Z世代に向けた米国通信会社Sprintのインフルエンサーマーケティング戦略

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米国の通信会社「Sprint社」は、同じく通信会社の「Verizon社」と「AT&T社」といった競合他社に一歩リードされてきました。しかし2017年には、同社で「若者文化を理解するマーケティングチーム」が生まれ、それによってSprint社がプロバイダー市場で注目を浴びることになりました。

通常、通信関連企業は、
・対応エリア
・回線速度
・プラン
・その他の多くのオプショナルサービス
上記のように判定が難しい基準の中で競合してきました。

近年になって企業とその広告や宣伝キャンペーンが重要視されはじめたにもかかわらず、最新のマーケティング手法、つまりインフルエンサーマーケティングというチャンスを活用した通信機器ブランドはありませんでした。そんな中でSprint社は、2017年に#LiveUnlimitedというキャンペーンに取り掛かりました。また、若い消費者をターゲットにして「強力で若々しいブランド」というイメージを構築をするため、多数のマーケティングアプローチも開始しました。

今回は、Sprint社がZ世代をターゲットにして行ったインフルエンサーマーケティングキャンペーン事例をそれらの効果と合わせて紹介します。

目次

  1. 「Candybar」の誕生
  2. タイアップしたインフルエンサー
  3. 異文化間プロモーション
  4. 製品開発
  5. まとめ


  6. 「Candybar」の誕生

    Sprint社は自社ブランドの成長の遅さとマーケティング方法に欠陥があること、さらに近年、若者の採用に苦労していることを認めました。

    この傾向を断ち切り、強力かつ有益なサービスプロバイダーとしての地位を再確立するために、Sprint社は「Candybar」を設立しました。 Candybarとは、現在Sprint社のマーケティングを運営している、Z世代およびミレニアル世代を数人ずつ含む専門家によるマーケティングチームです。

    CEOのMarcelo Claureさんの支援を受けて、マーケティングの専門家であるJavier Quinonezさん、Jason Neubauerさん、Connor Blakeyさん、Tracy Palmerさんの4人で構成されたこのCandybarチームは、より親密なレベルで若い世代と関わるために「Sprintブランド」を再構築することに焦点を当てています。

    そのため、Candybarチームは「Z世代の若者は特に、ライフスタイルに合ったコンテンツを選んで時間を費やし、共有することを好んでいる」という考えを意識したマーケティング戦略を練りました。この新たなマーケティングの推進により、Sprint社は「#LiveUnlimitedキャンペーン」を開始し、電気通信業界のマーケティングに新たな風を取り入れています。これは大手携帯電話会社の1つが消費者の基盤と関係を築いた、業界内で初めての好例でした。

    このキャンペーンは、若者文化の多くの主要な要素を取り入れ、最高のエンゲージメントを獲得した素晴らしいコンテンツネットワークの構築に成功しています。



    タイアップしたインフルエンサー

    #LiveUnlimited Sprintキャンペーンが以前のマーケティング戦略とは大きく異なっていた部分の1つは、俳優の起用ではなくインフルエンサーとのタイアップでした。

    若い人たちは、インフルエンサーを見たりインフルエンサーのコンテンツに時間を費やしたりすることを楽しんでいるので、このマーケティングアプローチは以前のマーケティング戦略よりも、よりわかりやすく自然なコミュニケーションパターンをZ世代に提供しています。さらに、Sprint社は独自のインフルエンサーグループを組織して、ブランド認知度とブランドロイヤリティを高めるための幅広いチームを育成しています。

    最新の宣伝動画では、インフルエンサーのLele Ponsさん、Prince Royceさん、Bradley Martynさん、Rachel Cookさん、そしてGerard Adamsさんとタイアップしました。ほかにも、YouTuberのJake PaulさんからラッパーのJay-Zさんまで多ジャンルにわたるインフルエンサーとのコラボレーションを実現してきました。

    上記の各インフルエンサーは、何百万ものフォロワーを擁しており、Instagramだけでもトータルで3000万人にリーチしたことになります。

    この多様なインフルエンサーたちはライフスタイル、音楽、フィットネス、そしてインスピレーションなどを含むコンテンツカテゴリをカバーしています。Sprint社は消費者がどのようなジャンルの人でも、どんなコンテンツを好んでいても「すべての人に何か関連性があるように」、様々なタイプのインフルエンサーとコラボレーションを試みてきました。



