インスタグラムのスポンサードコンテンツが年率30%の急成長を続ける理由とは?

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インスタグラムには、インフルエンサーが企業とタイアップして作成する「スポンサードコンテンツ(スポンサー投稿)」と呼ばれるコンテンツがあります。

スポンサードコンテンツを意味するハッシュタグである#sponsored や #ad が付いたコンテンツは年々増加し、2017年から2019年にかけて年率30%という急成長を遂げています。

若年層のオンラインユーザーは企業の有料オンライン広告を嫌う傾向があり、オンライン広告をブロックするアプリも数多く登場しています。そのような状況の中、なぜ広告の一種であるインスタグラムのスポンサードコンテンツが急成長しているのでしょうか。

今回は、インスタグラムのスポンサードコンテンツが人気を集めている理由について解説します。

目次

  1. インスタグラムのスポンサードコンテンツとは?
  2. インスタグラムにおけるスポンサードコンテンツの数
  3. スポンサードコンテンツが急増している理由
  4. さらに効果的なスポンサードコンテンツの活用方法
  5. まとめ


  6. インスタグラムのスポンサードコンテンツとは?

    インスタグラムのコンテンツには、大きく分けて、オーガニックコンテンツと広告コンテンツの2種類があります。

    オーガニックコンテンツ(通常投稿)とは、一般ユーザーが自らの日常生活や趣味などについて投稿するコンテンツのことです。一方、広告コンテンツとは、ブランドや商品のプロモーションを目的としたコンテンツのことです。インフルエンサーが企業とタイアップして作成するスポンサードコンテンツは、広告コンテンツの一種と言えます。

    米国では、スポンサードコンテンツをオーガニックコンテンツと区別するために、#sponsored(スポンサード)、もしくは #ad(広告)のハッシュタグを付けることが義務付けられています。

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    インスタグラムにおけるスポンサードコンテンツの数

    米国インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「Mediakix」が、インスタグラムで「#sponsored」または「#ad」というハッシュタグが付いたコンテンツについて調査したところ、次のような結果になりました。

    2017年には約160万件だった #ad というハッシュタグが、2018年には250万件、2019年には、2017年の約2倍にあたる330万件に増加しています。

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    スポンサードコンテンツが急増している理由

    なぜ、インスタグラムのスポンサードコンテンツはこれほど増えているのでしょうか。それには、次のような理由があります。

    モバイルデバイスとタブレットのシェアが増加している

    オンラインに関する統計を行っている「Statcounter社」によると、 2020年の初めにデスクトップの世界市場シェアが45.39%だったのに対して、モバイルデバイスとタブレットを合計したシェアは55%と、半数以上を占めています。

    また、マーケティングに関するデータを提供している「Statista社」の調査によると、1日の間に米国のユーザーがデジタルデバイスに費やした時間は2020年に平均395分となり、テレビなどの従来のメディアの315分をはるかに上回っています。

    モバイルデバイスとタブレットの広がりに伴ってソーシャルメディアユーザーの数も年々増え、インスタグラムの世界における月間アクティブユーザー数は10億人に上ります。

    インスタグラムを活用したインフルエンサーマーケティングの市場規模は20億ドルに迫る勢いで、ブランドとインフルエンサーがタイアップして商品やサービスをプロモーションする場として人気を集めています。

    ソーシャルメディアの使用率は、「デジタルネイティブ」と呼ばれる若年層ほど高くなる傾向があります。そのため、ブランドが今後ミレニアル世代やZ世代といった若年層にリーチするためには、ソーシャルメディアを活用したプロモーションが必須と言えるでしょう。

    ユーザーはソーシャルメディアで情報を集めている

    ビジネスに関するハウツー情報を提供している米国「マニフェスト社」が627人のソーシャルメディアユーザーを調査したところ、次のような目的でソーシャルメディアを活用していることが分かりました。

