Kellogg 社のインフルエンサーマーケティング事例

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「Kellogg 社」は28,000人の従業員を抱え、売上規模は全世界で年間129億ドル(1兆4190億万円 / 1ドル110円計算) 以上の大企業です。アメリカで最も成功している食品複合メーカーの一つで、日本でも「コーンフレーク」などの商品で知られています。

Kellogg 社は元々デジタルプラットフォームにあまり投資をしていませんでしたが、今ではマーケティング予算全体の60~70%をデジタルプラットフォームに割り当てています。

今回は Kellogg 社が実施した様々なインフルエンサーマーケティング事例の中から、

・Powering You キャンペーン
・Team Kelloggs キャンペーン
・Own it キャンペーン

こちらの3つをご紹介します。

3つのキャンペーンはいずれも「Special K」という Kellogg 社の代表的なシリアルをプロモーションしたものです。 伝統的なマーケティング手法と最新のデジタルプラットフォームでのプロモーションを掛け合わせることによって、長年消費者に愛されてきた Special K を「すべての女性の日常生活の栄養面をサポートする商品」としてリブランディングすることに成功しました。

 

目次

    1. Powering You キャンペーン
    2. Team Kelloggs キャンペーン
    3. Own it キャンペーン
    4. まとめ

Powering You キャンペーン

Special K は Kellogg 社の最も有名なグローバルブランドの一つで、鉄分、プロテイン、ビタミンDなどの栄養素が豊富に含まれているシリアルとして有名です。

これまで Special K は「ダイエットのための食品」という位置づけで、「Drop a jean size(ジーンズのサイズダウン)」や「Special K diet(スペシャルKダイエット)」などのキャンペーンを展開し、商品の栄養面の利点を中心にプロモーションを実施してきましたが、近年、消費者の栄養に対する考え方に変化が起きています。 単に体重を落としてスリムになることよりも、健康的に日々を過ごすために栄養が必要だと考える人が増えているのです。

そこで Kellogg 社 が実施したキャンペーンが「Powering You」です。このキャンペーンを通じて、Special K が「女性が健康的な生活を送る上で欠かせない商品である」という位置づけをしようと試みました。

Powering You キャンペーンでは、日々の生活で口にする食べ物に含まれる栄養素が身体に与える影響についてオーディエンスを教育し、女性たちが心身ともに活動的に人生を送るために、栄養がいかに重要な役割をしているかを訴求しました。

キャンペーンには、妊婦さん、母親、若いアーティスト、スポーツアスリートなど、Special K を食べて毎日をアクティブに生きる女性が複数登場しました。

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Did you know that a serving of Special K contains iron which contributes to the reduction of tiredness and fatigue, as part of a balanced diet? . My favourite ways of keeping fit are running and Pilates. On days I don’t have time to make it to the gym or out for a run, I take the kids on a long walk to the park. Feeling great and looking after myself is a priority so I’m at my best for my children. . That’s why breakfast is so important. I love to top my crunchy flakes of Special K with a splash of milk and handfuls of juicy, colourful berries. I either eat at home while the kids play or take my @specialk_uk to the gym’s cafe to eat before my workout. . Special K contains Iron, which helps reduce tiredness & fatigue. #PoweringYou #ad #mumswithcameras, #mummyblogger, #mummylife, #mumlife, #capturingchildhood #mumsofinstagram, #mommyblogger #everlyjaymes #ukmumblog #everlyskids #motherhoodunplugged, #candidchildhood, #mummybloggeruk, #parentingblog, #parentblogger, #parentblog

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キャンペーンを企画した「Leo Burnett London 社」のチーフクリエイティブオフィサーである Chaka Sobhani さんは、「このキャンペーンを実施するにあたって、女性たちの日々の生活について真の理解を得るために彼女たちと話をすることがとても重要でした。 それを知ることによって、ブランドが彼女たちの生活をサポートするためにできることを考えるためのヒントを得ました。 Special K は、女性たちが何歳になっても、どのような人生のステージにいても、全ての女性の栄養面でのサポートをしたいと願っています。Special K の Powering You キャンペーンに携わることができてとてもうれしく思います。」と話しました。

