2019年は、インフルエンサーマーケティングでより結果を出すために「ストーリーテリングが重要になる年」と言われています。
これまで、多くのブランドはフォロワー数が多い有名インフルエンサーとのタイアップを望んできました。オンラインで活躍する有名インフルエンサーは巨大なファン層を持っているので、多くの人へリーチすることは可能です。ただし、それだけでは高い ROI は期待できません。
インフルエンサーマーケティングの ROI をより高めるために重要なのがストーリーテリングです。そして、インフルエンサーはブランドにとって、ストーリーテリングを実施する上で最適なパートナーと言えます。
今回は、ストーリーテリングの詳細と、ストーリーテリングをインフルエンサーマーケティングに活かすための具体的な戦略について説明します。
目次
- ストーリーテリングとは?
- ストーリーテリングは以前からマーケティングに活用されてきた
- インフルエンサーマーケティング × ストーリーテリング
- インフルエンサーマーケティングにストーリーテリングが有効である理由
- ストーリーテリングをインフルエンサーマーケティングに取り入れる際のポイント
- まとめ
ストーリーテリングとは?
ストーリーテリングは「物語を伝えること」を意味し、書き手が伝えたいことを自分の体験談やエピソードに乗せて聞き手に伝えることを指します。伝えたいことを物語で表現することによって書き手の感情が読み手に伝わり、読み手は強烈に心を動かされます。
インフルエンサーとブランドが協力し、独自性があってオーディエンスに興味を持ってもらうことができるコンテンツの制作を目指した時に初めて、最も質の良いブランドのプロモーションキャンペーンが生まれます。ストーリーテリングはコンテンツに目的を与え、オーディエンスへの影響力を高めます。
顧客は、良いストーリーを持ち、購入のモチベーションを高めてくれるブランドから商品やサービスを購入する傾向があります。すでにオーディエンスとの信頼関係が出来上がっているインフルエンサーは、ストーリーテラー(物語の語り手)として最適です。
ストーリーテリングは以前からマーケティングに活用されてきた
ストーリーテリング自体は、マーケティング界で以前から取り入れられてきた手法です。インターネットが普及する前は、テレビやラジオのコマーシャル、紙媒体の広告などでストーリーテリングが用いられていました。効果的なオフラインのストーリーテリングは、企業の考えをオーディエンスに伝え、商品やサービスとオーディエンスを結びつけます。
この種のマーケティングは、オンラインでははるかに複雑になります。なぜならば、マーケターは企業のメッセージを複数のプラットフォームで展開するからです。企業はメッセージに一貫性を持たせつつ、それぞれのプラットフォームのオーディエンスに合った形にしなければなりません。
Instagram でストーリーテリングを展開するのであれば、Instagram のオーディエンスについてよく知っているインフルエンサーとタイアップするのが一番の近道と言えます。
インフルエンサーマーケティング × ストーリーテリング
多くのブランドがターゲットとする「デジタルネイティブ」と呼ばれる若い世代は、オンライン上で、ニュース、アイデア、知識などを得ることに慣れています。また、この世代は従来の企業広告や押しつけ感のあるマーケティングを嫌うことでも知られています。コンテンツのキャプションに広告と考えられる表現がたくさんあると、オーディエンスは早々にドロップアウトしてしまいます。そこで役に立つのがストーリーテリングです。
基本的に、人は物語が好きです。特に、自分と似たような経験についての話に対しては強い興味を持ちます。インフルエンサーのストーリーは人々の感情に働きかけ、その結果、フォロワーは「いいね!」やシェアなどの行動を起こします。ストーリーテリングはコンテンツを作る上で非常に強力なツールです。
「フォロワーがすでに強い興味を抱いているインフルエンサーが面白いストーリーを語る」
この「インフルエンサー × ストーリーテリング」の組み合わせが、インフルエンサーマーケティングの効果を飛躍的に高めます。
インフルエンサーマーケティングにストーリーテリングが有効である理由
インフルエンサーマーケティングにストーリーテリングが有効である理由は大きく分けて3つあります。
1.人々はストーリーそのものに関心が高い
私たちは子供の頃から絵本や小説で物語に慣れ親しみ、大人になると友人の話に耳を傾けます。子供でも大人でも、魅力的なストーリーには多くの人々が関心を示します。ストーリーテリングは有効なマーケティング手法として以前から活用されてきました。
2.ストーリーによって距離が縮まる
自分が誰かにストーリーを共有して相手が共感を示すと、そこに親近感が生まれます。ストーリーテリングによって相手との距離が縮まって、信頼してもらえるようになり、「その人物からもっとストーリーを聞きたい」と思うようになります。
