「Briogeo(ブリオジオ)」は、化学成分などを使用しないナチュラルな素材にこだわった新しいヘアケアブランドで、2019年1月にNancy Twineさんによって設立されました。
すでに大手ブランドが市場のシェアを占める中、後発ブランドのBriogeoはインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施することによって、ブランド認知度を拡大しています。
今回は、2020年1月にBriogeoが実施した初めてのインフルエンサーマーケティングと、YouTubeを活用した動画によるインフルエンサーマーケティングの2つの事例を紹介します。初めてのインフルエンサーマーケティングならではの失敗談も紹介するため、これからインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施しようと考えているブランドは必見です。
目次
Briogeo初のインフルエンサーマーケティングキャンペーン事例
Briogeoは、2020年1月にビューティーインフルエンサーのKathleen Lightsさんとタイアップし、ブランド初となるインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施しました。
マイアミを拠点に活動しているLightsさんは、インスタグラムに210万人のフォロワーを持つメガインフルエンサーです。これまでに、アメリカのコスメブランドであるColourPopやMorpheなど、数多くのブランドとタイアップしてきました。Lightsさんは自身のマニキュアブランドも展開しており、美容・コスメ業界では名前が知られているインフルエンサーです。
Lightsさんは、「フォロワーの60%が女性」という特徴を持ちます。これは、美容・コスメ業界で活躍するメガインフルエンサーの平均である47%よりもかなり高い数字です。そして、ほぼ100%に近いフォロワーが美容に関心を持っています。つまり、Lightsさんとタイアップした美容・コスメブランドは高いROIが期待できるということです。
今回のインフルエンサーマーケティングキャンペーンでは、BriogeoとLightsさんがコラボレーションして新商品を開発する「カプセルコレクション」を実施しました。カプセルコレクションとは、ブランドがアーティストとコラボレーションして数量限定の商品を開発することを指します。
BriogeoとLightsさんのカプセルコレクションを披露したスポンサードコンテンツは6万件以上の「いいね!」を獲得しました。また、LightsさんのコンテンツはBriogeoの公式アカウントでも展開されました。
今回のインフルエンサーマーケティングキャンペーンのエンゲージメント率は1.7%という結果になりましたが、LightsさんとBriogeoが普段投稿しているコンテンツのエンゲージメント率の平均値よりも高く、初めてのインフルエンサーマーケティングとしては上出来だったと言えるでしょう。
また、LightsさんのスポンサードコンテンツをBriogeoの公式アカウントで投稿した後にフォロワー数が数千名増加するという成果もありました。特に、フロリダにあるコスメ販売店「Sephora」でLightsさんと直接会えるイベントについて告知した直後にフォロワーが急増しました。
このコンテンツでは直接Briogeoの公式アカウントのフォローを呼びかけた訳ではないにも関わらず、フォロワーを増やすことに成功しました。つまり、オーディエンスは自らの意思でBriogeoの公式アカウントをフォローしたことになります。インフルエンサーとのタイアップによって、ブランドへの興味を引き起こすことに成功したことが分かる好例です。
おすすめ記事:美容業界のインフルエンサーマーケティングリーダーL’Oréal社(ロレアル)の戦略
-
- https://lmnd.jp/blog/beauty-industry-loreal-influencer-marketing-strategies
初めてのインフルエンサーマーケティングキャンペーンならではの失敗
今回、Briogeoはインフルエンサーマーケティングで上々の結果を残しましたが、何事も初めから全部うまくいく訳ではありません。ここでは、Briogeoの初めてのインフルエンサーマーケティングキャンペーンで起こった3つの失敗を解説します。
1. キャンペーン固有のハッシュタグが使用されていなかった
今回のキャンペーンでは固有のハッシュタグが作成され、Briogeoの公式アカウントのコンテンツでは「#KathleenxBriogeo」と「#BriogeoXKathleenLights」という2種類のハッシュタグが使われました。ところが、 Lightsさんのアカウントに投稿されたコンテンツにはこれらのハッシュタグが使われていませんでした。
キャンペーン固有のハッシュタグは、キャンペーンの成果を測る上でとても重要なものです。また、オーディエンスがコンテンツをシェアすることによってキャンペーンの認知度を高めることができます。インスタグラムにはハッシュタグを検索する機能があるため、キャンペーンに興味を持った人がハッシュタグを使って効率的に情報を集めることができます。
ブランドとインフルエンサーが共通のハッシュタグを使用することはもちろんのこと、オーディエンスに情報を拡散してもらう際にキャンペーン固有のハッシュタグを付けてもらうように呼びかけることも大切です。
2. カプセルコレクションの開発プロセスについての情報発信がなかった
インフルエンサーとブランドによるカプセルコレクションの開発はインフルエンサーマーケティングのタイアップ手法として非常に効果的で、多くのオーディエンスの興味を惹くことができます。
しかし、今回のキャンペーンでは、インフルエンサーのLightsさんが完成した商品を手に持った写真がコンテンツとして投稿されましたが、商品を開発するプロセスについては情報発信がありませんでした。
