予測されています。
2. Z世代が成長するとアメリカの消費者全体の40%を占めることになる
Z世代は向こう数年で経済的に最もパワフルな世代になります。10代が多い世代であるにも関わらず、Z世代はすでにアメリカ国内の消費者が使う金額の6.8%を占めています。 現在、彼らの一週間のお小遣いの平均額は16.9ドル(約1860円 / 1ドル110円計算)と概算されているので、Z世代がダイレクトに使える金額は年間440億ドル(約4兆8400億円 / 1ドル110円計算)という計算になります。Z世代が成長してアメリカの消費者の40%を占めるようになると、彼らは経済に大きな影響を与える存在になります。
3. 50%のZ世代が2020年までに「少数民族」になる
アメリカのZ世代は多種多様な人種によって構成されています。2020年には全体の50.2%は混合人種か少数民族になると考えられています。
多数派ではなくなりつつある白人の人口が全体の49.7%を占める一方、ヒスパニック系が24.6%、黒人が13.1%、アジア人が7.9%、3.8%がそれ以外の人種で構成されると予測されています。この予測は、近年の人口構成のトレンドを反映したものです。
2000年から2010年にかけてのアメリカのヒスパニック系の人口増加率は他の国に比べて4倍でした。さらに、白人と黒人のハーフの増加率は134%、白人とアジア人のハーフの増加率は87%となっています。
Z世代は、性別、人種、性的思考などの多様性に富んだ世界に生き、柔軟な考えを持っていることも大きな特徴の一つです。
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Z世代とインターネット
4. 全世界のZ世代の98%はスマートフォンを所有している
「スマートフォン世代」の元祖と呼ばれるZ世代のデジタル機器の所有率は驚くべきものになっています。2017年の調査では、全世界のZ世代のスマートフォンの所有率は98%に達しています。
内訳を見てみると、アメリカの13歳~14歳の68%はスマートフォンを所有していて、15歳~17歳では所有率が76%に増加します。また、「13歳がスマートフォンの所有を始める年齢として適当である」と考えている人の割合が、Z世代では一世代前の「ミレニアル世代」に比べて4倍に上ります。Z世代の人々の生活にとってスマートフォンが欠かせないものになっていることが分かります。
5.「1日平均10時間」- Z世代の50%がネットに繋がっている時間
「デジタルネイティブ」と呼ばれるZ世代の大部分は、1日のうち少なくとも1時間はネットを使用していて、驚くべきことに全体の半分近くが1日10時間以上ネットを使用しています。
イギリスでは、Z世代が1日10.6時間オンラインコンテンツを閲覧していると報道されています。 Z世代は、スマートフォン、ノートパソコン、デスクトップパソコン、タブレットなど複数のデバイスを同時に使用することによってさらにネットに繋がる時間が長くなっていると考えられています。
スマートフォンに限って見てみると、Z世代の半分以上が6時間以上スマートフォンを利用しています。また、全体の80%がこれらの通信デバイスに触れていないと苦痛を感じるという結果が出ています。
6. 71%のZ世代が1日3時間以上オンラインで動画を見る
Z世代にリーチする方法としてオンライン動画マーケティングは必須と言えます。なぜならば、Z世代は平均して1日68本の動画コンテンツを閲覧しているからです。
2016年には約71%が「オンライン動画を1日3時間以上閲覧している」と答えています。また、80%のZ世代がオンライン動画を閲覧するプラットフォームとして YouTube を挙げていますが、Facebook の動画も79%のZ世代が名前を挙げる人気の動画プラットフォームです。
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Z世代の購買決定
7. アメリカのZ世代の85%は新商品についてソーシャルメディアで情報収集する
ソーシャルメディアはブランドがZ世代にリーチする上で最も強力なプラットフォームです。85%以上のアメリカのZ世代は新商品についてソーシャルメディアで情報を集め、69%は小売店に関するソーシャルメディア上の情報を基に店舗に足を運びます。ソーシャルメディア上の意見はZ世代にとって非常に影響力があり、10人のうち8人がソーシャルメディアでの情報をきっかけに、それまで訪れたことがない小売店に赴いています。
そして、アメリカのZ世代のうち83%は、ブランドの宣伝よりも買い物客によってシェアされたソーシャルメディア上の商品情報を信用します。83%の内訳を見てみると、45%の10代の消費者が Instagram で、40%が Facebook で新しい商品を見つけるという割合になっています。さらに、Z世代が購入決定をする前に YouTube で情報収集をする割合は、1980年前後~2005年頃にかけて生まれたミレニアル世代の倍であると考えられています。
