スターバックスはシアトルに拠点を置く世界的に有名なコーヒー店チェーンで、2018年には売上高でマクドナルドに次いで「世界で2番目に価値のあるファストフードブランド」と評価されました。
スターバックスはコーヒー店チェーン市場を牽引するブランドとして飲食業界を深く理解しているだけではなく、顧客へのアプローチとコミュニケーションのエキスパートでもあります。インフルエンサーマーケティングに積極的に取り組み、YouTubeやフェイスブック、インスタグラムなどのソーシャルメディアフォームでキャンペーンを成功させてきました。
今回は、そんなスターバックスのインフルエンサーマーケティング戦略と事例を紹介します。
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目次
スターバックスにとってインフルエンサーマーケティングとは?
スターバックスは、ソーシャルメディアをカスタマーサービスのためのツールとして活用しています。そして、ソーシャルメディアで強い影響力を持つインフルエンサーとのタイアップもスターバックスにとって重要なマーケティング戦略です。スターバックスはオンラインで繋がった複数のインフルエンサーとタイアップして魅力的なコンテンツを作成してもらっています。
インフルエンサーは自らのフォロワーについてよく知っているため、フォロワーに興味を持ってもらえるようなコンテンツを作成し、スターバックスの商品を効果的にプロモーションすることができます。
インフルエンサーを通じてブランドをプロモーションすることによってフォロワーとブランドの間に感情的な繋がりが生まれ、フォロワーの行動に大きな影響を与えます。また、インフルエンサーを通じてオーディエンスからフィードバックをもらうこともできます。
スターバックスにとってインフルエンサーマーケティングは単なる広告のための手段ではなく、消費者との繋がりを深め、ブランドや商品をより良いものに改善していくための大切なツールと言えます。インフルエンサーとオーディエンス、さらにはブランドを交えたコミュニケーションは、インフルエンサーとオーディエンスの間に信頼関係があるからこそ実現できる施策です。
インフルエンサーが担う大きな役割とは?
スターバックスは飲み物と食べ物を提供するブランドですが、自宅ともオフィスとも違う、スターバックスが提供する独特の上質な空間で過ごす時間もスターバックスブランドの大きな魅力です。インフルエンサーはスターバックスでの顧客体験をストーリーとして伝える役割も担っています。
インフルエンサーは魅力的なコンテンツを作り出すクリエイターであると同時に、フォロワーの心を動かす「ストーリーの語り手」でもあります。インフルエンサーマーケティングを実施することによって「ブランドが擬人化される」と言われているのはこのためです。
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1.スターバックスリザーブのインフルエンサーマーケティング事例
それでは、ここからはスターバックスが実施したインフルエンサーマーケティング事例を紹介していきます。
スターバックスは、2014年に独自のプレミアムブランドである「スターバックスリザーブ」を立ち上げました。スターバックスリザーブは限られた店舗のみで提供されるワンランク上のコーヒーブランドです。
スターバックスは、2018年12月14日にチェルシーのスターバックスリザーブ・ロースタリーがオープンする際に、ニューヨーク市を拠点に活動するグルメや旅行関連の3名のインフルエンサーとタイアップしてキャンペーンを実施しました。
キャンペーンのゴール
・ニューヨーク市で4番目となるスターバックスリザーブ・ロースタリーの認知度を高める ・スターバックスリザーブのブランドやメニューを紹介する
インフルエンサーとプラットフォーム
インフルエンサー:ニューヨークのブロガーとインスタグラマー
プラットフォーム:インスタグラム、インフルエンサーのブログ
タイアップしたインフルエンサーとインスタグラムのフォロワー数
@alyssa.lenoreさん – 13万2,000人
@brightbazaarさん – 27万人
@chelseaasoflate – 4万7,400人
キャンペーンの内容
インスタグラムでは、温かみのある木材の質感や照明、モダンな家具などを含んだ店舗の様子をドリンクの写真と共に投稿してもらいました。キャプションには、特別なコーヒーとロースタリーの雰囲気について説明が加えられ、@StarbucksReserveのメンションと、#StarbucksReserveのハッシュタグも付けられました。
キャンペーンの結果(合計)
ターゲットとなったインスタグラムのフォロワー数:44万9,400人
「いいね!」の数:2万9,699件
コメント数:1,232件
エンゲージメント率:3.42%
スターバックスは、日頃からグルメや旅行に関するコンテンツを配信しているインフルエンサーとタイアップすることによって、ターゲットオーディエンスへの効果的なアプローチを成功させました。また、スターバックスが店舗をオープンしたニューヨークを拠点に活動するインフルエンサーとタイアップしたことも、地元での認知度アップに貢献しました。
また、今回のインフルエンサーマーケティングキャンペーンのようにブログを運営しているインフルエンサーとタイアップすれば、インスタグラムで視覚に訴えるスポンサードコンテンツを投稿すると同時に、ブログでより細かい内容を伝えることができます。
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2.レッドカップキャンペーンのインフルエンサーマーケティング事例
スターバックスは20年近くにわたり、クリスマスシーズンに「レッドカップ」と呼ばれる特別なカップで飲み物を提供しています。2016年のクリスマスシーズン前にはユーザー参加型の「レッドカップキャンペーン」を実施しました。