Kellogg ヨーロッパの販売担当取締役の Paul Humphries さんは、「今日の消費者は、食べ物、栄養とよりポジティブな関係でいたいと考えています。かつての消費者は、食品から何が「取り除かれているか」を気にしていましたが、今ではどんな栄養素が「加えられているか」を気にしています。 Special K は、特に女性に必要な栄養素を考えて作られています。Special K が彼女たちの生活、人生、身体、そして心に活力を与える存在であり、それについて彼女たちと語るという新しいアプローチをしたかったのです。これは Special K にとって全く新しい、希望に満ち溢れたキャンペーンです。」

さらに、オムニチャネルキャンペーン(実店舗とネットの境界線がないマーケティング戦略)の一環として、ファッション、アート、美容、旅行、食品、スポーツ、フィットネス、子育てに興味のある人々に向けて、140人のコンテンツクリエーターとインフルエンサーとのタイアップを決めました。

それぞれのインフルエンサーが Special K を取り入れた朝食を食べているシーンを投稿し、Special K が様々な彼女たちの日常の中でいかにパワーを与えてくれるかをデモンストレーションしました。

Powering You キャンペーンは、Special K が栄養面で優れているだけではなく、「美味しい食べ物」としてプロモーションすることによって大成功を収めました。合計171個のコンテンツは470万人を超えるユーザーに届き、エンゲージメント率は2.6%という結果になりました。

Team Kelloggs キャンペーン

Kellogg 社は、2018年平昌オリンピックで Special K シリアルをアメリカ国内外にプロモーションするために、4人のオリンピック・パラリンピックの選手とタイアップし、シリアルのボックスに期間限定で登場してもらいました。

Nathan Chen さん (@nathanwchen) フォロワー数 262,000
Kelly Clark さん (@thekellyclark) フォロワー数 73,600
Meghan Duggan さん (@mduggan10) フォロワー数 20,800
Mike Shultz さん (@monstermikeshultz) フォロワー数 5,300

それぞれのインフルエンサーは、オリンピック・パラリンピックの開催期間前からInstagram に複数の写真やビデオを投稿し、限定版のシリアルボックスをプロモーションしました。投稿する際には #GetsMeStarted と #Team Kelloggs のハッシュタグを付けました。

オリンピックに過去5回出場している Kelly Clark さんは、Instagram に73,000人のフォロワーを抱えるインフルエンサーです。彼女は Kellogg 社とタイアップしたコンテンツを5回投稿し、その中でも一番注目を集めたのが一本の動画でした。

動画の中で Kelly Clark さんは、「Special K のボックスに自分の写真が載るなんて夢のようです。子供の頃、Special K に載っているアスリートの写真を見るのを毎回とても楽しみにしていました。これはオリンピックアスリートにとって最高の栄誉です。」と語りました。 彼女はコンテンツの投稿を通じて Kellogg 社をオリンピックゲームの一部だという事を印象付け、オリンピックの経験の一つとしてオーディエンスに暗に限定版のシリアルボックスの購入を促しました。 Instagram に投稿された動画は10,000回以上再生されています。

シリアルボックスの箱にインフルエンサーを登場させるというマーケティング手法自体は以前から行われており、その有効性も知られています。 Kellogg 社と Kelly Clark さんがタイアップした今回のキャンペーンでは、Instagram というソーシャルメディアプラットフォームが加わった事により、オーディエンスがキャンペーンについて知る機会を大きく広げました。

栄養面に優れた Special K を、健康的で強いオリンピックスノーボーダーである Kelly Clark さんを通じてプロモーションすることにより、Kellogg 社は健康的でいたいと願うターゲット層に効果的にアプローチすることができました。

Own it キャンペーン

Special K の「Own it キャンペーン」は2015年5月にカナダで始まり、キャンペーン開始から数カ月経った後も女性たちの間で話題に上るほどの大成功を収めました。

このキャンペーンは、97%のカナダ人女性が「日々の生活の中で自分の身体が大嫌いだと思った経験がある」と答えたことから始まりました。 Kellogg 社は、女性が「自分の身体が大嫌いだと思った瞬間」が彼女たちをネガティブな気持ちにさせ、自分の好きな事に集中したり、何かを変えていきたいと思うパワーを奪っているのだと考えました。

Own it キャンペーンの目的は、自分の見た目に自信を持てない女性たちがありのままの自分を受け入れ、積極的な人生を送れるようにサポートすることでした。 ただ、これまで Special K はダイエットのイメージが強い商品だったため、Own it キャンペーンについて Kellogg 社は、「ブランドにとって最も大きなチャレンジの一つだ」と語りました。

Own it キャンペーンでは、モデルや女優ではなく一般女性にフォーカスすることで、自分の見た目に自信を持ち、内面的な強さを身につけることの大切さについて訴えました。