    異文化間プロモーション

    Z世代は「様々な人口層が関わり合い、異文化理解に長けている」という点でよく知られています。若者のこの側面を理解して、Sprint社は多様で強力なキャンペーンにアメリカ系とラテン系の両方の文化を取り入れるために、ラテン系のメンバーを中心に編成されたマーケティングチームと協力しました。

    上記の目次でも紹介したラテン系インフルエンサーのLele PonsさんとPrince Royceさんは、どちらもヒスパニック系の血が濃い家系で、作成したコンテンツにそれをうまく反映させています。インフルエンサーと働くことの本当の利点は、彼らの独特のスタイル、個性、そしてソーシャルメディアコンテンツへのアプローチ能力を活かせることでしょう。

    この異文化間キャンペーンを通じて、Sprint社はより幅広いオーディエンスにアピールし、若者の注目を集めるべく「異文化プロモーションに焦点をあてている」という自社の世界観を伝えました。

    多くの場合、マーケティング部門は自社の世界観を大々的に表すことなく、マーケティングキャンペーンを展開します。もしくは逆に、自社の文化的観点を強力に表現するマーケティング方法も存在します。その中でリーチを拡大し、文化差を超えた「限りない(#LiveUnlimited)」キャンペーンを真に提供することをゴールとしたSprint社の取り組みは、若者に対する強い理解と、本物のコンテンツをキュレーションする方法を実証してきました。



    製品開発

    すべての素晴らしいマーケティングキャンペーンの背後にあるのは、魅力的な製品です。

    Sprint社は、若者が最も望んでいる2つの機能である、

    ・無制限のデータ通信

    ・無制限のテキストメッセージ

    上記を提供するためにサービスを再定義しただけでなく、宣伝活動の主体となっている「製品そのもの」をも変更しました。

    また同社は、ターゲットオーディエンスであるZ世代が、Jay-Zさんの新しいアルバムを聴けるように、音楽ストリーミング「Tidal」への無料購読を提供しました。

    さらにSprint社は若者に人気のあるインフルエンサーから、企業が普通スポンサーにならないようなYouTubeビデオまで幅広くフォローしており、自社製品の宣​​伝と撮影よりも「創造性があってターゲットが喜ぶもの」に焦点を当てた製品を制作するブランドとなることを宣言しています。



    まとめ

    今回は、米国の通信企業Sprint社によるZ世代をターゲットにしたインフルエンサーマーケティング事例を紹介しました。

    Z世代から圧倒的支持を受けるブランドとなったSprint社にとって、各目次で挙げたように自社のあり方を変えることは、信憑性と信頼を構築するのに役立っています。同社が、ブランド精神やマーケティングのあらゆる要素を若者にアピールした結果、キャンペーンの成功につながりました。

    ブランドエンゲージメントと関連性の構築は、マーケティングの新しい規範です。これらの要素がないキャンペーンならば、若い消費者からの関心を集めることは難しいでしょう。

    Sprint社の#LiveUnlimitedキャンペーンの素晴らしい点は、同社が創造的なコントロールをインフルエンサーの手に委ねているという事実です。同社はクリエイティブな面をインフルエンサーに任せる代わりに、各インフルエンサーの個人的なストーリーを広めることにも尽力しています。このことでブランドの「異文化プロモーションに焦点をあてている」というメッセージは、インフルエンサーのオーディエンスにもっと伝わる結果となりました。

    ・ターゲットオーディエンスについてよく考察する

    ・ターゲットに合ったインフルエンサーを探し出す

    ・タイアップしたインフルエンサーを信頼する

    この3点がマーケティングキャンペーンを向上させ、成功に導くポイントになるでしょう。


    参考:https://thenextweb.com/contributors/2017/08/24/how-sprint-leveraged-gen-z-to-pivot-their-brand/ 

    https://blog.hoopygang.com/5-interesting-influencer-marketing-campaigns-2017 

    https://www.inc.com/nicolas-cole/sprint-is-betting-big-on-influencer-marketing-with.html

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