2018年平昌オリンピックでのP&Gのインフルエンサーマーケティング事例

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P&G として知られている「Procter & Gamble 社」は、台所用洗剤の Dawn やトイレットペーパーの Charmin などの有名ブランドを持つ、世界で最も大きな日用品メーカーの一つです。

P&G は2018年平昌オリンピック開催の100日前に、前回のオリンピックから続いている「Thank you, Mom」キャンペーンの一部として「Love Over Bias」キャンペーンを実施しました。

このキャンペーンを通じて P&G は自社の商品ブランドをプロモーションすると共に、「bias = 偏見」についてオープンに語り合う場を提供しました。複数のインフルエンサーとオリンピックアスリートが P&G とタイアップし、ソーシャルメディアやブログを通じて共通のポジティブなメッセージを発信しました。

今回は P&G が2018年平昌オリンピックで実施したキャンペーンについて、

・キャンペーンの目的
・キャンペーンの詳細と結果

こちらについてご紹介します。

目次

    1. キャンペーンの目的
    2. キャンペーンの詳細と結果
    3. まとめ

キャンペーンの目的

P&G の「Love Over Bias」キャンペーンの目的は、人々が偏見についてオープンに語る場を提供し、人間の可能性を制限している偏見について考えるきっかけを作ることでした。

P&G の最高ブランド責任者である Marc Pritchard さんは、「Love Over Bias」キャンペーンについて次のように話しました。

「P&G は全ての人にとって良い世界を作り出すことを目指しています。偏見がない世界、平等な存在価値、声、そして平等に与えられる機会。もし世界がもっと平等になれば、社会はより良くなり、それが経済の成長にも繋がります。残念ながら、平等は偏見によって制限されています。私たちが声をあげることによって人間の可能性を制限している「偏見」にスポットライトを当て、世の中に提言したいと思っています。私たちはオープンな議論と、影響を与えられるような姿勢を保ち、理想的な方向に振舞いを変えたいと願っています。」

キャンペーンの詳細と結果

「Love Over Bias」キャンペーンは、「現役で活動するアスリートのチャレンジを彼らの母親の視点から見る」というコンセプトの基に実施されました。人種や性別、ハンディーキャップなどの偏見や先入観に苦しみながらトップアスリートになった彼らのそばには常に「母親」がいました。P&G が制作したTVコマーシャルには、他人がなんと言おうとも自分の子供の可能性を信じ、常にアスリートたちの一番の理解者であり、支持者であり続ける母親の姿が表現されています。

P&G はキャンペーンを通して、「もし私たちがお互いを「ママ」の目線で見たら、どのような世界になるのか想像してみてください」というメッセージを発信しました。 このキャンペーンは年齢や性別を超えて多くのオーディエンスに好意的に受け入れられ、特に子供を持つ母親の間で話題を呼びました。母と子の強く普遍的な絆を描いたこの TV コマーシャルの動画はソーシャルメディア上で300万回以上再生され、コメディアン兼女優である Ellen DeGeneres さんや、オリンピックの体操金メダリストである Nastia Liukin さんなど、キャンペーンのコンセプトに共感した多くの有名人によって拡散されました。

P&G は TV コマーシャル以外にも、有名スタイリスト、ファッションブロガー、オリンピックアスリートなど、9人のインフルエンサーと Instagram でタイアップしました。それぞれのインフルエンサーが複数のコンテンツを投稿し、P&G の TV コマーシャルにも採用された「Love Over Bias」というメッセージをハッシュタグにしました。

キーインフルエンサー:

・Laura Reynoso さん (@spanglishfashion) — フォロワー数 758,000
・Gabriel Samra さん (@gabrielsamra) — フォロワー数 171,000
・Demetria Lucas さん (@demetriallucas) — フォロワー数 108,000
・Joss Christensen さん (@joss) — フォロワー数 84,7000

2018年平昌オリンピックで P&G とタイアップしたインフルエンサーの中で最も有名なのが、テキサスを拠点に活動するファッションインフルエンサーの Laura Reynoso さんでした。彼女は Instagram に100万人近くのフォロワーを抱えています。他の多くの企業がオリンピックアスリートとタイアップしてキャンペーンを展開する中、P&G はファッションインフルエンサーである Laura Reynoso さんとタイアップしました。

名前が知られているファッションブロガーがオリンピックを観戦するという手法で、P&G は、同じく2018年平昌オリンピックでキャンペーンを展開していた Kellogg 社や Beats By Dre 社よりも多くのコンテンツを発信することに成功しました。 Laura Reynoso さん は2018年平昌オリンピックを観戦した時の様子と、P&G とのタイアップで彼女がインタビューしたアメリカのボブスレー選手との写真などを中心に、Instagram に20件のコンテンツを投稿しました。

Laura Reynoso さんのコンテンツの中で特に目立っていたのが、アメリカのボブスレー選手である Elana Meyers Taylor さんと一緒に写っている2枚の写真です。Elana Meyers Taylor さんは男女混合4名ボブスレーの最初の女性選手の一人で、過去2回オリンピックでメダルを獲得しています。Laura Reynoso さんが投稿したコンテンツの中で、男性優位のスポーツにおいて Elana Meyers Taylor さんが性別と国籍についての固定観念を否定している事を強調しました。このメッセージにより、P&G が先進的な考えを持っている企業であることをオーディエンスにアピールすることができました。

一連のキャンペーンにおいて、TV コマーシャル、ブログ、ソーシャルメディアなどの複数のプラットフォームで共通の「Love Over Bias」というメッセージが拡散され、多くの人々が偏見について考え、語り合いました。結果として、Love Over Bias キャンペーンは229万件のリーチと254万件のインプレッションを獲得しました。

米国の消費者調査会社「Cone Communications 社」によると、87%の消費者は「価値」に基づいて商品を購入するといいます。企業は自分たちが重要だと思っている問題について解決策を提案します。その理念に共感し、価値を感じた消費者が企業から商品を購入します。その企業が自社の信念に反することに賛同した場合、76%の消費者はその企業から遠ざかります。TVコマーシャルと Laura Reynoso さんのコンテンツは、P&G の商品が便利なだけでなく、消費者の価値に基づいて作られていることを分かりやすくアピールしました。

まとめ

2018年平昌オリンピックで P&G は「Love Over Bias」というキャンペーンを展開し、偏見についての問題を提起しました。

このキャンペーンで、P&G はオリンピックアスリートたちの「母親」の視点でオリンピックを表現することによって、他の企業とは異なるプロモーションを実施することに成功しました。

今回の P&G の事例では、企業が伝えたいメッセージを複数のインフルエンサーがそれぞれの考え方を基にコンテンツにすることにより、オーディエンスにより身近なものとして受け入れられました。

単に商品を宣伝するのではなく、企業のメッセージをインフルエンサーを通じてオーディエンスに伝え、その価値観に共鳴したオーディエンスがブランドのファンになって商品を購入していく。このサイクルはインフルエンサーマーケティングならではの効果的なプロモーション方法と言えるでしょう。


参考:http://mediakix.com/2018/03/olympics-advertising-instagram-influencers-athletes/#gs.0TVze5J2 https://news.pg.com/press-release/pg-corporate-announcements/procter-gamble-launches-new-thought-provoking-olympic-games https://www.olympic.org/news/p-g-promotes-love-over-bias-with-latest-thank-you-mom-campaign-1 https://shortyawards.com/3rd-socialgood/placeholder-love-over-bias http://www.acemetrix.com/insights/blog/inspirational-ads-pyeongchang-2018/ https://jmc417.personal.asu.edu/wordpress/2017/11/pg-champions-love-over-bias/comment-page-1/

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