8.「8秒間」- Z世代の集中力が持続する時間
即座に自分の求める答えが手に入り、無限の選択肢がある世界に生まれたZ世代は、「8秒間しか集中力が持続しない」と言われています。これは、Z世代と比較的近い世代であるミレニアル世代の「12秒間」と比べても圧倒的な短さです。
「Vine」「Snapchat」「YouTube」などのソーシャルメディア上の広告も6秒~10秒程度の時間的な制約が設けられています。
ただ、「集中力が持続しない」と言われるZ世代がコンピューター上でマルチタスクをこなせる能力は称賛されるべきものなのかもしれません。
9. 67%のZ世代は広告で「リアルな人々」を見ることを好む
Z世代はブランドの広告に信憑性と現実的なストーリーがあることを重視します。それを証明するのがZ世代のインフルエンサーマーケティングへの親和性です。2016年には、広告で「有名人」を見ることを好むと答えた人の割合は37%だったのに対し、「リアルな人々」を見ることを好むと答えた人の割合は67%でした。
今後、Z世代は成長し、仕事をする年齢になります。ブランドのマーケターは、経済力を持った彼らの購買行動に大きな影響を与えるソーシャルメディア上のクリエイターとタイアップすることを今以上に真剣に検討する必要があります。
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Z世代とスマホアプリ
10. Z世代の85%は広告をブロックするソフトウェアを使っている
Z世代は、ミレニアル世代や、1960年代初頭から1970年代に生まれた世代である「X世代」に比べて広告をブロックするためのソフトウェアを使用している割合が多く、全体の51%に上ると考えられています。
Z世代は、ウェブ上の広告に対して最も抵抗が強い世代と言えます。具体的な例として、4つのよくある広告媒体(オンラインリサーチ、オンラインディスプレイ、デスクトップ動画、スマホ動画)について好意的な見方をしているZ世代はたったの25%です。
対照的に、Z世代より一つ前の「Y世代」、さらにその前の「G世代」は同じ質問に対してどのカテゴリーにおいてもZ世代の25%を下回ることはありませんでした。
さらに、動画が再生される前の飛ばすことができない広告について否定的な意見を持つZ世代は36%、同じく飛ばすことができないポップアップ広告については42%が否定的な意見を持っています。 一方、飛ばすことが「できる」動画再生前の広告や、動画を閲覧することによって報酬がもらえるタイプの広告については受け入れられる傾向があります。
Z世代の82%は広告を飛ばすことができるのであればなるべく早くそうすると答え、69%は広告動画の再生が終わるまで何か別のことをして気を紛らわし、40%は広告動画が見終わるまでただじっと見続けます。
11. 「他の SNS よりも Facebook が好き」と答えたZ世代はたったの9%
Facebook はかつて、Z世代を含めて全ての世代の間で最も人気があるソーシャルメディアで、Z世代の4人に1人がコンスタントに Facebook のコンテンツを閲覧していました。
今では、「他の SNS よりも Facebook が好き」と答えたZ世代はたったの9%になっています。 Facebook はミレニアル世代の間で人気があり、主に高校時代の友人、同僚、家族と繋がる手段として利用されています。
一方、Z世代は Instagram や Snapchat を多く利用する傾向があり、Z世代の34%が Instagram を、35%が Snapchat を毎日利用しています。 また、Z世代は YouTube、Snapchat、Twitter よりも Instagram をチェックする頻度が多い最初の世代でもあります。
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まとめ
今回の記事では1996年から2010年に生まれた10代を中心とする「Z世代」について説明しました。
Z世代はパソコンやスマートフォンが生まれた時から身近にある環境で育ち、日常生活に関する疑問について調べる手段として SNS や動画プラットフォームを利用しています。中でも、写真がメインで理解しやすい Instagram はZ世代に特に人気があります。
これらのトレンドを受け、あらゆるブランドが Instagram で活躍するインフルエンサーとタイアップして商品をプロモーションする動きが今後益々増えることが予測されます。
「Z世代とインフルエンサーマーケティング【後編】」では、Z世代にインフルエンサーマーケティングが有効である理由について説明していきます。
おすすめ記事:Z世代とインフルエンサーマーケティング【後編】
参考:http://mediakix.com/2017/03/the-generation-z-statistics-you-should-know/#gs.dxwu6uDL