IGCとUGCを組み合わせたAirBnB(エアビーアンドビー)のインフルエンサーマーケティング戦略

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世界的に有名なオンライン民泊サービス「AirBnB(エアビーアンドビー)社」の成功に最も貢献しているのは、アメリカ合衆国において1980年代序盤から1990年代中盤までに生まれたミレニアル世代です。彼らは1日平均5時間程度をインターネットに費やし、そのうちの30%がUGC(ユーザー生成コンテンツ)を閲覧している時間だと言われています。

ブランドにとって無料のプロモーションとも言えるUGCをインフルエンサーマーケティングと組み合わせることで効果的にオンラインマーケティングを実施することができます。今回は、インフルエンサーが制作したコンテンツである「IGC」とUGCを組み合わせて効果の高いインフルエンサーマーケティングを実施しているエアビーアンドビーの戦略を紹介します。

目次

  1. IGCとUGCとは?
  2. インスタグラムに力を入れてきたエアビーアンドビー
  3. エアビーアンドビーのIGC戦略
  4. エアビーアンドビーのUGC戦略
  5. エアビーアンドビーの事例から学べること
  6. まとめ
  7. IGCとUGCとは?

    「IGC(Influencer Generated Content)= インフルエンサー生成コンテンツ」とは、インフルエンサーが商品やサービスのプロモーションなどを目的として制作した広告コンテンツのことです。消費者の購買行動に大きな影響を与えるインフルエンサーとタイアップすることによって、ブランド認知度拡大や新商品のプロモーションなどのマーケティング活動を効率的に行うことができます。

    一方、「UGC(User Generated Content) = ユーザー生成コンテンツ」とは、ユーザー自身が作成するコンテンツであり、主に商品やサービスに関する口コミ投稿のことを言います。

    ソーシャルメディアなどの普及により、消費者はブランドから商品を購入するだけではなく、商品の写真やレビューなどをオンライン上に投稿することを通じて他者と繋がりたいと考えるようになりました。そのような消費者行動の変化を背景として広がっていったUGCは、ブランドにとって「無料のプロモーション」と言えます。

    IGCとUGCについてはこちらの記事に詳しく書かれていますので併せてご覧ください。

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    インスタグラムに力を入れてきたエアビーアンドビー

    事業を展開してから10年も経たないうちに、エアビーアンドビーは世界第3位のオンライン民泊サービスへと成長しました。それを支えたのは、旅行・ホテル業界に革命を起こし続けてきたオンラインマーケティング戦略です。

    エアビーアンドビーのオンラインマーケティング戦略の中心となっていたのがソーシャルメディア上でのインフルエンサーマーケティングで、同社はインフルエンサーマーケティングを通じてオーディエンスを理解し、ブランドのファンを増やしてきました。

    ソーシャルメディアの中でもエアビーアンドビーが特に力を入れているのがインスタグラムです。エアビーアンドビーは、18歳~29歳の若年層がユーザーの55%を占めるインスタグラムに注力することによってブランドのターゲット層を取り込み、事業を急成長させました。

    エアビーアンドビーのコンテンツの特徴

    多くのブランドはオーディエンスの注意を引くために美しい配色の写真を選び、加工して見た目をよくしています。一方、エアビーアンドビーは写真の加工をなるべく行わず、「本物」のコンテンツを作ることを意識しています。そこには、エアビーアンドビーが誰にでも気軽に利用できる民泊プラットフォームだということをアピールする狙いがあり、投稿内容も堅苦しくならないように気を配っています。

    また、キャプションではフォロワーにカジュアルなトーンで話しかけて関係性を築いています。ユーザーの体験談を基にしたコンテンツでは、ユーザーの人柄や訪れた場所などを中心にストーリーを展開しています。

    あくまでも「ユーザー目線」「ユーザーが主人公」のコンテンツ作りを意識することによってエアビーアンドビーのインスタグラムアカウントは多くのユーザーに支持されています。

