飲食店のマイクロインフルエンサー活用事例

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予算の関係やインフルエンサーのスケジュールの問題で、「フォロワー数の多いインフルエンサーをキャンペーンに起用できない」と悩むマーケターも多いのではないだろうか。しかし、必ずしもフォロワー数が多いインフルエンサーを起用することがキャンペーンの成功に繋がるというわけではない。

今回はエンゲージメント率の高いインフルエンサーを起用して、さらに普段起用されていないトップインフルエンサーをキャンペーンに巻き込んだマーケティング事例を紹介する。


目次

  1. インフルエンサーに取り上げてもらうことを視野に入れて、ソーシャルメディアを開設
  2. フォロワーの多くないエンゲージメント率が高いインフルエンサーと協力
  3. 質の高いコンテンツが相乗効果を生む
  4. まとめ
  5. インフルエンサーに取り上げてもらうことを視野に入れて、ソーシャルメディアを開設

    マンハッタンにあるレストラン「Springbone Kitchen」の従業員は、波のように押し寄せる客を目にした。多数の客が席に着くなり「ストロベリー・ルバーブ・アイスクリーム」を注文する。そこで従業員は、客がどこでレストランのことを聞きつけたかはっきりと分かったのだ。

    たくさんの客が押し寄せる1日前、とあるインスタグラムのアカウントが数百万人のフォロワーに向けて、同レストランが販売するストロベリー・ルバーブ・アイスクリームの写真を投稿していた。

    2016年5月、Sam EcksteinさんとJordan Feldmanさんは、「Springbone Kitchen」を開店。アメリカではニューヨークを中心に話題になっている、骨を煮込んだ出汁スープ「ボーンブロス」を中心メニューにしているレストランだ。レストランを開業してからSam Ecksteinさんはソーシャルメディアマーケティングを展開することを視野に入れ、特にインスタグラムのインフルエンサーや、そのフォロワーであるインスタグラマーを中心にマーケティングを行うことを考える。そしてこの戦略がレストランの経営に大きな影響を与えることになった。

    一般的にインフルエンサーは数千人のフォロワーを抱えていて、料理から住宅関係まで多くの業界に接しているもの。料理関係のインスタグラマーは、料理ブログを運営していたブロガーが活動の場をインスタグラムに伸ばしたことで増えてきた。彼らはレストランで食事をとり、料理を撮影して、インスタグラムで感想をシェアする。ここ数年でインスタグラマーの人気は急上昇。大きな市場を抱えるニューヨークのような大都市で、特に人気を集めている。

    突出して人気があるアカウントの1つは、ニューヨークの美味しい料理を美しい写真と共に紹介する「New Fork City」。70万人以上のフォロワーを抱える人気アカウントだ。

    「Springbone Kitchen」の設立者の1人Sam Ecksteinさんは、彼の作った料理を見た目も魅力的に演出し、美しい写真や動画に収めてインスタグラムのアカウントに投稿することが大事だと語った。そうすることでインフルエンサーがレストランに立ち寄り、料理を気に入ってくれることがあるのだという。


    フォロワーの多くないエンゲージメント率が高いインフルエンサーと協力

    Ecksteinさんはフォロワーとつながりが強いインフルエンサーをキャンペーンに招待しようと考え、まずフォロワー数が1万人以下のインフルエンサーを探した。次にそのインフルエンサーが「Springbone Kitchen」の提供するヘルシー料理に興味があるか、彼らの投稿したコンテンツをチェック。
    「フード・ブロガーは、甘党でデザートに目がない人が多いんです。そういった食べ物の方がブログでは人目を引くんですよね」と彼は語った。

    さらにキャンペーンにマッチしたインフルエンサーを探すために、「New Fork City」のような料理に関するトップアカウントのフォロワーをチェック。「New Fork City」をフォローしている8割のフォロワーが、ニューヨーク在住の人気があるインフルエンサーだと彼は考えた。同レストランが新メニューを出す段階で、キャンペーンに適したインフルエンサーに新メニュー試食会へ招待するダイレクトメールを送る。もちろんレストランは無料で料理を提供する代わりに、インフルエンサーは感想と共に料理の写真を投稿するという暗黙の了解付きだった。