Special K のブランドチームは、エッジが効いていて、より消費者にとって身近なキャンペーンを実施することで Special K の売上を伸ばせるのではないかと考えました。そして、Own it キャンペーンを実施することによって Special K が女性たちにとってより身近なものになりました。

Kellogg 社は、「女性たちの健康に対する考え方は変化していて、ブランドはその変化に対応していかなければならないと考えています。私たちは彼女たちの自分の見た目との戦いをサポートしたいと願っていて、身体に必要な栄養素が詰まった Special K が彼女たちの身体と心に良い影響を与えられると信じています。」と話しました。

Own it キャンペーンは2015年9月に始まり、同じ年の12月には Special K の売上が6%伸長しました。カナダでの Own it キャンペーンの成功を受けて、Kellogg 社はアメリカとオーストラリアでも同キャンペーンを水平展開しました。

オーストラリアの Own it キャンペーンは、2016年に全豪オープンテニスの決勝戦の60秒のTVコマーシャルから始まりました。その後、ソーシャルメディアなどのデジタルプラットフォームに広まっていきました。

また、オーストラリアの Own it キャンペーンでは、ボディーイメージの専門家である「Body Positive Australia」とタイアップし、2016年の1年間を通して女性向けのワークショップを実施しました。 「ボディーイメージ」とは、文字通り自分の身体に対するイメージの事で、自分の身体に対する評価とも言えます。ワークショップを通じて、参加者は自分たちの身体に対するイメージを変え、内面的な強さを身につけました。

Own it キャンペーンは次のように複数のチャネルで展開され、様々な場所で女性たちの話題に上りました。

テレビ:全豪オープンテニスの決勝戦でのTVコマーシャルから Own it キャンペーンは始まりました。オーストラリアのTV番組の中でも特に注目度の高いイベントでTVコマーシャルを流した事でキャンペーンの知名度を一気に高めることに成功しました。

デジタル:25歳~54歳の女性が多く訪れるオンラインプラットフォームの News Lifestyle と Glam で60秒間の動画を流し、フルバージョンの動画は YouTube で公開されました。

写真:一般のオーストラリア人女性たちのモノクロ写真がキャンペーンに使用されました。

ワークショップ:Body Positive Australia によるワークショップを通じて女性たちが内面的な強さを身につけるための手助けをしました。

デジタルプラットフォーム:Facebook や Instagram にインパクトのあるコンテンツを複数配信しました。

複数のチャネルで Own it キャンペーンについて取り上げ、デジタルプラットフォームで拡散することによって、長期間女性たちの間で語られるキャンペーンになりました。

まとめ

Kellogg 社は Special K にフォーカスしたキャンペーンを複数展開していて、今回はそのうちの3つを紹介しました。

・Powering You キャンペーン

活動的に人生を楽しむ女性たちを取り上げ、栄養が心と身体に必要なものだということを訴求しました。

・Team Kelloggs キャンペーン

2018年平昌オリンピックに出場したアスリートが Special K の限定版ボックスに登場し、健康に気を使うオーディエンス層にアプローチしました。

・Own it キャンペーン

自分の見た目に自信がない女性たちをサポートするための食品として Special K をアピールしました。

Kellogg 社はこれらのキャンペーンを通じて、ダイエットのための食品というイメージの強かった Special K を「すべての女性たちが活動的に生きるためのサポートをする美味しいシリアル」としてリブランディングすることに成功しました。

ブランドが消費者に伝えたいイメージを消費者にとって価値のあるコンテンツで表現し、インフルエンサーを通じて発信することによって、すでに市場で名前が知られている商品であってもそのイメージを一新することが可能になります。

 

参考:http://mediakix.com/2018/03/olympics-advertising-instagram-influencers-athletes/#gs.0TVze5J2 https://takumi.com/case-studies/kelloggs https://www.thedrum.com/news/2017/12/26/kelloggs-aims-reposition-special-k-the-quintessential-nutritious-product-women https://www.marketingmag.com.au/news-c/special-ks-new-brand-campaign-one-significant-changes-history/ http://www.campaignbrief.com/2016/01/special-k-launches-new-Own it-c.html http://www.kelloggdiversityandinclusion.com/en_US/marketplace/special-ks-own-it-campaign-celebrates-women.html http://www.kelloggdiversityandinclusion.com/en_US/marketplace/special-ks-own-it-campaign-celebrates-women.html

     
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