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    エアビーアンドビーのIGC戦略

    エアビーアンドビーはインフルエンサーマーケティングが世の中に広がる前からその効果に気づいていました。インスタグラム上で世界的に名の知れたセレブインフルエンサーとタイアップすることによって、「エアビーアンドビー」というブランド名が2年間に10億人近くの潜在的なインスタグラムユーザーに届きました。

    有名インフルエンサーは膨大な数のフォロワーを持っているため、短期間で多くのリーチを獲得できます。そのため、一気にブランド認知度を高めたいと考えているブランドには有名インフルエンサーとのタイアップが適しています。

    エアビーアンドビーのインフルエンサーマーケティングは、2015年7月に歌手のマライアキャリーさんがマリブビーチの高級マンションに滞在したことから始まりました。エアビーアンドビーのCMO(最高マーケティング責任者)であるJonathan Mildenhall氏は、 「マライアキャリーさんはエアビーアンドビーを通じて滞在先を予約した最初のセレブリティ」だと話します。

    マライアキャリーさんとのタイアップコンテンツは4万5,000件の「いいね!」を獲得し、写真とキャプションの両方にエアビーアンドビーがタグ付けされました。

    多くの有名インフルエンサーとタイアップ

    エアビーアンドビーは2年の間に数十名の有名インフルエンサーとタイアップしてインフルエンサーマーケティングを実施しました。マライアキャリーさんとのタイアップは、エアビーアンドビーのインフルエンサーマーケティングの基本戦略になっています。

    エアビーアンドビーは、同社が持つ最も高級な滞在先に無料で宿泊する権利を有名インフルエンサーに提供し、その代わりにインフルエンサーたちはコンテンツでエアビーアンドビーに対する感謝を述べました。エアビーアンドビーは有名インフルエンサーとのタイアップによって膨大なリーチを獲得しただけではなく、「ホテルに代わる高級な滞在先」としてのポジションも獲得しました。

    エアビーアンドビーのIGC戦略は、フォロワーの少ない複数のマイクロインフルエンサーとタイアップしてエンゲージメントの高いオーディエンスを狙うインフルエンサーマーケティングとは対極的です。

    マイクロインフルエンサーとのタイアップは「深く狭く」オーディエンスにリーチする戦略なので短期的な売上のアップが期待できます。一方、有名インフルエンサーとのタイアップはマイクロインフルエンサーとは比べ物にならない規模のオーディエンスに対して「広く浅く」リーチする戦略なので、エアビーアンドビーのようにブランド認知度を一気にアップさせ、ビジネスを加速する効果が期待できます。

    イベントを活用したインフルエンサーマーケティング

    大きなイベントを活用してブランドの露出を高めることもエアビーアンドビーのインフルエンサーマーケティング戦略の一つです。多くの人が注目するイベントの前後にはイベントに関する情報がソーシャルメディアで頻繁に共有されるため、それに合わせてキャンペーンを実施することで話題を集めることができます。

    アメリカ国民にとって一大イベントであるアメリカンフットボールの試合「スーパーボウル」の第51回大会では、世界的に有名な歌手のLady Gagaさんにヒューストンの2,000万ドルの滞在先が提供されました。

    このコンテンツは52万7,000件以上の「いいね!」を獲得し、Lady Gagaさんはキャプションでエアビーアンドビーに対して感謝の言葉を述べました。また、このタイアップコンテンツは People、Vanity Fair、BuzzFeedなど多くのメディアに取り上げられ、Lady Gagaさんの2,500万人のフォロワーだけに留まらず、多くの人が目にすることになりました。

    エアビーアンドビーは、アメリカで人気の音楽イベント「Coachella」でもインフルエンサーマーケティングを実施しています。Coachellaでの事例についてはこちらの記事をご覧ください。

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    エアビーアンドビーのインフルエンサーマーケティングの結果