    キャンペーンの早い段階でSam Ecksteinさんは、あるインスタグラマーの「提供された料理を投稿する代わりに、報酬として100ドル(約1万円)をいただきたい」という要望に不意を突かれた。こういった場合の対処法は、彼のように「申し訳ございません。まだ事業を始めたばかりなので報酬は払えないのです。無料で料理を提供するというお約束はまだ有効なので、よろしければご来店ください」と素直に状況を伝えること。このインフルエンサーはレストランに現れて、食事を楽しみ、インスタグラムに料理の写真を投稿してくれたという。

    「Springbone Kitchen」は、このキャンペーンで料理の写真を投稿してくれたインフルエンサーに一度も報酬を支払うことはなかった。インフルエンサーは一般的に写真を無料で投稿してくれやすい。コンテンツを投稿してフィードを更新するためだという。「インフルエンサーがクオリティの高いコンテンツを投稿してくれるのは、報酬を支払われた場合よりもキャンペーンを主催する企業に信頼を置いている場合が多い」と、Sam Ecksteinさんは教えてくれた。


    質の高いコンテンツが、相乗効果を生む

    Sam Ecksteinさんがキャンペーンに招待したインフルエンサーの中に、「NY Foodie(@ny.foodie)」を管理するBruceとMonica Wong夫妻がいる。この夫婦はキャンペーンに参加するためにレストランを訪れてストロベリー・ルバーブ・アイスクリームを試食。4週間後に、料理の写真を4万人のフォロワーに向けて投稿した。この投稿には600いいねと8つのコメントがついたのだ。さらにWong夫妻はこの投稿に#new_fork_cityというハッシュタグをつけて、人気アカウントである「New Fork City」に投稿したコンテンツのリポストを依頼。

    New Fork Cityの共同管理者である20歳のNatalie Landsbergさんによると、彼女と他2人の管理者は、#new_fork_cityというハッシュタグがついた投稿をすべてチェックしているという。

    1週間後、New Fork CityはNY.Foodieが投稿したコンテンツを70万人のフォロワーに向けてリポスト。今回のケースでNew Fork Cityは報酬を要求していないが、依頼を受けて自身のアカウントに写真を投稿する場合、レストランから500ドル(約5万円)を報酬として受け取る場合があるという。近年、アメリカではFTC(米国連邦取引委員会)の取り締まりで、報酬を受け取って写真を投稿する場合は広告であると明記するように厳しく定められている。

    New Fork Cityは報酬を受け取ったときは、スポンサー(sponsored)という意味のハッシュタグ#spを添えてコンテンツを投稿している。
    「トラブルに巻き込まれたくないので、ちゃんと広告かどうかは明記しています。そうすることが、フォロワーに対する責任だということも感じています」とNatalie Landsbergさんは話してくれた。


    まとめ

    New Fork Cityがストロベリー・ルバーブ・アイスクリームの写真をリポストしたことで、Springbone Kitchenは大きく恩恵を受けた。この投稿を見た多くのユーザーが、次の日には店を訪れてストロベリー・ルバーブ・アイスクリームを注文しており、この写真は、
    ・1万6千のいいね
    ・235のコメント
    を獲得している。

    今回のキャンペーンのおかげもあり、今後1年で店の利益は125万ドルに及ぶとSam Ecksteinさんは予想している。しかし彼がインスタグラムから受けた恩恵はそれだけではない。インスタグラムのおかげで企業は情報を発信する場所ができ、顧客と連絡を取り続けることができる。インスタグラムがなければこういった交流も生まれなかっただろう。



    参考:Forbes:How A New York Restaurant Uses Instagram Influencers To Drive Sales http://www.forbes.com/sites/jeffkauflin/2016/09/28/how-a-new-york-restaurant-uses-instagram-influencers-to-drive-sales/#69610d1254c3 

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