商品開発のプロセスについても定期的に情報発信することによって、より多くのオーディエンスに興味を持ってもらい、長期的にカプセルコレクションについての口コミを拡散し続けることが可能です。
長期的に情報を拡散するとオーディエンスの目に触れる機会が増えるため、結果的に売上にも繋がりやすくなります。
3. ブランドとインフルエンサーの情報発信のタイミングが合わなかった
Briogeoは、今回のインフルエンサーマーケティングキャンペーンの最初のコンテンツを2019年12月に投稿しました。一方、インフルエンサーのLightsさんは、2020年1月6日にコンテンツの投稿を開始しました。
ブラントとインフルエンサーがそれぞれのアカウントでコンテンツを投稿する際には、タイミングを合わせる必要があります。特に、コラボレーションの告知などの重要な話題については、タイミングを合わせて情報発信することによる相乗効果が期待できます。これは、ブランドが複数のインフルエンサーとタイアップした場合も同じです。短期間で多くの人が同じ話題について情報発信することによって口コミが広がりやすくなります。
失敗から学べること
インフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施する上で大切なことは、少しでも長く、多くのオーディエンスによってブランドや商品の口コミが拡散されるような仕組みを作ることです。
そのためには、キャンペーン固有のハッシュタグをブランドとインフルエンサー間で共有する、タイミングを合わせて情報発信するなど、ブランドとインフルエンサーの密なコミュニケーションが欠かせません。
インフルエンサーマーケティングキャンペーンを企画する際は、ハッシュタグを活用して同業他社がどのようなコンテンツをどのようなタイミングで発信しているのかを調べることも必要です。
おすすめ記事:インフルエンサーマーケティングの失敗事例3選【前編】 – 失敗を防ぐにはどうしたらいいのか?
-
- https://lmnd.jp/blog/howtoavoidfailure1
動画を使ったインフルエンサーマーケティング事例
Briogeoは、カナダの動画マーケティング会社「Vireo Video」の協力のもと、インフルエンサーとタイアップした動画プロモーションを実施しました。BriogeoはYouTubeに公式アカウントを持っていましたが、動画の視聴回数が少なく、エンゲージメントも低い状態でした。さらに、YouTubeの有料広告もそれほど成果が上がっていませんでした。
動画を使ってBriogeoこだわりの商品の魅力をオーディエンスに分かりやすく伝えることによって、YouTubeからオンラインショップへのトラフィックを劇的に増加させることに成功しました。
・キャンペーンの内容
インフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施するにあたって、動画マーケティング会社のVireo Videoは40ページにも及ぶ企画書を作成し、Briogeoの顧客に関する情報や、YouTubeで動画をアップした際にトラフィックを最大化するための戦略を立てました。
そして、Briogeoにピッタリのインフルエンサーを選定し、オーディエンスにとって価値のある内容でありながら、ブランドや商品の魅力がしっかり伝わる動画を制作しました。また、売上への影響も追跡できるような仕組み作りも忘れませんでした。
さらに、インフルエンサーとタイアップして制作した動画を編集し、広告キャンペーンにも活用しました。
・キャンペーンの結果
インフルエンサーが出演する動画を通して分かりやすく商品の魅力を伝えた結果、それまでトラフィックが少なかったYouTubeが最も多いトラフィックを獲得するソーシャルメディアになりました。また、YouTube経由のオンラインストアの売上がたったの2ヵ月間で3,000%増加するという素晴らしい成果も得ることができました。
動画を使ったインフルエンサーマーケティングは、2020年のインフルエンサーマーケティングのトレンドの一つにも挙げられています。一度インフルエンサーマーケティングで動画コンテンツを制作すれば、それを他のソーシャルメディアやブランドの公式ブログなど、あらゆる媒体で二次利用することが可能です。
また、それぞれのソーシャルメディアによってユーザー層は異なるため、より多くの媒体でプロモーションを実施することによって、ブランドや商品認知度の拡大やオンラインストアへのアクセス増加などの成果が期待できます。
まとめ
今回は、ヘアケアブランドのBriogeoが実施したインフルエンサーマーケティング事例を2つ紹介しました。
すでに成熟している業界で後発ブランドがシェアを拡大するのは至難の技ですが、Briogeoはインフルエンサーマーケティングを実施することによって一気にリーチを広げ、商品の魅力を分かりやすくオーディエンスに伝えることに成功しました。
美容・コスメ業界ではすでに多くのブランドがインフルエンサーマーケティングに取り組んでいるため、これからインフルエンサーマーケティングに参入する場合、オーディエンス層の分析やキャンペーン実施後の施策など、綿密な計画が欠かせません。
自社で全てをマネージメントするのは難しいと感じた場合は、Briogeoのようにインフルエンサーマーケティングプラットフォームやエージェントなどを活用するのも一つの手段です。
おすすめ記事:「透明性」が求められる美容業界とインフルエンサーマーケティングへの影響【前編】
-
- https://lmnd.jp/blog/beautyindustry_transparency1
参考:https://popularchips.com/dailies/influencer-capsule-collection-case-study-kathleen-lights-x-briogeo/
https://www.vireovideo.com/briogeo-case-study/