ソーシャルメディアを活用したインフルエンサーマーケティングは急成長しており、その中でも特に重要な役割を果たしているのがインスタグラムです。
インスタグラムの月間アクティブユーザー数は7億人、インスタグラムを活用したインフルエンサーマーケティングの市場規模は20億ドルに迫る勢いで、インスタグラムはブランドとインフルエンサーがタイアップして商品やサービスをプロモーションする場として最適と言えます。
インスタグラムを活用したインフルエンサーマーケティング手法として最も一般的なのは、商品やサービスに関するコンテンツをインフルエンサーに投稿してもらうことですが、その他にも魅力的なタイアップ方法はたくさんあります。
今回は、インスタグラムでのインフルエンサーマーケティングアイデア7選を紹介します。
おすすめ記事:【保存版】マーケティング担当者が知っておくべきインフルエンサーマーケティング10ケ条
目次
- スポンサーコンテンツの基礎知識
- インフルエンサーマーケティングで「するべきこと」「するべきではないこと」
- 1. アカウントを「テイクオーバー」する
- 2. プレゼント企画をする
- 3. 動画を共同制作する
- 4. チャレンジ企画をする
- 5. コンテストを実施する
- 6. 「ループギブアウェイ」を企画する
- 7. イベントを企画する
- まとめ
スポンサーコンテンツの基礎知識
インスタグラムを活用したインフルエンサーマーケティングで最も一般的な手法は、スポンサーコンテンツの投稿です。インスタグラムで活躍するインフルエンサーの多くは、ブランドとスポンサーと契約を結んでスポンサーコンテンツを投稿しています。
こちらは、スポンサーコンテンツの投稿例です。
アメリカでは、スポンサーコンテンツには#ad(広告)というハッシュタグを付けることが義務付けられているので、スポンサーコンテンツが判別しやすくなっています。
インフルエンサーは自分自身のライフスタイルに自然な形で商品やサービスを取り入れ、コンテンツを発信します。スポンサーコンテンツでは、ブランドのインスタグラムアカウントをメンションしたり、ブランドやキャンペーン独自のハッシュタグを付けるのが一般的です。
インフルエンサーマーケティングでスポンサーコンテンツを投稿する際は、一度のキャンペーンで複数のインフルエンサーとタイアップするのがポイントです。インスタグラム上に同じブランドやキャンペーンについてのコンテンツが短期間で複数投稿されることによって、インプレッションを増やす効果が期待できます。
また、インフルエンサーにタイアップ投稿を依頼する前に、インフルエンサーとの関係性を築いておくことも大切です。
インフルエンサーは、自身の専門分野やフォロワーとの関係性を大切にして仕事をしているため、「お金を払えばどんなコンテンツでも投稿してくれる」という訳ではありません。
まずは、ブランドや商品、サービスについてインフルエンサーに知ってもらいましょう。そして、インフルエンサーとコミュニケーションを取って信頼関係を築き上げてからタイアップ投稿を依頼すれば、より質の高いコンテンツを制作してくれます。
ブランドは、インフルエンサーマーケティングが人と人の繋がりの上に成り立っているということを強く意識する必要があります。
インフルエンサーマーケティングで「するべきこと」「するべきではないこと」
インスタグラムでのインフルエンサーマーケティングアイデア紹介に移る前に、インフルエンサーマーケティングにおいて、「するべきこと」と「するべきではないこと」について説明します。
インフルエンサーマーケティングは効果的なマーケティング手法として急速に広がっていますが、ブランドがインフルエンサーに多くの事を求めすぎたり、双方のコミュニケーションがうまくいかなかったりと、失敗が多いのも現状です。
インフルエンサーマーケティングで失敗しないためのコツを初めの段階で学んでおくことは非常に大切です。
インフルエンサーマーケティングで「するべきこと」
・インフルエンサーに対して、ブランドが望むことやキャンペーンのゴールを具体的かつ分かりやすく伝える。
・クリエイティビティに関してブランドが求めることを事前に共有する。それによって、インフルエンサーはブランドに相応しいコンテンツを制作することができる。
・ブランドは、「インフルエンサーにコンテンツを作ってもらったらそれで終わり」ではなく、インフルエンサーと密にコミュニケーションを取ってインフルエンサーマーケティングを効果的なものにするための工夫をする。
インフルエンサーマーケティングで「するべきではないこと」
・インフルエンサーのフォロワー数だけで判断しない。大切なのは、そのインフルエンサーが持つフォロワーのエンゲージメントが高く、インフルエンサーが推薦した商品やサービスを購入してくれるかどうか。