このキャンペーンでは、顧客がスターバックスの店舗を訪れてレッドカップに思い思いのペイントを施し、インスタグラムやツイッターで「#RedCupArt」のハッシュタグを付けて投稿しました。投稿されたレッドカップはスターバックスの公式アカウントで紹介され、13種類のイラストがレッドカップの限定版としてスターバックスからリリースされました。
スターバックスは、レッドカップキャンペーンを盛り上げるために、イラストを得意とするインフルエンサーとタイアップしました。プロのイラストレーターの手によって美しいペイントが施されたレッドカップはソーシャルメディア上で大きな話題を集めました。
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3.ユニコーンフラペチーノのインフルエンサーマーケティング事例
2017年4月にスターバックスが5日間限定で発売した「ユニコーンフラペチーノ」はソーシャルメディアで大きな話題を呼び、その裏にはスターバックスのインフルエンサーマーケティング戦略がありました。
スターバックスは、ユニコーンフラペチーノを発売する数か月前から複数のYouTubeインフルエンサーに連絡し、ユニコーンフラペチーノを販売する5日間に商品レビュー動画を投稿してもらうように依頼しました。投稿された動画はタイアップインフルエンサー以外のインフルエンサーからも注目を集め、多くのインフルエンサーが自発的にユニコーンフラペチーノのレビュー動画を投稿しました。その結果、ユニコーンフラペチーノの販売期間中の5日間だけで20万本を超える関連動画が公開されました。
ユニコーンフラペチーノが話題作りのために発売されたのは明らかで、多くのインフルエンサーやユーザーが自発的にさまざまなソーシャルメディアにコンテンツを投稿しました。ユニコーンフラペチーノの成功以来、スターバックスは他にもいくつかの期間限定商品を発売しています。
スターバックスはユニコーンフラペチーノのような話題作りを積極的に行うことによって、「ユニークでクリエイティブなブランド」という印象を消費者に与えることに成功しています。
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4. ドラゴンフルーツのインフルエンサーマーケティング事例
スターバックスは、フォロワー数が10万人未満の「マイクロインフルエンサー」と呼ばれるインフルエンサーとも積極的にタイアップしています。
ファッション・ライフスタイルインフルエンサーでインスタグラムに3万9,000人のフォロワーを持つTomi Obebeさん(@goodtomicha)は、自身のアカウントでスターバックスの「ドラゴンフルーツ」という商品を紹介しました。
鮮やかなピンク色をしたドリンクにピッタリなビビットカラーのワンピースに身を包んだObebeさんは、スポンサードコンテンツのキャプションでファッションと自己表現について語りました。Obebeさんのコンテンツはスターバックスの公式アカウントにも投稿されています。
スターバックスはソーシャルメディアの自社アカウントで積極的に商品のプロモーションを実施していますが、インフルエンサーに依頼してスポンサードコンテンツを投稿してもらうことによって、自社アカウントとは異なるオーディエンスにリーチすることができます。
また、インフルエンサーはオーディエンスにとって友人や家族のように身近な存在なので、インフルエンサーが商品を持っている姿を自分自身と重ね合わせることができます。それによってオーディエンスは、「スターバックスのドリンクと共に過ごす時間」「スターバックスの店舗で過ごす優雅な時間」を疑似体験することができるのです。
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まとめ
今回は、スターバックスのインフルエンサーマーケティング戦略と事例を紹介しました。
スターバックスは、レッドカップキャンペーンのようなユーザー参加型のキャンペーンを数多く展開し、毎回話題を呼んでいます。インフルエンサーにもユーザー参加型のキャンペーンに加わってもらうことによって話題を一気に拡散し、キャンペーンを盛り上げることができます。
また、ユニコーンフラペチーノのように、ソーシャルメディアで話題が拡散されることを狙った商品開発を行っているのも大きな特徴と言えます。若年層が集まるソーシャルメディアで話題作りを行うことは、ビジネスを拡大していく上でもはや避けては通れない道かもしれません。
参考:https://mediakix.com/blog/starbucks-influencer-marketing-case-study-instagram/
https://klear.com/blog/influencer-marketing-report
https://lonelybrand.com/blog/50-best-brand-ambassador-influencer-marketing-campaigns/
https://medium.cohttps://klear.com/blog/influencer-marketing-reportm/influencercollective/10-best-unicorn-frappuccino-influencer-reactions-30a9057a6819
https://medium.com/better-marketing/the-sirens-lure-or-how-starbucks-engages-its-online-influencers-89227f34f9a3
https://influencerstrategies.com/4-flawless-influencer-marketing-campaigns-so-far-in-2017/