1980年から2000年の間に生まれたミレニアル世代は、携帯電話やインターネットなどの技術の進歩に触れながら育った最初の世代で、2020年現在、20歳~40歳になっているミレニアル世代の消費者は、ネットショッピングにおいて他のどの年齢層よりも高い購買力を持っています。
そのため、多くのブランドがミレニアル世代をターゲットにしたマーケティング戦略を展開し、とりわけミレニアル世代に大きな影響力があるインフルエンサーマーケティングキャンペーンに注目が集まっています。
今回は、そんなミレニアル世代に向けたインフルエンサーマーケティングのコツについて、5パートに分けて紹介します。
目次
- インフルエンサーマーケティングで、ミレニアル世代を活用すべき理由
- 1.社会問題に関するメッセージを作成する
- 2.インスタグラムストーリーを活用する
- 3.インセンティブを与えて興味を持たせる
- 4.ユーザー生成コンテンツ(UGC)を推奨する
- 5.「テイクオーバー」を利用する
- まとめ
インフルエンサーマーケティングで、ミレニアル世代を活用すべき理由
ミレニアル世代向けのマーケティングサイト「Millennial Marketing」の調査によると、米国人口の25%がミレニアル世代で構成されています。このMillennial Marketingと、マネジメント企業「McCarthy Group社」の調査による「ミレニアル世代の購買力」に関する驚くべき統計を、以下でさらに紹介しましょう。
・消費者層のうち21%がミレニアル世代で、約1兆ドル相当の購買力がある
・ミレニアル世代の約50%が、社会問題を積極的に解決しようとするブランドの製品やサービスの使用を検討している
・ミレニアル世代の37%の人が、社会問題の解決をサポートする製品またはサービスにお金を払うことをいとわない
・ミレニアル世代の80%が、ブランドに楽しませてほしいと考えている
・ミレニアル世代の84%が従来の広告を嫌う傾向にある
・ミレニアル世代の67%が広告ブロッカーをインストールしている
上記のような特徴を持つミレニアル世代には、インフルエンサーマーケティングによるアプローチが効果的です。インフルエンサーマーケティングとミレニアル世代は、実に密接な関係にあります。なぜなら、インフルエンサーのほとんどがミレニアル世代出身だからです。
またインフルエンサーは実在の人物であり、それぞれの分野に精通しているため、ミレニアル世代への効果的なアピール方法を知っています。
では、ミレニアル世代をターゲットとしたインフルエンサーマーケティングを実施するのに役立つ5つの方法を、以下で見ていきましょう。
1.社会問題に関するメッセージを作成する
冒頭で引用した「Millennial Marketing」の調査では、ミレニアル世代は社会問題を解決しようとしているブランドから商品やサービスを購入したいと考えています。
例えば、環境に優しい製造方法で作られた商品を販売しているブランドや、提供しているサービスを利用するたびに寄付を行うようなブランドが、社会問題解決に積極的なブランドです。
ミレニアル世代は社会問題に関して非常に敏感で、知識も豊富です。ミレニアル世代をターゲットとするならば、社会問題に関係するブランドメッセージを発信することが必要不可欠となります。
その際に、自身のブランドと関連のある社会問題をミレニアル世代と共有して、ブランドに興味を持たせることが重要です。そして、社会問題解決を支持するインフルエンサーを選定することで、ミレニアル世代の信頼を獲得することに繋がります。
米国のランジェリーブランド「Aerie社」の事例を見てみましょう。
Aerie社は、マイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーとタイアップして、「ボディ・ポジティブ運動」に関する認識を広めています。ボディ・ポジティブ運動とは、美の多様性を広げることで外見や体型といった自身の身体的特徴をポジティブに受け入れるという運動です。
その一例として、プラスサイズモデルといった、従来のスリムなモデルとは違ったインフルエンサーが人気を集めています。プラスサイズのファッションインフルエンサーは増えており、美の基準が広がっていることを象徴しています。
自身の身体的特徴に悩む人々が抱えた問題に関わったことで、Aerie社はミレニアル世代から大きな支持を得ることに成功しました。
