キヤノンマーケティングジャパン株式会社× LMNDによる事例

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キヤノンのミニフォトプリンター「iNSPiC(インスピック)」。2018年に初めて発売されたスマホ専用モデルに続いて、2019年にはカメラ機能付きのモデルが発売されました。その販売を担うキヤノンマーケティングジャパン株式会社は、iNSPiCのプロモーションで、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND(レモネード)」を活用しました。

「若い世代へ向けて新しいブランディングをしていきたい」というキヤノンマーケティングジャパンの狙いに、今回のインフルエンサーマーケティングキャンペーンが見事にマッチしました。

今回は、キヤノンマーケティングジャパン株式会社× インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND(レモネード)」による事例を紹介します。

目次

  1. アメリカのティーンの間で流行していたミニフォトプリンターを国内でも導入
  2. 若年層はSNSが購買行動の基準
  3. 大切なのはインフルエンサーのエンゲージメント
  4. 「女性ファースト」を意識した新製品お披露目パーティー
  5. キャンペーンの振り返りと今後の課題
  6. まとめ


  7. アメリカのティーンの間で流行していたミニフォトプリンターを国内でも導入

    キヤノンマーケティングジャパン株式会社は、キヤノングループの国内におけるマーケティング活動やソリューション提案を行っている会社です。キヤノン製品に限らず、独自のITソリューションや輸入機器など、幅広い商品やサービスで社会のさまざまなシーンを支える役割を担います。

    今回、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND」を活用したキャンペーンでは、「iNSPiC(インスピック)」というミニフォトプリンターのプロモーションが行われました。

    iNSPiCは、コンスーマー、とりわけ若い世代に向けた商品です。どこでも手軽に写真プリントが楽しめるミニフォトプリンターで、2018年の9月にスマホ専用モデルが発売されました。もともとは2018年4月にアメリカで発売になった商品で、アメリカでは若いティーンに向けたミニフォトプリンター市場が盛り上がっており、これを国内でも導入しようと検討したことがきっかけだったといいます。

    国内販売を検討するにあたって、想定顧客となる若い女性へのヒアリングや、想定顧客と同世代の女性社員によるプロジェクトが立ち上げられるなど、女性目線でのマーケティングが行われました。

    今回、インフルエンサーマーケティングキャンペーンによるプロモーションが行われた2代目モデルには、新たにカメラ機能が追加され、「より社交の場が多い若い方に使っていただくことでキヤノンのファンを増やしていきたい」という狙いのもと、イベントや人が集まる場に出向く機会が多い10代から20代を想定顧客とした商品になっています。



    若年層はSNSが購買行動の基準

    iNSPiCのメインターゲットとなる若い女性に対するマーケティングを進めていくなかで、彼女たちはSNSで知ったものをさらにSNSで検索して、そこで持っている人がどれだけオシャレか、どれだけ評価されているかという点を購買行動の基準にしていることが見えてきました。

    SNSに掲載されている記事や情報が人の心理を決めるところに大きく関わっているという印象があり、キヤノンマーケティングジャパンは、商品の導入時からインスタグラムを主としたプロモーションを行っていたといいます。

    もともと、ハッシュタグを使ってソーシャル上で情報を拡散するアンバサダーを募集するなど、iNSPiCの発表前から他の商品でもインスタグラムを活用していたため、当初は、LMNDのような「社外」に依頼するという考えがあまりなかったといいます。

    担当者は、「ハッシュタグの施策みたいなやり方で少しずつ蓄積させていくのではなく、爆発的に数…つまり認知度を広げたい場合にこういうサービスを活用させていただくのも1つの手段だと感じてはいました。」と話しました。



    大切なのはインフルエンサーのエンゲージメント

    今回のインフルエンサーマーケティングキャンペーンでは、24名のインフルエンサーとタイアップが行われました。キヤノンマーケティングジャパンは、インフルエンサーを選定する際に、ライフスタイルやコンテンツのテーマといった基本的な内容に加えて、フォロワーへの波及力や親和性といった「エンゲージメント」という視点を大切にしたといいます。

    その理由について、担当者は次のように話しました。

    「事前の打ち合わせでもジャンルの特性についてはご説明いただいていましたが、やっぱりビューティ系などの方にとって、こういう商品は遠い存在なんですよね。

    インフルエンサーマーケティングを活用されている商品はたくさんあると思いますが、インスタグラムの主要ユーザーは女性だと考えると、お化粧品や旅行、美容家電といった『直接的に自分にメリットのある商品』であれば、こちらが羨ましくなるぐらいこうした施策は『やりやすい』と思うんです。もちろん、次から次へと新製品が出るので、マーケットとしては激戦区だと思いますが…。