・「フォロワーがたくさんいる1人のインフルエンサーとタイアップすれば一晩で劇的な成果が上がる」と思わないこと。インフルエンサーマーケティングでは、複数のインフルエンサーと同時にタイアップした方が効果的。
・インフルエンサーがコンテンツを制作するために十分な時間を確保しておく。時間が足りないとコンテンツの質が下がってしまう。
このように、インフルエンサーマーケティングを成功させるためにはいくつかのコツがあります。特に、インフルエンサーの選び方と、ブランドのインフルエンサーマーケティングに対する関わり方は非常に重要で、それによってキャンペーンの結果に大きな差が出ます。
こちらの記事に、マーケティング担当者がインフルエンサーマーケティングについて知っておくべき事をまとめてありますので併せてご覧ください。
おすすめ記事:【保存版】マーケティング担当者が知っておくべきインフルエンサーマーケティング10ケ条
それでは、本題に移っていきましょう。
1. アカウントを「テイクオーバー」する
テイクオーバー(takeover)は、日本語で「引き継ぐ・乗っ取る」を意味します。インフルエンサーマーケティングにおけるテイクオーバーとは、ブランドもしくはインフルエンサーが、互いのアカウントを使ってコンテンツを投稿することを意味します。
この手法の利点は、互いのフォロワーに対していつもとは違ったテイストのコンテンツを提供できることです。テイクオーバーは、フォロワーの興味を引く上で非常に効果的です。
こちらのコンテンツは、SONYのデジタル一眼レフ「アルファ」のインスタグラムアカウントを、フォトグラファーインフルエンサーの@wantedvisualさんがテイクオーバーした例です。
@wantedvisualさんは空中撮影を得意とするフォトグラファーで、自身のインスタグラムアカウントに10万人のフォロワーを持っています。
「カメラブランド」と「フォトグラファー」のように親和性の高いカテゴリー同士のテイクオーバーは、ブランドとインフルエンサーの双方にメリットがあります。
テイクオーバーを実施する際のコツは、最短で1日、最長でも1週間程度の期間限定にすることです。あまり長引かせると特別感がなくなり、効果が薄れてしまいます。また、ブランドのアカウントを安心して預けられる信頼のおけるインフルエンサーに依頼することが大切です。
2. プレゼント企画をする
プレゼント企画は情報が拡散されやすいので、どのようなジャンルのブランドであっても効果的なインフルエンサーマーケティング手法です。
ミニゴルフなどのエンターテイメントが楽しめるイギリスのバー「Puttshack」は、新店舗のオープンを記念して、インフルエンサーの@victoria.winterfordさんとタイアップしてインフルエンサーマーケティングを実施しました。
@victoria.winterfordさんはタイアップコンテンツの中で、スパのペアチケットが当たるプレゼントキャンペーンについて説明しました。オーディエンスは、Puttshackと@victoria.winterfordさんのインスタグラムアカウントをフォローし、コメントを投稿することによってプレゼント企画にエントリーできます。
バーとスパのチケットはあまり関連がないように思えますが、大人を対象としたバーのインフルエンサーマーケティングに、大人の利用者が多いスパのチケットが当たるプレゼント企画を取り入れることによってオーディエンスの興味を引く狙いがあります。
また、プレゼント企画はオーディエンスに向けたプロモーションだけでなく、インフルエンサーマーケティングでタイアップするインフルエンサーを探す場合にも役に立ちます。
フォロワー数が少ないインフルエンサーの場合、商品サンプルをプレゼントするだけでコンテンツを無料で配信してくれることもあります。ただし、単に商品サンプルをプレゼントすればいいという訳ではないので注意が必要です。
ある有名なゲームソフトメーカーは、インフルエンサーにゲームソフトのサンプルをプレゼントしてインスタグラムで紹介してくれるように依頼しました。
ところが、インフルエンサーはそのメーカーと関わった経験がなく、「このゲームメーカーが、お金を支払うから商品をプロモーションして欲しいと言ってきたが、このゲームはちっとも面白くない。」と、ネガティブなコンテンツを投稿をされてしまいました。
この事例は少し極端かもしれませんが、メーカーがインフルエンサーを広告塔として利用しようとした失敗例と言えます。
