多様化が求められるインフルエンサーマーケティング

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インフルエンサーマーケティングは2017年頃から急成長し、会社の規模に関わらず多くのブランドが、潜在顧客へアプローチするための方法として有望なインフルエンサーとのタイアップをマーケティング戦略に組み込んでいます。

業界が盛り上がりを見せる一方、「インフルエンサーマーケティングにはまだ足りていないものがある」と言われています。それは「インフルエンサーの多様化」です。

アメリカのビジネス雑誌「Entrepreneur Magazine」は、2016年に「注目すべき50人のオンラインインフルエンサー」という記事を書きました。そこで紹介されていたインフルエンサーは、全体の74%が男性、86%が白人でした。

意外に思われるかもしれませんが、インフルエンサーマーケティング業界は未だに男性と白人が優位なのが現状です。

あらゆる業界のブランドがグローバルなステージへの進出を目指すにあたって、幅広い年齢層や民族性を持つ顧客にアピール可能なマーケティング戦略が求められます。インフルエンサーマーケティングも例外ではなく、現在、これまでにない程「多様化・多文化」への変化が求められています。

今回は、インフルエンサーやブランドが実際に直面した多様化についての問題と、多様化・多文化へと変化するインフルエンサーマーケティングに対して企業がするべきことについて説明します。

目次

  1. インフルエンサーやブランドが直面した多様化についての問題
  2. 検索アルゴリズムでさえ差別をする
  3. 多様化に対応したインフルエンサーマーケティング
  4. 多様化が企業のインフルエンサーマーケティングへ与える影響とは?
  5. 今後も続く「インフルエンサーの多様化」という新しい波
  6. まとめ


  7. インフルエンサーやブランドが直面した多様化についての問題

    YouTube で活躍するインフルエンサー Daniella Perkins さんは、 アメリカで最大の音楽イベントの一つである Coachella で自身が経験した事をシェアしました。

    Daniella Perkins さんは10代に人気のファッションアプリ「Dote」をプロモーションするためにインフルエンサーが待機する家にいました。その際、黒人と白人で部屋が分けられていたと主張しています。Daniella Perkins さんは YouTube に投稿した動画の中で涙ながらに次のように訴えました。YouTube 動画はこれまでに60万回以上再生されています。

    「私は自分の経験をシェアするためにこの動画を制作しました。私はいつでも正直でいたいのです。これまで様々なブランドとタイアップしてきましたが、今回のような経験をしたのは初めてです。」

    Dote はこの事実を否定していますが、その場にいたインフルエンサー達は、用意されていたベッドには名前が付けられていて、誰もそのベッドを動かしていないと証言しています。

    この他にも、ペプシコーラが2017年に発表したキャンペーン動画に人種差別とも取れる内容が含まれており世界中から非難されるなど、ソーシャルメディア上のオーディエンスは多様性についての企業の考え方に対して厳しい目を向けています。マーケターはこの事実をしっかりと認識し、マーケティング戦略に反映していかなければなりません。



    検索アルゴリズムでさえ差別をする

    アメリカのオンラインメディア「Huffington Post」の記事には、世界最大規模のビジネス特化型 SNS「Linkedin」が2013年に推薦したインフルエンサーにも偏りがあると書かれています。

    Linkedin は、「地域、活動分野、カルチャーなどのカテゴリーからビジネス界にインパクトを与えているインフルエンサーを推薦するアルゴリズムになっている」と話していますが、推薦されていたインフルエンサーのほとんどが男性でした。

    実際に、「Linkedin のアルゴリズムは女性よりも男性が優先されるように設定されていた」と、シアトルの新聞社「Seattle Times」が報じています。Linkedin は2016年に、検索結果が男女間で公平になるようにアルゴリズムを刷新しました。

    このように、インフルエンサーマーケティング業界には、多様化・多文化に対する認識がまだまだ足りていないという側面があります。

    その一方で、多様化を認める世間の流れを敏感に感じ取り、インフルエンサーマーケティング戦略に取り入れる企業も増えてきているのです。



    多様化に対応したインフルエンサーマーケティング

    一部のブランドが、多様化に対応したマーケティングの重要性に気づき始め、マーケティングキャンペーンにその流れを取り入れています。大手小売業者「Target」の例を見てみましょう。

