ユーザー生成コンテンツ(以下、UGC)とは、企業やインフルエンサーではなく、ソーシャルメディアの一般ユーザーによって作成されるコンテンツのことです。ブランドや商品の口コミ、ブログ投稿、レビューなど、一般ユーザーによって投稿されたコンテンツはすべて「UGC」です。
ユーザーの生の声であるUGCは信憑性が高く、UGCをマーケティングプロモーションに活用することによって、ブランド名や商品認知度を高める効果があることが知られています。
ただし、UGCにはネガティブな口コミやレビューなども含まれるため、ブランドにとって良い影響を与えるUGCを継続的に調達するのは難しいのが現状です。そこでおすすめしたいのが、インフルエンサーマーケティング × UGCでバイラルを生み出す方法です。
今回は、UGCとインフルエンサーマーケティングを組み合わせたキャンペーン手法について詳しく説明します。
目次
- UGCはなぜ重要なのか?
- UGCの問題点
- 良質なUGCを調達するにはどうしたらいいのか?
- インフルエンサーとタイアップして良質なUGCを増やす方法
- インフルエンサーとのUGCコンテストを企画する手順
- UGCコンテストを成功させるためのコツ
- まとめ
UGCはなぜ重要なのか
まず、UGCプラットフォームの「Stackla」と「TurnTo Network」による調査結果を見てみましょう。
・UGCはブランドが作成したコンテンツの3倍も信頼性が高いと考えられている
・米国の消費者の90%がUGCが購入の決定に最も影響を与えていると感じている
多くの人は、商品やサービスの購入を考えた時にユーザーの口コミ( = UGC)を参考にします。さらに、商品を拡販するためにブランドが作成したコンテンツ(= 有料広告)よりも、ユーザーの生の声であるUGCの方が信用できると考えている人が多いのです。
そのため、ブランドや商品について良い評価をしているUGCを増やすことができれば、信憑性の高いプロモーションツールとして活用することができます。しかも、UGCはユーザーが自ら進んで作成するものなので、基本的にブランドはUGCに対して対価を支払う必要はありません。
ただし、UGCにはいくつか問題点もあります。
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UGCの問題点
多くのブランドは、UGCの重要性が増していることにすぐに気付きました。しかし、UGCはユーザーが作成するものなので問題点も多いのが現状です。グローバルネットワークコンサルティングの「PwC社」の消費者意識調査では、ブランドにとって良い影響を与えるUGCを増やすことは多くのブランドにとって依然として課題であることが明らかになっています。
UGCをマーケティング戦略に活用する際にブランドが直面する課題には次のようなものがあります。
・コンテンツの内容を制限できない
ユーザーはコンテンツの内容を自由に決めることができるため、その内容は必ずしもブランドにとってプラスになる訳ではありません。否定的なレビューはブランドのイメージを損なう可能性があります。ユーザーが投稿した不快なコメントによってブランドプロモーションが失敗に終わる事も考えられます。
・ユーザーの許可を求める必要がある
UGCには、著作権といった法的な問題も関係してきます。ビジネスページやウェブサイトでユーザーが投稿した写真を使用する場合には許可を求めなければなりません。場合によっては、そのユーザーに謝礼を贈る必要もあるということを念頭に置いておきましょう。
良質なUGCを調達するにはどうしたらいいのか?
良質なUGCを調達するためには、インフルエンサーとのタイアップが効果的です。ユーザーが作成したUGCとインフルエンサーは関連が薄いように思えますが、「インフルエンサーに、自らのフォロワーに対してUGCの作成を促してもらう」という方法があります。
インフルエンサーのフォロワーは、いわゆる「一般ユーザー」です。そして、多くのフォロワーはインフルエンサーのファンで、インフルエンサーが愛用しているブランドに強い興味を示すため、インフルエンサーと同じようにブランドのファンになってくれる可能性があります。
インフルエンサーを通じてブランドや商品に対する口コミを発信するようフォロワーに促してもらうことによって、ポジティブな内容のUGCを増やす効果が期待できます。
次章から、インフルエンサーとタイアップして良質なUGCを増やすための具体的な方法と手順を紹介します。
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インフルエンサーとタイアップして良質なUGCを増やす方法
良質なUGCを増やすために最もおすすめの方法が、インフルエンサーとタイアップしてUGCコンテストを企画することです。
UGCコンテストとは、ソーシャルメディアユーザーにブランドや商品に関するコンテンツを作成してソーシャルメディア上で発信してもらう企画のことで、インスタグラムやツイッターで非常に人気があります。
ユーザーは、自ら作成したコンテンツをUGCコンテストオリジナルのハッシュタグやブランドのハッシュタグと共に投稿することを求められ、優秀なコンテンツに選ばれるとブランドから賞品が贈られます。投稿するコンテンツには、商品を使用している写真や動画、商品レビュー、またはブランドに関連する情報などが含まれます。
UGCコンテストを企画する際は、インフルエンサーとタイアップして情報発信を手助けしてもらいます。インフルエンサーが発信した情報は、まず、インフルエンサーのフォロワーが目にすることになり、多くのフォロワーがUGCコンテストに参加してくれるでしょう。さらに、フォロワーがUGCを発信すると、「フォロワーのフォロワー」もコンテンツを目にすることになるため、さらに情報が拡散されていきます。
