株式会社松屋 × 「LMND(レモネード)」のバレンタイン商戦事例

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株式会社松屋は、2019年に創業150周年を迎えた老舗百貨店「松屋」の運営を手掛けています。正月の風物詩である「福袋」を先駆けて販売するなど、百貨店のファーストランナーとして挑戦し続けてきた松屋は、多くの百貨店が抱える「ある問題」に直面していました。

そんな松屋が選択したのは、意外にもインフルエンサーとのタイアッププロモーションというデジタルマーケティング戦略でした。

今回は、松屋がインフルエンサーマーケティングに興味を持った背景と、松屋銀座 × インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND(レモネード)」のバレンタイン商戦事例を紹介します。

目次

  1. 顧客の「百貨店離れ」
  2. スターバックスとのコラボレーションでインフルエンサーマーケティングを強く意識
  3. 2019年のバレンタイン商戦でインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施
  4. これからは顧客目線のコミュニケーションツールが必須
  5. まとめ


  6. 顧客の「百貨店離れ」

    松屋は「創意工夫」という社内理念を掲げ、「ファーストランナー精神」がDNAとして受け継がれていることが強みの一つです。

    長い歴史によって作り上げられた強いブランド力を持ち、日本初の「福袋」や「バンドル販売」といった新しい試みをいくつも打ち出し、業界を牽引してきました。また、店舗での接客だけではなく、抽選会やトークショーなどのイベントを実施するなど、あらゆる「おもてなし」のあり方を追求しています。

    百貨店のサービスは、作り手のこだわりや思いが込められた商品に、高い接客サービスという付加価値をつけて販売することで顧客に喜んでもらうことが基本になっています。モノの価値をしっかりと顧客に伝えていくという役割を担う一方、「百貨店は“むやみに”高い」というイメージを抱かれているという懸念があります。

    さらに、高年齢・高所得者の利用が増えたといわれる百貨店には、既存の「いいお客様」に守られているだけではなく、将来的にどうするべきかという課題も生じています。

    そのような課題に対して、実際にものづくりをしている人に店頭に立ってもらって顧客とコミュニケーションを取るなど、現場での取り組みも行っています。しかし、それは「来店した顧客へのアプローチ」に過ぎず、新たな顧客を獲得する取り組みではありません。



    スターバックスとのコラボレーションでインフルエンサーマーケティングを強く意識

    かつては百貨店が強い時代があり、松屋が企画自体にも強みを持っていたことから、情報を出すだけで行列ができました。それが評判を呼んで広報に取材が入り、テレビで紹介されてさらに情報が拡散されるという好循環を生んでいました。

    しかし、「百貨店のファーストランナー」として新しい企画を立ち上げても、いつかは競合に真似されてしまいます。そうなると、「企画の中身をどう伝えていくか?」という点が大事になってきます。松屋は、その点について課題があると感じていました。

    そんな中、スターバックスが日本上陸20周年を迎えるにあたって、松屋銀座の裏側に位置するスターバックスの日本1号店と共同で企画を行いました。

    松屋銀座と、銀座にあるスターバックス7店舗の共同企画として、オリジナルのグッズを作成、販売するなどのイベントが行われました。その際に、スターバックスは自社メディアでの情報発信といったインターネット上の情報拡散を担い、ポスター制作などの古典的な宣伝手法は松屋銀座が手掛けるといった住み分けをしながら情報を発信していきました。

    情報拡散のノウハウが進んでいたスターバックスとの共同企画をきっかけに、松屋はインフルエンサーマーケティングを意識するようになりました。



    2019年のバレンタイン商戦でインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施

    松屋銀座は、2019年のバレンタイン商戦でインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND(レモネード)」を活用したインフルエンサーキャンペーンを実施しました。

    毎年、デメルというブランドで松屋銀座オリジナルの「幸福のブタをモチーフにしたチョコレート」を販売しており、インフルエンサーマーケティングを実施した2019年は400個が完売しました。