商品サンプルをもらったからといって、インフルエンサーがその商品をプロモーションする義務はありません。インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーとフォロワーが長い間築き上げてきた関係性を活用したマーケティング手法なので、ブランドはその関係性を尊重し、インフルエンサーと信頼関係を築き上げることが大切です。
ブランドがインターネットなどでインフルエンサーを探し出して直接タイアップを依頼することもできますが、インフルエンサーが多数登録しているインフルエンサーマーケティングプラットフォームを活用すればこのようなトラブルを防止することができます。
3. 動画を共同制作する
最近、インフルエンサーマーケティングにおいて、動画コンテンツの重要性が増しています。動画コンテンツは視覚的に分かりやすく、YouTubeなどの動画プラットフォームと親和性が高いZ世代へのアプローチ方法として非常に有効と言えます。
インスタグラムでも、動画を使ったインフルエンサーマーケティングが盛んに行われています。
こちらのコンテンツは、米国ヘッドフォンメーカー「Beats By Dre社」が実施した「Above The Noise」というインフルエンサーマーケティングの事例で、有名スキーヤーのLindsey Vonnさんが動画に出演しています。洗練された動画と音楽によってBeats By Dre社の世界観が見事に表現され、動画はこれまでに20万回以上再生されています。
おすすめ記事:Beats by Dre 社にとってインフルエンサーマーケティングとは?
このように、インフルエンサーマーケティングにおいて、動画を使用したコンテンツの重要性は高まる一方です。
Market Domination Media社が制作したインフォグラフィックに、動画や写真などのビジュアルコンテンツ(視覚的なコンテンツ)が効果的だと考えられる理由について次のように書かれています。
・同じ情報を文字ベースとビジュアルベースのコンテンツでそれぞれ示した場合、人間の脳が情報を処理するスピードは、文字よりもビジュアルの方が60,000倍速い
・1日の間に人間の脳に送られる情報の90%はビジュアルデータである
インフルエンサーマーケティングで動画や写真などを活用し、質の高いビジュアルコンテンツを制作することによって効果的なプロモーションが可能になります。
インフルエンサーマーケティングでブランドとインフルエンサーが共同制作した動画は特別感があり、インフルエンサーのイメージと動画のイメージがマッチすれば、オーディエンスがブランドのファンになるきっかけを作ることができます。
4. チャレンジ企画をする
ソーシャルメディア上で「チャレンジ企画」というコンテンツが流行しています。
最近では、筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の研究を支援するための「アイスバケツチャレンジ」という動画が話題になり、複数の有名人がインスタグラムなどのSNSに動画を投稿したことで世界中に広まっていきました。
チャレンジ企画のような参加型のコンテンツは急速に広まっていくのが特徴です。特に、「次にチャレンジする人を指名する」という形式のチャレンジ企画は、ソーシャルメディアで繋がっているオーディエンス同士で拡散されやすくなります。
チャレンジ企画は、インスタグラムのタイアップコンテンツにも活用することができます。
米国コスメブランドOlayは、普段のスキンケア用品をOlayの製品に置き換える「28日間チャレンジ」というインフルエンサーマーケティングを実施しました。
インフルエンサーの@thatbohogirlさんは自らのオーディエンスに対して「28日間チャレンジ」への参加を呼びかけ、インスタグラムに「28日間チャレンジ」に関する投稿をする際には、#28DaysChallengeのハッシュタグを付けて、参加者の肌の変化を互いに共有することを促しました。
チャレンジ企画は目的が分かりやすく、楽しめるものであることが大切です。
5. コンテストを実施する
コンテストは、チャレンジ企画やプレゼント企画のようなワクワク感があるため、インフルエンサーマーケティングの中でも情報が拡散されやすいコンテンツの一つです。
また、インスタグラムでのコンテストの場合、ブランドやインフルエンサーのアカウントのフォローやコンテンツのリツイートがコンテストへの参加条件になることが多いため、フォロワーの増加に直結します。
米国マーケティング会社「Tailwind社」が6万件のインスタグラム投稿を調査した結果、1,000件以上のコメントを獲得したコンテンツの91%が「コンテスト」だったことが分かりました。
また、インスタグラムでコンテストを実施したアカウントは、実施しなかったアカウントに比べて3ヵ月間で70%も多くフォロワーが増加しました。