    Target は2017年に女性向けの水着をプロモーションするインフルエンサーキャンペーンを実施しました。Target は、あえて様々な体形をしたインフルエンサーをモデルに選び、キャンペーンに真実味を持たせ、より幅広いオーディエンスに向けてアピールしました。

    また、キャンペーンに使用された写真は一つも加工が行われませんでした。タイアップしたインフルエンサーは自信を持って水着姿を披露し、従来の「スタイルが抜群に良い水着のモデル」のイメージを覆しました。

    キャンペーン全体で20枚の写真が投稿され、24万件の「いいね!」と1700件のコメントが付きました。エンゲージメント率は9.8%という素晴らしい結果に終わり、キャンペーンは20以上のメディアに取り上げられました。

    現在、Target はあらゆる体形や肌の色を持つ顧客に合う商品を提供できるよう、幅広い商品ラインナップを持っています。

    今回の事例では、多様化や多文化を受け入れようとするブランドの姿勢がキャンペーンを通じてオーディエンスに伝わったことが成功の大きな理由と言えます。



    多様化が企業のインフルエンサーマーケティングへ与える影響とは?

    企業はインフルエンサーマーケティングに投資をするにあたって、戦略を立てる段階から「inclusivity = 包括性」について考える必要があります。

    Gap など様々なブランドでマーケティングの責任者を経験した Eric Toda さんは、歌手の Beyonce さんやモデルの Kim Kardashian さんなど様々なインフルエンサーとタイアップしたグローバルキャンペーンを展開してきました。

    Eric Toda さんは、インフルエンサーマーケティングの多様化について次のように彼の考えを話しました。

    「マーケターは無意識のうちに意思決定にバイアス(偏見)を持ち込んでいます。これまで、マーケティング自体が主に白人を中心に行われてきたので、それと同じような人を選んでおけば安心で、オーディエンスに共感してもらえると考えています。

    でも、残念ながらそれは現実世界とはかけ離れています。様々なストーリー、民族性、社会的なバックグラウンドを持ったインフルエンサーをタイアップすることによって、価値のあるメッセージを届けることができるのです。」

    インフルエンサーはブランドを代表し、ブランドの価値をオーディエンスに伝える存在です。今後、企業はオーディエンスの反応を予想して、インフルエンサーの選択をより一層慎重に行わなければなりません。



    今後も続く「インフルエンサーの多様化」という新しい波

    マーケターは従来の考え方にとらわれず、ブランドの顔として相応しいインフルエンサーとタイアップするために、積極的にインフルエンサーにアプローチする必要があります。最近は様々な民族性を持つインフルエンサーが活躍しているので、以前よりも選択肢の幅は広がっています。

    例えば、米国インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「Shade」は、肌の色が濃いインフルエンサーを専門に紹介しています。このような取り組みは今後も増えていくでしょう。

    ヒスパニック、アジア人、アフリカン・アメリカンなどの「少数民族」と言われている人々は、2050年までにアメリカの全人口の54%に上ると試算されています。若い人口が多くを占めるアジア市場も成長が著しく、企業には、多様化・多文化を認める姿勢が求められます。マーケターは世界のトレンドを掴み、インフルエンサーマーケティングについての世間の認識の変化を読み取る努力が必要です。


    まとめ

    今回は、インフルエンサーやブランドが実際に直面した多様化についての問題と、多様化・多文化へと変化するインフルエンサーマーケティングに対して企業がするべきことについて説明しました。

    グローバルなステージで勝負するブランドにとって、多様化・多文化に対する考え方をオーディエンスに発信していくことは非常に大切です。そのため、ブランドの声をオーディエンスに届ける役割をするインフルエンサーの選択がマーケティングの成功を左右します。

    インフルエンサーを選択する際にはフォロワー数などの規模にとらわれず、ブランドと同じ価値観を持ち、ブランドの考え方をメッセージとして正しく発信してくれる相手を探すことが大切です。


    参考:https://www.webhostingsecretrevealed.net/blog/socialmedia-marketing/the-need-for-diversity-in-influencer-marketing/

    https://www.forbes.com/sites/katetalbot/2019/06/02/diversity-in-influencer-marketing-why-representation-matters/#597e9c37a3e6

    https://medium.com/@NikkiElizDemere/the-problem-with-influencer-marketing-dca36712ea33

    https://www.buzzfeednews.com/article/tanyachen/youtubers-accusing-fashion-brand-dote-of-segregating

    http://mediakix.com/2017/04/target-marketing-on-instagram-case-study/

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