2.インスタグラムストーリーを活用する
インスタグラムストーリー(Instagram Stories)機能が発表されたとき、世界中で大ヒットすることは予想されていませんでした。これは、FacebookやSnapchatなどのほとんどのソーシャルメディアプラットフォームで既にインスタグラムストーリーのようなオプションが利用可能だったためです。
しかしインスタグラムストーリーを利用している人は、1日3億人を超えています。ストーリー機能には「スワイプアップ」があるため、製品やサービスを宣伝するために利用しているブランドが増加傾向にあります。
「スワイプアップ」とは、外部リンクへのURLを直接貼り付けることができる機能で、ストーリーにしか存在しない機能です。通常のインスタグラム投稿にはURLを貼り付けることができないため、ストーリーはオンラインマーケティングに最適です。
このように無限の創造性を備えたインスタグラムストーリーは、インフルエンサーマーケティング担当者がミレニアル世代をターゲットにする絶好の機会となりました。
高級カーペットブランド「Boutique Rugs社」の事例を見てみましょう。
Boutique Rugs社は、インスタグラムインフルエンサーのAndrea Christinaさんとタイアップして、最新のラグコレクションを宣伝しました。Christinaさんはインスタグラムストーリーを利用し、寝室にカーペットを敷いてセールスポイントを強調した投稿を行いました。
ユーザーは、彼女のストーリーからBoutique Rugs社の公式ウェブサイトに簡単にリダイレクトできるため、Christinaさんは自身のフォロワーが使用できる割引クーポンコードを投稿に追加しました。
インフルエンサーとインフルエンサーマーケティング担当者は、インスタグラムストーリーを効果的に使用してフォロワーと交流を深めることができます。インフルエンサーマーケティングキャンペーンを成功させるためには、インスタグラムストーリーを活用できるインフルエンサーを選ぶことが重要です。
おすすめ記事:インスタグラムストーリー(Instagram Stories)を活用したインフルエンサーマーケティング
3.インセンティブを与えて興味を持たせる
ミレニアル世代のコンバージョンを促進するには、インセンティブを提供するのが効果的です。インフルエンサーマーケティングキャンペーンに参加することで得られる特別な割引クーポンコードや無料サンプルといったインセンティブを与えることで、ミレニアル世代のユーザーを惹き付けることが可能です。
このアプローチを使用すると、ターゲットにしているミレニアル世代は単にお得感を感じることができるだけでなく、お気に入りのインフルエンサーからもギフトを受け取った気分になることができます。
このように、ターゲットオーディエンスがインフルエンサーマーケティングに関わることで得られるメリットをわかりやすくすることで、ミレニアル世代のブランドロイヤリティとインフルエンサーマーケティングキャンペーンのコンバージョン率により良い影響をもたらします。
有名モデルのKendall Jennerさんは、ダニエルウェリントンの時計とカフを身に着けた写真と共に、特別な割引クーポンコードをフォロワー限定で提供しました。この投稿で、ダニエルウェリントンのブランド認知度と信頼性が向上しただけでなく、ミレニアル世代からの購買を促進することに成功しています。
おすすめ記事:ファッション・時計業界のインフルエンサーマーケティング【Daniel Wellingtonの戦略】
4.ユーザー生成コンテンツ(UGC)を推奨する
インフルエンサーマーケティングサイト「Olapic」の調査によると、56%の消費者は、他の消費者が肯定的な意見を添えて投稿した製品写真を見て、購入を考えています。今やユーザー生成コンテンツは、ブランドの主要なマーケティングツールになりました。
ブランドがユーザー生成コンテンツを利用していない場合、ミレニアル世代にアピールするチャンスを逃しています。インフルエンサーマーケティングサイト「CrowdTap」の調査によると、ミレニアル世代はSNS投稿を見る時間の30%を、ユーザー生成コンテンツの閲覧に費やしています。
さらにこの調査では、ミレニアル世代の71%が少なくとも1日に1回はSNSを見ていることが発表されています。つまり、ユーザー生成コンテンツを投稿している人々はかなり多くのミレニアル世代に毎日見られていることになります。
