有名レシピサイト「Rasa Malaysia」は、個人的なレシピブログからオンライン上でトップの料理リソースの1つへと急激な成長を遂げました。おいしそうなレシピアイデアのInstagramフィードは無限にスクロールしてしまう人が多いほど、料理コンテンツは人気のジャンルです。
こういった食欲をそそる豊かな料理写真の裏側にはもちろんそれを作ったシェフたちが存在し、オーディエンスが見た目で料理を選ぶことが多くなっている現状を彼らは知っています。そしてRasa MalaysiaのBee Yinn LowさんのようなAリストのフードブロガーはオーディエンスの興味を惹きつけ「この料理を味わいたい」と楽しみにさせるために、料理写真の色鮮やかさと作り方や材料のキャプションを織り交ぜてコンテンツを作るコツを知っています。
今回は、一目見ただけで食欲のない人もお腹が鳴るほど魅力的な写真であふれているInstagramアカウントを持つフードブロガーのBee Yinn Lowさんへのインタビューで語られた「Rasa Malaysiaがインフルエンサーマーケティングを利用してレシピサイトとしてどのように成功したのか」、その理由を紹介します。
目次
フードブロガーBee Yinn Lowさんとは?
ブログが人気の趣味として浸透する前から、Bee Yinn Lowさんは既にフードブロガーでした。ベストセラーの料理本作家であり、そして大手中華料理レストランチェーン「PF Chang’s」や調理器具ブランド「KitchenAid」のようなブランドのデジタルブランドアンバサダーのBee Yinn Lowさんは、ソーシャルメディアインフルエンサーとしても人気を博しています。
彼女は母国マレーシアの伝統料理と、趣味で旅する世界の料理をふんだんに組み合わせて、初心者レベルでも十分おいしい料理を作れる簡単レシピを作り出しています。
Rasa Malaysiaレシピブログの背景となった旅の詳細を知り、そして2019年にどんな料理が流行するのか聞くために、インフルエンサーマーケティング事業者のMediakix社はBee Yinn Lowさんに独占インタビューを行いました。
ブログをはじめたキッカケについて
Q.Beeさんが料理になぜ興味を持ったか、そしてレシピに焦点を絞ったブログを始めることにした理由について教えてください。
A.私はマレーシア人ですが、米国に永住しています。大学院進学のために米国に来ました。
私は素晴らしい中華料理、インド料理、マレー料理、そして東南アジア料理があるマレーシアで育っています。家族の間であらゆる種類のスパイスや様々な種類のアジア独特の味に触れていたため、私は若い頃から非常に洗練された味を多く経験していました。また、私は食べ物が最大のお祝いだった素晴らしい家庭料理を持つ大家族で育ちました。私の祖母や母と叔母が台所で料理をしているのを見ていたので、料理に対する関心が強くなりました。
私は仕事での出張やマレーシアの家族のレシピを記録するためブログをはじめました。個人的な趣味のブログはやがてレシピブログへと発展し、Rasa Malaysiaが生まれました。
Q.いつブログを始めましたか?
A.MySpaceで国際開発ディレクターとして働いていた2006年にブログを始めました。私は仕事の性質上、アジア太平洋地域とヨーロッパを広く旅行していました。
ブログは私の出張の個人的な日記と、母国マレーシアのレシピを記録するためのものでした。レシピが非常に好評だったので、The New York Timesが私のブログを紹介し記事についてインタビューに来ました。
時間が経つにつれて、私のコンテンツ戦略はマレーシアのレシピから一般的なアジアのレシピへと変わりました。
BeeさんのInstagramやSNSプラットフォームについての考え方
Q.あなたのInstagramのアカウント@rasamalaysiaには10万人以上のフォロワーがいますが、Facebookには8憶人、Pinterestには4億人以上の人が集まっています。あなたのソーシャルメディア戦略と創造的アプローチは、これらのチャネル間でどう違うのですか?
A.FacebookとPinterestが私のサイトに大量のトラフィックをもたらしてくれるので、私は長い間FacebookとPinterestに多くの時間を費やしました。私はこの両方のプラットフォームで非常にアクティブになり、毎日自分のレシピや写真を規則正しく共有することで多くのフォロワーを獲得しました。
Instagramのアカウントは何年も前に作成していましたが、私はInstagram戦略に関しては非常に遅れています。私のアカウントが数年前にハッキングされ、ハッカーが私の古い投稿をすべて削除したためです。
それ以来、私はInstagramを再構築しなければなりませんでした。でも正直なところInstagramは当時、私のサイトに大量のトラフィックをもたらさなかったので、私はInstagramに多くの時間を使っていませんでした。私は過去1年ほどでInstagram上でアクティブになっただけでした。
ただ私は最近Instagramの可能性を知ったため、それでも遅すぎることはないと思っています。
Q.レシピのアイデアやビデオをフォローすることで、あなたのフォロワーは主にどのようなメッセージを受け取ることができますか。
A.ブログの主なテーマは簡単で美味しいレシピです。私のシンプルなレシピ通りに作ることで誰でも家庭でおいしい食事を作ることができます。
オーディエンスの皆さんは私のレシピカードを見れば、非常に少ない材料と簡単な工程だけで最終的に料理を完成させることができます。私は人々に料理を学んでほしいですし、私のレシピを初心者でも気軽に利用しやすいものにしたいと思っています。
Q.ブログとInstagramアカウントは時折、Beeさんの旅行、ファッション、そしてライフスタイルのヒントを特集していますよね。これらの要素はどのようにあなたをより多才なクリエーターにしていますか?