    ・友人や家族と連絡を取り合う
    ・コミュニティに参加する
    ・問題や情報の解決策を探す
    ・アイデアやインスピレーションを得る
    ・エンターテインメント
    ・興味がある分野の情報収集
    ・専門家ネットワークの拡大

    消費者の主な情報収集の場は、テレビや雑誌といった従来のメディアからソーシャルメディアに移行しています。そのため、オンラインに多くの消費者が集まり、オンラインを活用したプロモーション施策であるインフルエンサーマーケティングの人気が高まっているのです。

    また、同じ調査で、最も人気のあるコンテンツタイプは「画像」という結果になりました。さらに、ジェネレーションZ、ミレニアル世代の7割以上が、「ソーシャルメディアに画像を投稿することを好む」といいます。

    インスタグラムは画像を中心としたコンテンツプラットフォームで、ユーザーはコンテンツを消費するだけではなく、自らも画像や動画を投稿し、情報共有を楽しんでいます。

    オーガニックコンテンツと同じように表示される

    インスタグラムは、フェイスブックやYouTubeなどのソーシャルメディアと同様、有料広告サービスを提供しています。有料広告サービスは、企業の間でもごく一般的なオンラインプロモーション手法として知られています。

    インスタグラムでは、ユーザーの意思で広告を非表示にするオプションが提供されています。一方、スポンサードコンテンツはブランドやインフルエンサーのアカウントにオーガニックコンテンツと同じ方法で投稿されるため、広告を非表示にするオプションがオンになっていても影響を受けません。

    広告コンテンツであっても受容性が高い

    インスタグラムは、ソーシャルメディアで活躍するインフルエンサーの間で「No.1のソーシャルメディア」と評価されています。それには次のような理由があります。

    ・ユーザーのスポンサードコンテンツに対する受容性が高い
    ・コンテンツに対して積極的にリアクションをするユーザーが多い
    ・インフルエンサーの多くがインスタグラムで活躍している
    ・フォロワー数の少ないマイクロインフルエンサーでも活躍できる

    ドイツのソーシャルメディア分析会社「Quintly」によると、主要なソーシャルメディアの中で、コメント・シェア・「いいね!」などのリアクションが最も多いのがインスタグラムだといいます。これが大きな理由の一つと考えられます。

    また、インスタグラムの投稿のうち上位65%は何かしらの商品について取り上げたもの、つまりスポンサードコンテンツだという興味深い事実があります。

    インスタグラムのユーザーは、スポンサードコンテンツによって紹介された商品についてインスタグラム上で話題にすることに対して抵抗が少ないというユニークな特徴があり、ブランドにとっては大きなアドバンテージになります。

    エンゲージメントが高い

    インフルエンサーマーケティングでは、「インフルエンサー」という信頼できるソースが、「ソーシャルメディア」というカジュアルなコミュニケーションプラットフォームを用いてオーディエンスに情報を伝えるため、エンゲージメントが高いのが特徴です。

    インスタグラムはソーシャルメディアの中でも特にエンゲージメントが高く、ソーシャルメディア全体のエンゲージメント率が平均1.51%なのに対して、インスタグラムは平均3.21%という調査結果があります。

    インスタグラムのユーザーは、閲覧したコンテンツにコメントや「いいね!」、共有などのアクションを起こすことを好む傾向があります。そのため、インスタグラムはインフルエンサーマーケティングを実施するプラットフォームの中でも特に費用対効果が高いと言われています。

    さらに、インフルエンサーマーケティングはマスメディア広告よりも少ない費用で展開できます。より少ない予算で効果的にターゲット層にアプローチできるのがインフルエンサーマーケティングの大きなメリットです。

    オーガニックトラフィックの原動力になる

    これまで、インスタグラムではウェブサイトのURLをコンテンツのキャプションに貼り付けて直接オーディエンスを外部サイトに誘導することができませんでした。しかし、2017年に新しく登場したインスタグラムストーリーでは、コンテンツをスワイプすることによって、オーディエンスを外部サイトに直接誘導する機能があります。