インスタグラムを活用したインフルエンサーマーケティングにおいて、話題を作りだすことは非常に大切です。「思わず誰かに拡散したくなるようなコンテンツ」を常に意識して、ブランドとインフルエンサーの双方でアイデアを出し合うことによって、結果が出るキャンペーンを実施することができます。
6. 「ループギブアウェイ」を企画する
「ループギブアウェイ」とは、複数のインフルエンサーがそれぞれのアカウントでプレゼント企画を同時に開催することを意味します。
参加したインフルエンサーが同時に同じ写真を投稿し、お互いをタグ付けすることによって、ループ(輪)のような相乗効果が生まれます。また、複数のインフルエンサーが全く同じ写真を同時に投稿するため、「インスタグラムジャック」のような効果が生まれます。
オーディエンスはループギブアウェイに参加しているアカウントを全てフォローすることによってプレゼント企画に参加する権利が得られます。
米国のソーシャルメディアマーケティング会社「Jumper Media社」が、インフルエンサーやブランドを含む自らのクライアントに対してループギブアウェイについて尋ねたところ、ほとんどのクライアントが「試したことがない」と答えましたが、ループギブアウェイを実施したことがあるクライアントからは驚きの結果を聞くことができました。
・男性のファッションブロガーが2万円の広告費のみで一晩で500人のフォロワーを獲得
・女性のトラベルブロガーが1つのインスタグラム投稿で2,000人のフォロワーを獲得
・ビューティーブランドが3ヵ月間のループギブアウェイ企画によって1万人以上のフォロワーを獲得
・ある企業が1日で6,000人のフォロワーを獲得し、そのうちの80%がその後一か月間はアカウントをフォローし続けた
有名人を起用する企業広告とは異なり、インフルエンサーマーケティングでは複数のインフルエンサーと同時にタイアップすることが多いため、ループギブアウェイのように複数のアカウントを活用したキャンペーンを実施するのに適しています。
7. イベントを企画する
ブランドが企画するメディアイベントや新商品発表会などは、これまでセレブ(有名人)を中心に開催されてきました。
最近では、インフルエンサーがオフラインのイベントに参加するケースが増え、ニューヨーク・ファッションウィークや、人気インナーブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」のショーなどの有名なイベントにも多くのインフルエンサーが招かれています。
イベントにインフルエンサーを招く利点は、インフルエンサーがインスタグラムなどのソーシャルメディア上でイベントについての話題を拡散してくれることです。
百貨店の「Macy’s」は、時計の新コレクションのプレビューイベントに複数のインフルエンサーを招待しました。 イベントに参加したインフルエンサーはそれぞれのスタイルでイベントに関するコンテンツを投稿しました。
イベントは一過性のものですが、インフルエンサーがイベント終了後にSNSで話題を拡散することによってソーシャルメディア上に会話が生まれ、バズに繋がっていきます。また、イベント終了後だけではなく、イベントの開催前からインフルエンサーにコンテンツを投稿してもらうことによってイベントの話題を拡散させ、話題を作り出すこともできます。
おすすめ記事:インフルエンサーマーケティングでバズらせるための8のノウハウ
まとめ
今回は、インスタグラムでのインフルエンサーマーケティングアイデア7選を紹介しました。
1. アカウントを「テイクオーバー」する
2. プレゼント企画をする
3. 動画を共同制作する
4. チャレンジ企画をする
5. コンテストを実施する
6. 「ループギブアウェイ」を企画する
7. イベントを企画する
インスタグラムにコンテンツを投稿して情報が拡散されるのを待つこともできますが、インフルエンサーマーケティングでは、プレゼント企画やコンテストなど、話題を作り出すための様々な仕掛けをすることができます。
また、イベントなどのオフラインプロモーションとソーシャルメディア上のオンラインプロモーションを掛け合わせるインフルエンサーマーケティングも定番になりつつあります。
インフルエンサーマーケティングは、「インフルエンサー任せ」では成功しません。キャンペーンの効果を最大化するために、ブランドとインフルエンサーの双方で意見を出し合い、キャンペーンのゴールに向けて協力し合う姿勢が大切です。
参考:https://grow.grin.co/collab-ideas-for-instagram/
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