家具ブランドの「Wayfair」は、インフルエンサーとタイアップしてUGCコンテストを開催し、ハッシュタグ#WayfairAtHomeを使用して大量のUGCを調達しました。
インフルエンサーとのUGCコンテストを企画する手順
では、具体的にインフルエンサーとタイアップしてUGCコンテストを企画する手順について見ていきましょう。
1.パートナーシップを結ぶ前にルールを設定する
インフルエンサーとタイアップする前には、以下のようなルールを事前に設定しておきましょう。
・インフルエンサーにはブランドパートナーシップから得られるインセンティブとパートナーシップの目標を明確に伝える
・UGCコンテストで使用してほしくない言葉や画像を決めて伝える
・キャンペーンのスケジュールを決定する際はインフルエンサーがコンテンツ作成に十分な時間を使えように考慮する
インフルエンサーは、自身のオーディエンスが興味を持ち、情報を共有したくなるようなコンテンツをよく知っているため、ブランドとインフルエンサーの間で基本的なルールを決めた後のクリエイティブな面はインフルエンサーに任せた方が良いでしょう。
2.インフルエンサーに商品のレビューと推薦文を書いてもらう
インフルエンサーとタイアップしたらまず商品サンプルを贈って試してもらい、その商品レビューをフォロワーと共有するよう依頼してください。元々ブランドや商品のファンであるインフルエンサーとタイアップできればベストです。ブランドは、インフルエンサーのレビュー投稿にコメントで返信し、そのコメントにブランドタグを付けておきましょう。
唐突にUGCコンテストを開催するのではなく、インフルエンサーがあらかじめブランドや商品について推薦文を書いておくことによってフォロワーのブランドに対する信頼度が高まり、質の良いUGCが集まりやすくなります。
例えば、ライフスタイルインフルエンサーのBrittany Daisyさんは、インスタグラムでスキンケアブランド「Carbon Coco社」の利点についてはっきりと自身の意見をレビューとして述べた上で推薦文を書き、ユーザーにも商品レビューを投稿するよう促しています。
3. より多くのプラットフォームでコンテンツを展開する
UGCコンテストを行う際は、より多くの人々にリーチするために、ソーシャルメディアやブログなど、複数のプラットフォームでUGCコンテストについて情報拡散することが大切です。
タイアップインフルエンサーには、コンテストの優勝者や他の参加者のUGCを大々的に公開してブランド商品やサービスのメリットをアピールし、より多くの人に試すよう宣伝してもらいましょう。
4.インフルエンサーのパフォーマンスを測定する
インフルエンサーコンテンツのパフォーマンスをトラッキングし、効果測定を行います。各タイアップインフルエンサーとその投稿によってもたらされたエンゲージメント率とコンバージョンを確認しましょう。
どのコンテンツがうまく機能し、どのコンテンツがオーディエンスの印象に残っていないかを理解することは、今後のインフルエンサーマーケティングキャンペーンやコンテストを改善する上で非常に大切なことです。
インフルエンサーのコンテンツが投稿された後はパフォーマンス結果についてインフルエンサーに伝えて、次のコンテンツ戦略に活かしてもらうことも重要です。
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UGCコンテストを成功させるためのコツ
最後に、ブランドがUGCのメリットを最大化させ、UGCコンテストを成功させるためのポイントを見ていきましょう。
コンテンツポリシーを公開する
ユーザーに対してUGCの投稿を求める際は、ブランドのアカウントでコンテンツを再投稿する可能性があることをあらかじめ伝えておきましょう。多くの場合、ユーザーは自分が作成したコンテンツが「自分が作ったものである」と紹介されることで満足します。キャプションでユーザーをメンションし、コンテンツを作成した人物をはっきりさせておきましょう。
インフルエンサーマーケティングプラットフォームを利用する
UGCコンテストでタイアップするインフルエンサーは、元々ブランドや商品のファンで、フォロワーとの繋がりが強い人物が理想的です。多数のインフルエンサーが登録しているインフルエンサーマーケティングプラットフォームでは、業界やフォロワー数などの条件で簡単に理想のインフルエンサーを見つけることができます。
また、インフルエンサーとの契約やエンゲージメント率などの効果測定もプラットフォーム上で完結させることができます。
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まとめ
今回は、UGCとインフルエンサーマーケティングを組み合わせたマーケティング手法について詳しく説明しました。
一般消費者が商品やサービスを購入する際に、UGCは大切な判断材料になります。オンライン上に質の高いUGCを増やしておくことは、ブランドの無料のプロモーションとも言えます。
マーケティング業界で強い影響力を持つインフルエンサーにUGCの作成を促してもらうことによってUGCを大量に生み出し、ブランドや商品に関する口コミを効率的に増やすことができます。
また、不特定多数のユーザーが作成したUGCよりも、インフルエンサーのファンであるフォロワーが作成したUGCの方が、ブランドや商品に対して好意的で質の高いコンテンツになることも期待できます。
インフルエンサーマーケティングとUGCキャンペーンの組み合わせは今後、より重要なマーケティング戦略となるでしょう。
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参考:https://shanebarker.com/blog/user-generated-content/