    これによって、ブランドのECサイトやウェブサイトへのオーガニックトラフィックを直接増やすことができるようになりました。

    アルゴリズムによって新たなオーディエンスにリーチできる

    インスタグラムのアルゴリズムは、ユーザーが興味を持つ可能性が高いコンテンツを表示するように設計されています。ユーザーが最も頻繁に閲覧しているアカウントや、まだフォローしていないアカウントのコンテンツを、頻繁に利用しているスタイルやテーマに一致するように「おすすめ」します。

    そのため、インフルエンサーマーケティングを実施すると、インフルエンサーのフォロワー以外にもコンテンツを閲覧してもらえる可能性があります。

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    さらに効果的なスポンサードコンテンツの活用方法

    インスタグラムは、通常の広告サービスに加えて、「ブランドコンテンツ広告」という新しい広告サービスを開始しました。ブランドコンテンツ広告とは、すでにインスタグラムに投稿されたコンテンツを広告コンテンツとして運用できるサービスです。

    ブランドコンテンツ広告は、次のような目的で使用できます。

    ・ブランドの認知度アップ
    ・リーチ
    ・動画の再生数アップ
    ・コンバージョン
    ・トラフィック
    ・投稿のエンゲージメント

    インフルエンサーマーケティングキャンペーンでインフルエンサーが作成したコンテンツの中からパフォーマンスの良かったものを選び、ブランドコンテンツ広告として運用すれば、効果的にスポンサードコンテンツを再利用できます。

    さらに、ブランドコンテンツ広告は「コンテンツのエンゲージメント」という点で、ソーシャルメディアが提供する通常の広告サービスとは大きく異なります。

    通常の広告サービスでは、キャンペーンが終了すると「いいね!」やコメントなどのすべてのエンゲージメントが失われます。一方、ブランドコンテンツ広告は、すでにインスタグラムに投稿されたコンテンツに広告が付いたものなので、広告期間が終了しても「いいね!」やコメントなどのエンゲージメントはオーガニック投稿に残ります。

    ブランドコンテンツ広告の運用は効果的にスポンサードコンテンツを再利用できるだけではなく、インスタグラムアカウントのエンゲージメントを高めることにも繋がります。

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    まとめ

    今回は、インスタグラムのスポンサードコンテンツが人気を集めている理由について解説しました。

    インフルエンサーマーケティングは、ソーシャルメディアの広がりと共に成長を続けています。特に、2020年の前半には、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって自宅で過ごす人々が増えたことによって、これまで以上に多くのソーシャルメディアコンテンツが消費されています。

    フォロワー数が少ない「マイクロインフルエンサー」とのタイアップであれば、少ない予算でインフルエンサーマーケティングを試してみることができるため、まだインフルエンサーマーケティングに取り組んだことがないブランドにはマイクロインフルエンサーとのタイアップがおすすめです。

    インフルエンサーマーケティングプラットフォームを活用すれば、ジャンルやフォロワー数などで、希望のマイクロインフルエンサーを簡単に絞り込むことができます。

    また、インフルエンサーとの契約やキャンペーンの効果測定といったインフルエンサーマーケティングの一連の流れをプラットフォームで完結させることができるため、初めてインフルエンサーマーケティングに取り組む方はインフルエンサーマーケティングプラットフォームの利用を検討すると良いでしょう。

    参考:https://mediakix.com/blog/sponsored-posts-on-instagram-growth-rate/
    https://www.mobilemarketer.com/news/study-instagrams-sponsored-posts-increase-44-1/529739/
    https://www.bigcommerce.com/blog/instagram-influencer-marketing/#benefits-of-using-instagram-as-your-influencer-marketing-platform
    https://business.instagram.com/a/branded-content-ads?locale=ja_JP
    https://www.webfx.com/blog/social-media/sponsored-instagram-posts/
    https://themanifest.com/social-media/how-different-generations-use-social-media
    https://later.com/blog/instagram-influencer-marketing/

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