そのため、ユーザー生成コンテンツは、ミレニアル世代をターゲットとする際の重要な部分を占めており、インフルエンサーはユーザー生成コンテンツを推奨する上で大切な役割を果たすことができます。
インフルエンサーには、ターゲットオーディエンスにブランド製品をフィーチャーしたコンテンツを作成するよう促してもらいましょう。そしてその過程で、ユーザー生成コンテンツを投稿した人をフォローしている他のミレニアル世代にリーチすることが可能です。
前述したように、ダニエルウェリントンは時計を宣伝するため、割引クーポンコードをインセンティブとして使用したインフルエンサーマーケティングキャンペーンを実施しました。
ダニエルウェリントンは、この戦略とユーザー生成コンテンツを組み合わせて、インフルエンサーマーケティングキャンペーンをさらに効果的なものにしています。
ダニエルウェリントンは、インスタグラム上で「時計フォトコンテスト」を定期的に開催しています。このコンテストは、ダニエルウェリントンブランドの時計の写真にハッシュタグ#DWPickoftheDayを付けてユーザーに投稿してもらうというもので、コンテストの受賞者には無料で時計がプレゼントされます。
以下は、インフルエンサーがフォロワーにダニエルウェリントンのユーザー生成コンテンツを作成するように勧める投稿の例です。
おすすめ記事:ファッション・時計業界のインフルエンサーマーケティング【Daniel Wellingtonの戦略】
5.「テイクオーバー」を利用する
ソーシャルメディアの「テイクオーバー戦略」は、ブランドの認知度と認知度を高める素晴らしい方法です。テイクオーバーとは、ブランドの公式アカウントをタイアップしているインフルエンサーが「乗っ取る」という意味です。
テイクオーバー戦略を利用すると、ブランドのソーシャルメディアページは一定期間インフルエンサーに委ねられます。写真、動画、その他のコンテンツをブランドのマーケティング担当者に代わってインフルエンサーが投稿することを許可します。
テイクオーバーによって、インフルエンサーのフォロワーにブランド公式アカウントへ興味を持たせることができます。例として、洋菓子ブランド「Wilton Cakes社」の事例を見てみましょう。
例:ウィルトンケーキ
イリノイ州を本拠地とするWilton Cakes社は、インフルエンサーによるインスタグラムアカウントのテイクオーバー戦略を定期的に活用しています。最近、Wilton Cakes社は、料理家でありフードインフルエンサーのJenny Kellerさんとタイアップしました。テイクオーバー中、Jenny Kellerさんは四角いケーキのレシピをWilton Cakes社の公式アカウントで投稿し、フォロワーと共有しました。
下記の記事でも、テイクオーバーの例を紹介しています。
おすすめ記事:インスタグラムでのインフルエンサーマーケティングアイデア7選
まとめ
今回は、ミレニアル世代をターゲットとしたインフルエンサーマーケティング戦略を5つ紹介しました。
ミレニアル世代とインターネットは切り離せない関係にあるため、オンライン上で効果的なキャンペーンが展開できるインフルエンサーマーケティングに参入するブランドは年々増加しています。
ミレニアル世代は、SNS上での人気の傾向をよく理解しており、インフルエンサーが信頼できるかどうかを素早く判断します。
上記で紹介した5つの戦略は、インフルエンサーマーケティングを効果的に活用してミレニアル世代をターゲットにするのに役立ちます。また、ミレニアル世代は購買力が最も高いという調査結果からもわかるように、ミレニアル世代の購買行動に影響を与えることができることはビジネスの成功に繋がります。
ブランドメッセージやキャンペーンに合った適切なインフルエンサーとタイアップすることで、インフルエンサーマーケティングを成功させることができるでしょう。
おすすめ記事:有名ブランドのマイクロインフルエンサーマーケティングキャンペーン事例5選
https://lmnd.jp/blog/famous-brands-micro-influencer-marketing-case-studies
参考:https://shanebarker.com/blog/influencer-marketing-and-millennials/