インフルエンサーマーケティングでセレブよりもインフルエンサーが好まれる4つの理由

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過去数十年の間、広告宣伝の主な舞台は、テレビやラジオ、新聞といったメディアでした。そして、誰もが知る「セレブ(有名人)」は、テレビから誕生することがほとんどでした。

しかし、ここ数年で「インフルエンサー」と呼ばれる新しいジャンルのスーパースターの活躍が目立つようになりました。

多くのブランドが、セレブを起用した大衆広告からインフルエンサーマーケティングへとマーケティング戦略の軸を転換しています。

米国インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「Linqia」が発表したインフルエンサーマーケティングに関する調査で、調査対象となった170名のマーケターのうち86%が「2016年にインフルエンサーマーケティングを実施した」と答えました。

インフルエンサーと、従来のスーパースターである「セレブ」にはどのような違いがあるのでしょうか。また、インフルエンサーが活躍の場を広げているのはなぜなのでしょうか。

今回は、インフルエンサーマーケティングでセレブよりもインフルエンサーが好まれる4つの理由を説明します。

目次

  1. インフルエンサーとセレブの違い
  2. インフルエンサーマーケティングでインフルエンサーが好まれる4つの理由
  3. まとめ


  4. インフルエンサーとセレブの違い

    まずは、インフルエンサーとセレブの違いを見てみましょう。両者は、個人の知名度や影響力を活用して商品やサービスのプロモーションを行うという点で非常によく似ていますが、明確な違いがいくつかあります。

    1. 専門性

    インフルエンサーは何かしらの専門分野を持ち、彼らが紹介する商品やサービスはその専門分野に準じていることがほとんどです。

    例えば、美容ブロガーは美容製品の新しいラインナップを紹介し、ファッションブロガーはファッションの新しいコレクションを紹介します。インフルエンサーは特定の分野のエキスパートであり、その分野におけるインフルエンサーの信頼性と関連性を活用したのがインフルエンサーマーケティングです。

    一方、セレブは必ずしも、宣伝する商品やサービスの専門家とは限りません。Justin Bieber さんのようなポップ歌手が Calvin Klein の下着をプロモーションしたり、Selena Gomez さんのような女優がスポーツブランドの Adidas Neo をプロモーションすることもあります。

    Justin Bieber さんや Selena Gomez さんはファッションデザイナーではなく、商品開発に関わってもいません。ただ、多くの人が知る有名人なので、宣伝効果は十分にあると考えられます。彼らのようなセレブには数百万人という規模のファンがいて、熱心なファンは彼らを尊敬し、彼らが紹介するものは何でも試してみたいと思っています。

    セレブは宣伝する商品やサービスを選びませんが、インフルエンサーは専門性がベースになっているという点で、両者は大きく異なります。

    インフルエンサーは特定の分野で強い影響力を発揮することができますが、インフルエンサーマーケティングを実施する際には注意しなければならないことがあります。

    インフルエンサーが抱えるフォロワーは、インフルエンサーが専門とする特定の分野に関心のある人々です。そのため、インフルエンサーが専門外の商品をプロモーションした場合、ファンが違和感を覚え、離脱してしまう可能性があります。

    インフルエンサーはそのことをよく理解しているので、自分の専門分野や信念に合ったブランドとタイアップするのが普通です。インフルエンサーマーケティングを実施する企業は、フォロワーの数だけでインフルエンサーを選ばないことが大切です。

    2. エンゲージメント

    セレブとインフルエンサーは、コミュニケーションのスタイルが大きく異なります。

    セレブのコミュニケーションは、「一方通行」なのが特徴です。セレブは、テレビやソーシャルメディア上の広告で商品やサービスをプロモーションしますが、それを見たオーディエンスは、セレブに質問をしたり、リアクションをすることはできません。

    一方、インフルエンサーマーケティングはソーシャルメディア上で実施されることが多く、インフルエンサーが発信したコンテンツを見たオーディエンスは「いいね!」やコメントなどのリアクションをすることができます。このような「双方向」のコミュニケーションが発生するのはインフルエンサーマーケティングの特徴の一つです。

    セレブを起用した広告の場合、それを見た人々は一方的に広告を見せられることになり、宣伝されている商品やサービスに強い興味を抱かない限り、その商品について他の人と話をすることはありません。

