アウトドアブランドREIのアンチ・ブラックフライデーキャンペーンとは?

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ブラックフライデーは、米国において一年で最も忙しいショッピングの日を指します。2017年のブラックフライデーでは、7,700万人以上が買い物に出かけました。これらの数字を念頭に置くと、その日にブランドがショップを休むのはおかしいと思うでしょう。しかしアウトドア用品の小売ブランド「REI社」はそれを実行し、誰にも予想できない結果をもたらしました。

予測されていたように、REI社の革新的なアンチ・ブラックフライデーキャンペーンである「OptOutside」は、カンヌライオンズ国際創造祭でプロモーション&アクティベーション部門のグランプリを受賞しました。

今回はREI社がブラックフライデーに開始したインフルエンサーマーケティングキャンペーンがどのように「OptOutside運動」へと発展したか、その流れと併せてキャンペーン結果を紹介します。

 

目次

    1. OptOutside運動の始まり
    2. インフルエンサーマーケティング戦略
    3. 結果
    4. Opt Outsideの成功から得られることとは?
    5. まとめ

OptOutside運動の始まり

2015年、REI社の商品企画部は次のホリデーシーズンに向けてブレインストーミングを行っていました。その際にある従業員の1人が「ブラックフライデー当日はショップを敢えて閉め、別の日に顧客を集めよう」と提案し、ほかの従業員もそれに賛成しました。

この計画がビジネスに及ぼすプラスとマイナスの影響を会議した後、REI社の社長兼CEOのJerry Stritzkeさんにも相談し、実行が決定されています。ブラックフライデーへの扉を閉めることは大きな挑戦で、その決定をどのように位置付けるかを考え出すことが重要でした。

Jerry Stritzkeさんは、「ブラックフライデーは、外で過ごすことを選ぶと人生がより豊かに感じられるという真実を思い出させる絶好の機会です。弊社はショップのドアを閉め、従業員と米国の多くの人々がアウトドアを楽しむためにOpt Outsideキャンペーンに参加してほしいと考えています。」と説明しました。

また、自社の社員に向けてのメッセージとしてJerry Stritzkeさんは1901年のアウトドア空想家であるJohn Muirの言葉を引用し、「疲れて、神経を震わせた何千人もの人々が、山へ行くのが家に帰るということだと気付き始めている」とつづっています。

REI社のアンチブラックフライデーキャンペーンである「Opt Outside」は、ブラックフライデーで過剰に消費する買い物客の群れを避けるためではなく、REIの従業員が最も好きなことをするということに多くの価値を見い出しているため休店を決定したようです。 このようにして、#OptOutside(外を選ぼう)ハッシュタグは形成され、大きな成果を生み出します。

インフルエンサーマーケティング戦略

REI社はOptOutsideキャンペーンのために、ただオーガニックなソーシャルメンションに頼っていただけではありません。同社はハイキングやサイクリングといった分野のインフルエンサーに自社のキャンプキットを送り、そのキットを使用したキャンプの様子を#OptOutsideハッシュタグと共に投稿するよう求めました。

ブラックフライデーのメディア報道に先立って、REI社は10月にはOptOutsideキャンペーンを開始しています。そのキャンペーンは、New York Timesに掲載された印刷広告と社内の全従業員向けEメールから始まりました。日が経つにつれて、REI社はテレビCMなどの制作を開始しています。

また、このキャンペーンのコンセプトを説明する2つのビデオと、ソーシャルメディアで野外での経験を共有することをファンに奨励するミームジェネレーターも発足し、多くのアウトドアインフルエンサーもこれを使用したことで、Opt Outsideのアイデアは急速に広まっていきました。

結果

多くの人々がブラックフライデーに閉店している主要なブランドはどこか調べるようになったので、REI社のこのアイデアは全国的な朝のニュースで報道され、ソーシャルメディアインフルエンサーによって大規模に議論されました。他の多くのブランドも同じ日にショップの休業を決定したので、このアンチブラックフライデーキャンペーンはかなりの数のメディアの注目を集めました。

この話題が人々の間で噂されればされるほど、多くの人は「ブラックフライデーに人混みをかき分けてセール品を奪い合うよりも、外で自然に触れてのびのび遊ぶ」ことを選ぶようになりました。