    2年間で37の有名インフルエンサーとタイアップしたエアビーアンドビーのインフルエンサーマーケティング戦略は、合計1,800万件の「いいね!」と51万件のコメントを獲得し、エンゲージメント率は4%という結果になりました。リーチしたインスタグラムユーザーは9億6,600万人にも及びます。

    インフルエンサーマーケティングを実施して2年間で37件というコンテンツの投稿数は他の有名ブランドに比べて非常に少ないですが、エアビーアンドビーは有名インフルエンサーとのタイアップを通じてブランド認知度を大幅に拡大し、グローバル展開を果たしました。

    エアビーアンドビーのUGC戦略

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    Staying at the cutest airbnb in Edinburgh

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    UGCを含む口コミによる情報拡散は、企業のマーケティング戦略にとって欠かせないものです。多くの調査で、アメリカ人の51%が企業のウェブサイトの情報よりもUGCを信用しているという結果が出ています。また、米国Nielsen社の調査で、新商品を知るきっかけは、店頭よりも友人や家族からの口コミが多いことが分かっています。

    エアビーアンドビーは、ユーザーが投稿したコンテンツを自社のアカウントで紹介する「リグラム」によってオーディエンスのエンゲージメントを向上させることに成功し、インスタグラムのコミュニティーを13%以上成長させました。フォロワー数に換算すると17万2000人増加したことになります。

    「リグラム」の絶大な効果

    エアビーアンドビーは過去にオーディエンスからの写真を募集するコンテストを開催しました。そして、2016年の第四半期に、コンテンツを投稿したユーザーから許可を得た上でリグラムを実施し、同時期にエアビーアンドビーが投稿したコンテンツのうちトップ5がリグラムによるものでした。

    UGCのリグラムによって、エアビーアンドビーは世界中の魅力的な場所を伝えるためのたくさんの写真を得て、滞在先でのユーザーの体験について知ることができました。それらの写真はフォロワーを「行ったことがない場所に滞在してみたい」という気持ちにさせるだけではなく、「自分もコンテンツを投稿してエアビーアンドビーというブランドと関わりを持ちたい」というモチベーションを高めました。

    コンテンツマーケティングの質を向上させて会話を生み出す上で、ユーザーとのコラボレーションの重要度は益々高まっています。ブランドは、企業広告とは違ったソーシャルメディアでのコミュニケーションによって新たな顧客と繋がりを持つことができるのです。

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    エアビーアンドビーの事例から学べること

    エアビーアンドビーは、IGC(インフルエンサー生成コンテンツ)とUGC(ユーザー生成コンテンツ)を上手に組み合わせて現在の地位を獲得しました。

    IGCを活用したインフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーがすでに信頼関係で結ばれているフォロワーへ直接アプローチすることができるので、効果的にブランド認知度向上や商品のプロモーションを行うことができます。

    一方、UGCは一般ユーザーによるものなので他のユーザーにとって非常に親しみやすく、すでにブランドのユーザーが大勢いることをアピールする有効なプロモーションツールと言えます。

    有名インフルエンサーのIGCでブランド認知度を一気に向上させ、UGCでエンゲージメントの高いユーザーを増やすエアビーアンドビーの手法は、インフルエンサーマーケティングに取り組んでいるブランドにとってお手本と言えるでしょう。

    まとめ

    今回は、インフルエンサーが制作したコンテンツである「IGC」と、ユーザーが制作した「UGC」を組み合わせて効果の高いインフルエンサーマーケティングを実施しているエアビーアンドビーの戦略を紹介しました。

    UGCにはインフルエンサーマーケティングとは異なる効果があります。UGCはすでにオンライン上にたくさん存在し、ブランドのハッシュタグで簡単に検索することができますのでぜひ取り入れたいものです。

    参考:
    https://www.pixlee.com/blog/how-airbnb-thrives-on-user-generated-content/
    https://mediakix.com/blog/airbnb-marketing-celebrity-instagram-influencers/
    https://letsinfluence.io/airbnb-influencer-marketing-strategy/
    https://skedsocial.com/blog/instagram-strategy-how-airbnb-experiences/

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