    インフルエンサーは、ソーシャルメディア上でオーディエンスと「会話」をします。それにより、オーディエンスとの間のエンゲージメントが高くなります。インフルエンサーが商品やサービスをプロモーションした場合、すでにその分野に興味を持っているオーディエンスに働きかけるため、インフルエンサーだけではなく、オーディエンス同士にも仲間意識が生まれます。その結果、商品やサービスについての会話が生まれやすくなるのです。

    インフルエンサーマーケティングは、口コミの効果をより高めるマーケティング手法と言えます。

    3. コンテンツ制作

    インフルエンサーマーケティングには、「コンテンツの制作」というクリエイティブな作業が必要不可欠ですが、インフルエンサーは「コンテンツクリエイターである」という点でもセレブと一線を画します。

    セレブを起用した広告の場合、広告のアイデアやストーリーは、ブランドやマーケターが考案するのが普通です。言い換えれば、セレブはキャンペーンの顔であっても、「ブレイン」ではないということです。

    対して、インフルエンサーは自らが発信するメッセージを考案し、コンテンツを制作するクリエイターです。ブランドはキャンペーンの目的などを含んだガイドラインをインフルエンサーに提供しますが、コンテンツのメッセージやトーンを決めるのはインフルエンサーです。

    インフルエンサーマーケティングにおいて、インフルエンサーにクリエイティビティーの自由を与えるのはとても重要なことです。インフルエンサーマーケティングに慣れていないブランドのマーケターは、インフルエンサーが制作するコンテンツの内容を事細かに指示していまいますが、これは典型的なインフルエンサーマーケティングの失敗例です。

    インフルエンサーは自らのオーディエンスをよく理解していて、どのようなメッセージが彼らに響くのかを分かった上でコンテンツを制作しています。「インフルエンサーはコンテンツクリエイターである」ということを認識し、クリエイティビティーの自由を与えることによって質の高いコンテンツを制作することができます。

    4. リーチ

    俳優、モデル、ミュージシャンなどのセレブは、オフラインを中心に幅広いリーチを獲得します。

    一方、インフルエンサーはソーシャルメディアを初めとするオンライン上で自らのフォロワーにリーチします。

    インフルエンサーのリーチは、通常、特定の分野のオーディエンスに限定されています。例えば、ゲーミング YouTuber がファッションや美容ブランドを宣伝することはないでしょう。でも、彼らはゲームやテクノロジー系の商品を紹介する時には、影響力の強さを発揮します。

    特定のオーディエンス層にリーチしたい場合は、セレブを起用した広告よりもインフルエンサーマーケティングの方が確実と言えるでしょう。



    インフルエンサーマーケティングでインフルエンサーが好まれる4つの理由

    ここからは、インフルエンサーマーケティングでインフルエンサーが好まれる4つの理由を紹介します。

    理由1.インフルエンサーはオーディエンス層に近い存在である

    セレブは、テレビや映画のスクリーンの向こう側にいる、言わば「別世界」の住人です。そのため、ファンにとっては憧れの対象であっても、友人や家族のようにアドバイスを求められる存在ではありません。

    インフルエンサーはオーディエンスにとって憧れの対象であるという点はセレブと共通していますが、それに加えて友人や家族のように非常に身近な存在でもあります。

    インフルエンサーはソーシャルメディア上でフォロワーのコメントに返信し、時にはフォロワーと触れ合うためのイベントにも出場します。Vineで活躍するインフルエンサーの Alx James さんは、「ソーシャルメディアでは600万人のファンに、僕は君たちと同じ実在する人間なんだと表現することができるんだ」とコメントしました。

    ソーシャルメディア上で活躍するインフルエンサーは、自らのフォロワーと信頼関係を築くために、ファンと積極的に関わりを持ちます。これは従来のセレブにはできなかったことです。そして、インフルエンサーマーケティングが効果的だと言われている大きな理由でもあります。

    インフルエンサーは特に10代のオーディエンスへの影響力が大きく、アメリカで YouTube を視聴する10代のうち70%が、「セレブ」よりも「YouTuber」を身近に感じると答えました。さらに、40%が「自分のお気に入りの YouTuber は、友人よりも自分のことをよく分かってくれている」と感じています。

    おすすめ記事:Z世代とインフルエンサーマーケティング【前編】

    インフルエンサーからの「おすすめ」は、家族や友人からのアドバイスに似ているため、商品やサービスを口コミに近い形でプロモーションすることができます。

    理由2.インフルエンサーは本音で発言ができる

    多くのセレブはタレント事務所に所属し、大衆イメージをコントロールされています。そのため、常に本音で発言ができるとは限りません。セレブが商品やサービスをプロモーションする際も、どこまでが本音なのか不透明な部分があります。