A.私は旅行が好きで、少なくとも年に5〜6回は世界中を旅行します。食べ物、旅行、そして文化は絡み合っているため、アカウントを通して私のフォロワーを世界へと連れて行き、彼らと冒険を共有するのが大好きです。
私はファッションが大好きで、強い自己顕示欲があります(笑)。私は、自分がファッションとライフスタイルのブロガーと紹介されることをひそかに願っています。実際には、私のInstagramフィードが食品関連の内容ばかりなのを見て退屈する人もいるので、ときどき自分のInstagramを新鮮で面白いものにするためにライフスタイル、旅行、ファッションの投稿も共有しています。
フードブログが大成功を遂げて、Beeさんがインフルエンサーとなった戦略
Q.どのようにしてブログを通じて生計を立てることができましたか?また、実現したのはいつですか?
A.私のブログからの年間収入が、MySpaceディレクターとしての年収を超えた時です。その2009年に私は仕事を辞め、それ以来、自身のサイトにフルタイムで取り組んできました。
Q.オンラインでオーディエンスを増やすのを助けるのに特に効果的な戦術はありますか?
A.2006年以来、ブログビジネスは大きく変化し、私の戦術は時間とともに変化と進化を続けています。たとえば、3年前に機能していたネット上のものは現在多くが廃止されています。重要なのは学び続けることですが、Googleがインターネット上のボスであることは変わりません。
オーディエンスを増やし続けるために、あるいは少なくともその数を維持するために、SEOについて詳しくなりGoogleと共に進化し続けなければなりません。最近は状況が急激に変化しているため、Googleのアルゴリズムについていくことは難しくなっています。
Q.あなたのブログは始めてからどう変わりましたか?具体的な転機はありますか。
A.2008年に、私はマレーシア料理のみのブログから一般的なアジア料理全般のレシピブログに変更しました。2008年は北京オリンピックの年であり、中華料理には強い関心が集まっていたため、私はたくさんの中国料理レシピを作り始め、それ以降あらゆる種類のレシピを自分のサイトに掲載するように自身でコンテンツ戦略を拡張しました。
インフルエンサーマーケティングを行いたいブランドへのアドバイス
Q.ブランドとタイアップするかどうか選択するとき、どのようにして決めますか?スポンサードコンテンツをあなたのオーガニックコンテンツとシームレスにフィットさせるには、どうしていますか?
まず第一に、タイアップするためにはブランドとその製品を心から信用しなければなりません。そうしなければ、本物の声で製品やサービスの感想を書くことはできません。次に、スポンサーシップは「料金、ブランドの期待、私の成果物など」と公平である必要があります。
私はどの月にも最大2件のスポンサー付き投稿を行っています。それ以上の宣伝投稿はやりすぎだと思っているからです。
Q.インフルエンサーとタイアップしたいブランドやマーケティング担当者に、どのようなアドバイスをしますか。
A.私は、ブランドやマーケティング担当者がインフルエンサーについて目に見えるものに引き寄せられていることに気付いています。たとえば、フォロワー数、いいね、コメント、エンゲージメントなどです。
これらの指標は必ずしも売上高の変換につながるわけではありません。マーケティング担当者は、ブランドとともに成長することができる質の高いインフルエンサーを見極めて投資する必要があります。
約10年前、私は4年連続で日本の大手ブランドとタイアップしていました。私たちは毎年、重要なマーケティングメッセージ、そして次のマーケティングメッセージに焦点を合わせていました。私は今もそのブランドからコメントをいただいており、私のフォロワーも彼らの製品を購入し続けています。
Q.2019年、あなたのフォロワーが期待している刺激的なプロジェクトはありますか?
A.私はいつもビデオグラファーに外注していましたが、彼らから自分で料理動画を撮影する方法を学びました。私はクッキングビデオを自作して、フォロワーと共有することに興奮しています。
まとめ
今回は、フードインフルエンサーのBee Yinn Lowさんがどのようにして個人的な趣味のブログから、世界最大のフードブログ「Rasa Malaysia」へと大成長を遂げたのかについてのインタビューをまとめました。
フード関連コンテンツにおいてシェフたちの創作意欲や技術が光る料理写真や簡単レシピは、食に興味のあるオーディエンスだけでなく一般的なユーザーにも受け入れられやすいコンテンツです。Beeさんが家族から学んだマレーシアレシピは好評で、アジア全般の料理レシピブログへとコンテンツを工夫し発展させたことが成功のキッカケです。インフルエンサーとしてもBeeさんは、SNSプラットフォームやSEOについて常に学ぶことで多くのブランドとのタイアップを行っています。
インフルエンサーとタイアップしたいブランドは、いいね・コメントやフォロワーの数に捕らわれるのではなく、自社ブランドやキャンペーンに有用なコンテンツを提供してくれるインフルエンサーを選定することが重要です。また、インフルエンサーをマーケティングのツールとして考えるのではなく、共に働く同僚のように公平で真摯な態度を取ることが、インフルエンサーパートナーとの長期的な信頼関係の構築に繋がります。
参考:http://mediakix.com/2019/04/rasa-malaysia-interview-food-blogger/#gs.dw40vd