    インスタグラムに1万7,000人のフォロワーがいるインフルエンサーの「ひるゆいな」さん(@yui7hiru)は、松屋銀座に足を運んでチョコレート売り場の写真を撮影し、インスタグラムに投稿しました。フォロワーからは「かわいい!」「食べるのがもったいない!」といったコメントが寄せられています。

    担当バイヤーによると、「これが欲しいんですけど」と顧客が見せてきた携帯の画面の3割程度がインスタグラムの画像だったといいます。ブランドとしても2019年は例年より格段に伸び率が良く、他のハイブランドも出店するなか、全約90ブランド中No.5の伸び率という成果を上げました。その結果を受け、松屋銀座は「LMNDを活用した効果はあった」と感じています。

    また、インフルエンサーマーケティングはオンラインを中心に実施するという特性上、リーチやエンゲージメントといった数値がある程度可視化されます。CTRやUUとはまた違うデータが溜まっていくことについても、「非常に意義ある取り組みだった」とキャンペーンを振り返りました。

    あえて既存の顧客層とは異なるインスタグラマーとタイアップ

    今回のキャンペーンでは300人ほどのインスタグラマーから応募がありましたが、「自撮りする女の子」など、普段は松屋銀座に関する投稿をしないようなインフルエンサーとタイアップするという選択をしました。松屋銀座は、そのようなインフルエンサーの投稿こそ反響も大きく、デメルが売れるという結果につながったと考えています。

    松屋銀座はLMNDを活用してインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施することによって、リアル店舗の良さをネットの強みを使って拡散することに成功し、いつもとは違う顧客層へのリーチにつながりました。



    これからは顧客目線のコミュニケーションツールが必須

    紙媒体を主流とするこれまでの宣伝手法は、売り手目線の一方的なものです。これからは顧客目線のコミュニケーションツールが必須と言えるでしょう。世の中に情報が溢れかえっている現状で生活者が頼りにするのは、同じ生活者目線の意見だからです。

    百貨店のようにハイブランドになればなるほど、「自ら情報発信したい」という意識が強くなり、従来の「プッシュ型広告」に偏りがちです。実際に、ソーシャルメディアを使いこなしている百貨店ブランドは、あまり多くありません。

    松屋は、今後も新しいファン層を掴んでいくためにインフルエンサーマーケティングに取り組むべきだと考えています。もちろん、課題は数多くあります。これまでメディアバイイングをメインの業務として取り組んできたため、運営自体をあまりやってこなかったという現状や、コンテンツ自体の面白みもバイヤーの提案次第という側面もあり、バイヤーが「面白い」ということに対して、実際に世の中はどう思っているのかということを、しっかりと調べる必要が出てきます。

    なるべく効率よく成果を上げるためには、もともと持っているコンテンツが強いこと、そして、コンテンツの出しどころが重要になってきます。その点、ネットの世界は「どんな人がいるか」というセグメントがはっきりしているので、松屋は、そこに当てるコンテンツを選べるという点に可能性を感じています。


    まとめ

    今回は、松屋がインフルエンサーマーケティングに興味を持った背景と、松屋銀座 × インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND(レモネード)」のバレンタイン商戦事例を紹介しました。

    今回の事例は、松屋銀座の催事にLMNDに当て込んだ形でしたが、今後はLMNDに合わせた企画やインフルエンサーを招いたイベントなど、次なるタイアップ企画のアイデアも生まれています。

    インフルエンサーマーケティングキャンペーンの舞台はオンラインだけに留まりません。商品サンプルをインフルエンサーにプレゼントしてインスタグラムで紹介してもらうだけではなく、今回の事例のようにインフルエンサーに実際の店舗に足を運んでもらうなど、アイデアは無限大です。

    LMNDを活用すれば、ジャンルやフォロワー数といった希望の条件からインフルエンサーを簡単に探し出すことができます。また、インフルエンサーとの契約やキャンペーンの実施、効果測定といった一連の流れをプラットフォーム上で完結させることができるため、初心者にもおすすめのツールです。

    少しでもLMNDが気になったら、まずはお気軽にお問い合わせください。

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