キャンペーンは販売利益を伸ばす目的ではなかったため、ブラックフライデー後の土曜日に売り上げが急増したかどうかを同社は追跡しませんでしたが、OptOutsideキャンペーンは単一の売上高の増加よりも重要な「REI会員数の大幅な増加」につながりました。しかし、さらに驚異的だったのはこの運動に参加した人々とブランドの数です。

OptOutsideキャンペーンの初年度の2015年には、 ・27億のPRインプレッションが発生 ・100以上の他の小売業者もこの日だけショップを閉店すると決定 ・全体で160万人以上の人々がブラックフライデーに買い物をするのではなく素晴らしいアウトドア体験を選択 ・170以上の組織もこの運動に参加 その上、米国全土の国立公園と州立公園が「その日は無料で公園を解放する」と宣言するほどでした。

翌2016年のキャンペーンでは、これが1回限りのものではないことが証明されており、700以上の組織と600万人以上の人々がブラックフライデーに「OptOutside」を宣言しました。

1店舗の従業員が思いついたこのキャンペーンは当初リスキーに見えましたが、REI社がアイデアを全面的に受け入れ、適切なマーケティング資料でそれをサポートしたため、社会現象といえるような大きなキャンペーンに発展しビジネスを大幅に進化させています。

Opt Outsideの成功から得られることとは?

REI社は1,408,117人もの参加者への感謝の気持ちを公式ウェブサイトで表しています。この参加者というのは全員、Opt Outsideを選び、ブラックフライデー当日にしたことの写真を共有した人々で、その中にはタイアップしたアウトドアインフルエンサーも含まれていました。

同社のウェブサイトには、「ブラックフライデーにドアを閉めて外に出るという決断が発表されたとき、多くの人が私たちと一緒に友人や家族と屋外で過ごすことを選ぶだろうとは思いませんでした。私達は皆さんの情熱に触発されていますし、多くのサポートに感謝しています。」と書かれています。

ショップの従業員によるアイデアから始まったこのキャンペーンは、REI社というアウトドアブランドの評判、メンバーコミュニティ、そして最終的にはビジネスを構築し続けることになる運動へと発展しました。

Opt Outsideの成功について非常に有益なのは、REI社がどのようにしてこのアイデアにアプローチしたかについてです。同社のSVP兼CCOであるBen Steeleさんは、「明らかにこのキャンペーンはクレイジーに思えますが、それはREIショップの従業員に休日を与え、他の人たちに私たちの運動に加わるよう誘うことだけのことでした。ただ言葉で誘うのではなく、行動を起こして人々を見せることができる場合、その行為は本当に強力なものになる可能性があると今回の運動は証明しています。」と述べました。

まとめ

今回は、アウトドア小売ブランド「REI社」によるアンチブラックフライデーキャンペーンについて紹介しました。 アウトドアエキスパートやサイクリングインフルエンサー、ハイキングインフルエンサー、キャンプブロガーなどとタイアップして行われたOpt Outsideキャンペーンは2015年にREIのショップ従業員のアイデアから始まり、米国で大きな運動に発展しています。

さらに、Opt Outside運動では、 ・自然による癒し効果 ・屋外での子供の頃の遊びの価値 ・公有地の育成と保全の価値 ・アウトドアでの多様性の必要性 上記などについてアウトドアインフルエンサーである野外活動コミュニティの専門家たちが話し合いました。

REI社はOpt Outsideキャンペーンにおける取り組みを倍増させ、この運動に参加する非営利団体、政府機関、ブランドパートナーへ「11月25日(ブラックフライデー当日)は歩道や公園、河川といった野外活動を楽しめる場所へ向かうように」促しました。従業員や顧客のコミュニティに対するブランドのコミット力の強さ、および野外活動の保護関連コンテンツは共有する価値が高いことから、「Opt Outside」はREI社が行ったショップの休業という行為よりも、もっと大きな動きを象徴するようになりました。

 

参考:https://www.adweek.com/brand-marketing/how-one-brave-idea-drove-reis-award-winning-optoutside-campaign-172273/
https://www.primitivesocial.com/blog/how-one-hashtag-from-rei-started-a-nationwide-movement
https://www.forbes.com/sites/simonmainwaring/2017/01/10/how-rei-launched-and-built-a-movement-far-larger-than-the-brand-itself/#2bf06a3c6761

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