    対して、インフルエンサーはソーシャルメディアやブログに自身のチャンネルを持ち、自分の意見を自由に発信することができます。さらに、新しくコンテンツを配信する際に、誰かの許可を得る必要もありません。

    商品やサービスのプロモーションを成功させるためには、受け手に情報を信用してもらえるかどうかが鍵となります。多くのブランドがセレブを起用した広告の代わりにインフルエンサーマーケティングを選択するのは、インフルエンサーには信頼性、透明性、そして、オーディエンスとの関係というベースがあり、情報を信用してもらいやすいからです。

    理由3.ソーシャルメディアで情報収集をする人が増えた

    ソーシャルメディアは若年層を中心に年々広がりを見せ、 テレビやラジオといった従来のメディアに代わって情報収集のためのメインプラットフォームになりつつあります。それに伴い、ソーシャルメディアを主なプロモーションの場とするインフルエンサーマーケティングを選択するブランドが増えているのです。

    英国デジタルマーケティング会社「Smart Insights」が2019年に実施したソーシャルメディアの使用状況に関する調査で、全世界のソーシャルメディアのユーザー数は34億8400万人で、前年の同じ時期に比べて9%上昇したことが分かりました。世界の人口の2人に1人がソーシャルメディアを利用している計算になります。

    消費者がテレビやラジオからソーシャルメディアへと移行し、消費者を追いかける企業のマーケティングの舞台もソーシャルメディアに移行するのは自然な流れと言えます。インフルエンサーマーケティングは今後も益々広がっていくでしょう。

    理由4.狙ったターゲット層にアプローチできる

    セレブを起用した従来の広告は、大衆に向けて「浅く広く」リーチを獲得する目的で作られていました。

    一方、インフルエンサーは正反対のアプローチ方法を取っています。彼らは特定の分野に関心があるフォロワーを持ち、自身のフォロワーに喜ばれるようなニッチなコンテンツを作り、「深く狭く」リーチを獲得しています。

    言い換えれば、インフルエンサーとタイアップすれば、ブランドは狙ったターゲット層に確実にアプローチできるということです。

    インフルエンサーの PewDiePie さんは、YouTube でゲームに特化した人気チャンネルを運営しています。彼のコンテンツは全ての人に響くものではありませんが、YouTube チャンネルを視聴している4000万人のファンに大きな影響力を与え、ファンは彼の言葉の一つ一つを楽しみに待っています。

    ブランドにとって、ターゲット層へダイレクトにアプローチできるインフルエンサーマーケティングは、非常に魅力的なマーケティング手法です。



    まとめ

    今回は、セレブとのインフルエンサーの違いと、インフルエンサーマーケティングでセレブよりもインフルエンサーが好まれる4つの理由を説明しました。

    セレブとインフルエンサーには、次のような違いがあります。

    1. インフルエンサーは特定の分野の専門家だが、セレブはそうとは限らない
    2. インフルエンサーのコミュニケーションは「双方向」、セレブのコミュニケーションは「一方通行」
    3. インフルエンサーはコンテンツクリエイターだが、セレブは「発信者」に過ぎない
    4. インフルエンサーのリーチは「深く狭い」、セレブのリーチは「広く浅い」

    多くの場合、インフルエンサーには特定の専門分野があり、その専門分野に強い関心を持つ人々が「フォロワー」になっています。インフルエンサーはフォロワーと本音でコミュニケーションを取り、信頼関係を構築します。

    インフルエンサーマーケティングにおいてセレブよりもがインフルエンサーが好まれる理由は、インフルエンサーの「信頼性」と「透明性」にあると言えます。フォロワーにとって家族や友人のように身近な存在でありながら憧れの対象となっているインフルエンサーは、これまでのセレブとは異なる次元の影響力を持ちます。

    インフルエンサーに魅了され、インフルエンサーマーケティングに参入するブランドは今後も増えていくことでしょう。


    参考:https://neoreach.com/influencers-replacing-traditional-celebrities/
    https://shanebarker.com/blog/influencer-marketing-celebrity-endorsements/
    https://smallbiztrends.com/2018/02/influencers-vs-celebrities.html
    https://www.smartinsights.com/social-media-marketing/social-media-strategy/new-global-social-media-research/

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