    一方弊社の商品は、目に見えて痩せるとかキレイになるというわけではなく、かつ『誰にでも』というものでもないので、インスタグラマーさんと商品との親和性みたいなところを非常に重視しました。」



    「女性ファースト」を意識した新製品お披露目パーティー

    iNSPiCのキャンペーンの一環として、キヤノンマーケティングジャパンが主催した「新製品お披露目パーティー」に、タイアップしたインフルエンサーが招待されました。会場は花で埋め尽くされ、フードやドリンクにもこだわりを徹底した「女性ファースト」の会場作りを意識したといいます。

    その理由について、担当者は次のように話します。

    「通常うちで発表会などをやると、商品やキヤノンのロゴがドーンとあって、『キヤノンでございます』『インスタントカメラプリンターです!』みたいな感じなんですけど、今回はまず雰囲気づくりを重視しました。

    男性は、たとえ『女性向け』にアプローチした商材であっても、自分にとって『いいな』と思えるものなら抵抗なく手にとってくれる傾向があるというのが、過去の経験則から感じていたんです。

    女性の場合はすべてが自分のほうを向いてしつらえられていないと、なかなか拾い上げてくれないんです。だからこそ世の中には『女性向け』であることを全面に出した商品やサービスがたくさんあるわけですが、その中で、決してそうではない商品を都合よく拾いには来てくれないんです。

    『どこを切り取っても自分たちのほうを向いているな』と、女性向けのメディアの方やお越しいただいたインフルエンサーの方に感じていただけることを意識しました。」

    インフルエンサーが投稿したコンテンツについて、当初は、「新製品発表会に来ました」という内容の体験レポート的な投稿が増えるのではないかという懸念があったといいますが、インフルエンサーが自宅に帰ってから自分で写真撮影を行い、シールまで作った投稿が多かったのが印象的だったそうです。

    また、インフルエンサーが想像以上に長く会場に滞在し、商品の使い方や作り方についても質問があったことについて、キヤノンマーケティングジャパンの担当者は、「インフルエンサーの意識が高いと感じた」と評価しました。さらに、それぞれのインフルエンサーのアカウントの運用ポリシーがハッキリしており、会場で商品やインフルエンサー自身を撮影する際も、セルフプロデュース力が高いと感じたといいます。



    キャンペーンの振り返りと今後の課題

    今回のキャンペーンについて、キヤノンマーケティングジャパンの担当者は次のように話しました。

    「いいねの数だったりエンゲージメント率は狙いどおり高かったので、ある一定の結果は出せていると思います。あとは企業発信でもできることでもありますが、1つのアカウントからの発信だけでなく、いろんな個人のアカウントから発信していただくというのは、最終的に主のアカウントが盛り上がるきっかけになりえるので、非常によい施策だと思いました。」

    担当者は、「キヤノン」のこれまでのブランディングは、カメラやプリンターを中心に「上質である」といったイメージで、ブランドのファンは年配の方が中心だと感じているといいます。

    その反面、10代や20代の若い世代に向けたブランディングはとても弱いという認識があり、「キヤノン」というブランドではなく、iNSPiCなどの商品ブランドを前に出すことで、「これってキヤノンだったんだ」と、新しいイメージを培っていきたいと考えています。

    今後、新たなブランディングを進めるにあたって、これまでとは違う施策が必要になります。その際に、10代や20代の若年層へのアプローチ方法として、SNSを使ったプロモーションやマーケティングが核になっていくことでしょう。


    まとめ

    今回は、キヤノンマーケティングジャパン株式会社× インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND(レモネード)」による事例を紹介しました。

    キヤノンマーケティングジャパンの担当者は、「商品を使っている間=ブランドがアプローチする期間」だと捉え、「買ってもらって終わり」ではなく、その後も何かの手段を使って繋がり続けることが大切だと考えています。

    その点、SNSは即時性も高く、相手が個人だというところが大きなメリットなので、ツールとしてどう活用して価値を生み出し、ユーザーとうまくつながっていけるかを考えたいと話しました。

    インフルエンサーは、SNSに「フォロワー」という独自のコミュニティを持ち、日頃からコミュニケーションを取っています。新商品のプロモーションだけではなく、顧客との接点を保つという意味でも、インフルエンサーとタイアップした中長期的な施策は大きな効果が期待できます。

    少しでもLMNDに興味を持ったら、まずはお気軽にお問い合わせください。

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