人気のあるインフルエンサーはストーリーテリングをうまく活用し、自らの日常生活と、商品やサービスを結び付けて、押しつけ感なくプロモーションしています。
3.統計データや事実よりもストーリーの方が馴染みがある
英国のマーケティング情報誌「The Journal of Marketing Theory and Practice」が実施した調査で、SNS に投稿されたコンテンツの成功を決定づける大きな要素は「コンテンツの構造にある」ということが明らかになりました。そして、オーディエンスが最も好むコンテンツは「ストーリー」だということが分かったのです。
人は社会性を持つ生き物です。他人と自分を比べ、他人との繋がりを感じ、他人の気持ちになることは人間の本能と言えます。統計データや事実よりも、感情が人を動かすのは当然のことと言えるでしょう。
ストーリーテリングをインフルエンサーマーケティングに取り入れる際のポイント
インフルエンサーマーケティングにストーリーテリングを取り入れる際にはいくつかのポイントがあります。「インフルエンサーマーケティング × ストーリーテリング」の効果を最大化するためにもぜひ覚えておきたい内容です。
1.目的をはっきりさせる
マーケティングの最終的なゴールは「商品やサービスを販売すること」です。ただし、ストーリーテリングを含んだコンテンツを制作する上で最終的なゴールだけを意識することはあまり有益とは言えません。最終的なゴールを頭の片隅に置きながら、まずは潜在顧客と信頼関係を築く必要があります。
一番大切なのは、潜在顧客であるオーディエンスとの会話です。魅力的なストーリーでオーディエンスの心を掴むことができれば、話に耳を傾けてくれる可能性が高くなります。
2.オーディエンスの気持ちになる
ストーリーテリングをする際は、物語の語り手がなるべくオーディエンスと近い状況になることが理想的です。語り手がオーディエンスと同じ問題や不安を抱えている場合の方が、オーディエンスが親近感を覚えやすくなります。
また、人は抽象的な文章を読むのが好きではありません。インフルエンサーが自らの視点で考えたストーリーを語ることが大切です。そうすることによって読み手に感情移入してもらいやすくなります。
3.オーディエンスの感情を刺激する
ストーリーは、ノスタルジア、ユーモア、称賛、恐れなど、何らかの感情的なリアクションを起こさせるものでなくてはなりません。「ストーリーを聞いたオーディエンスにどのような感情を持ってもらいたいか」というゴールをイメージしながらストーリーを組み立てることが大切です。そして、語り手であるインフルエンサーも自身の感情を交えながらストーリーを伝える必要があります。
4.問題解決のためのシナリオを提供する
オーディエンスが抱える不安や問題に対して、商品やサービスを活用した解決策を提案するのはマーケティングの基本的な概念です。ブランドはオーディエンスの立場になって、彼らがどのような問題を抱えているのかを把握し、問題解決のためのシナリオをストーリーとして提供する必要があります。また、専門家の意見を取り入れるなど、情報を信用してもらうための工夫も大切です。
5.ストーリーをデータで証明する
ストーリーを裏付けるデータがあると、ストーリーに信憑性が増します。ストーリーを考える前にリサーチを行い、ストーリーを裏付けるデータを見つけ、オーディエンスの興味を惹くような情報を提供しましょう。
例えば、次の2つの説明のうち、より説得力があるのはどちらでしょうか。
・今日、セキュリティー侵害は大手企業にとって深刻な問題です
・セキュリティー侵害の60%は大手企業で起きているという事実を知っていますか?
2番目の例の方が論理的で説得力があると言えます。「事実」は顧客の購買行動に大きな影響を与えます。ただし、事実だけではオーディエンスの心は動かせません。あくまでも事実はストーリーの裏付けとして活用するべきです。
6.読み手を冒険の世界に連れ出す
読み手がわくわくするようなブランドのストーリーを伝え、彼らを冒険の世界に連れ出しましょう。例えば、最新のテクノロジーを開発している企業であれば、テクノロジーの歴史や進化について読み手に伝えることによって、企業が発信する情報にさらに興味を持ってくれるようになります。
ストーリーに興味をもったオーディエンスは、その後も企業が発信する情報に関心を持ち続けてくれるでしょう。オーディエンスが一度心を開いてくれれば、商品やサービスを紹介するハードルが低くなります。
7.視覚化する
ソーシャルネットワークが普及し、情報が溢れるネット社会に生きる人々は、それらの情報を処理し、自分の欲しい情報を得る術を知っています。そして、彼らは読書をするようにコンテンツを隅から隅まで読む訳ではなく、面白いコンテンツを求めてすぐに別な場所に移動してしまいます。
長い文章がオーディエンス嫌われてしまうことは明らかですが、「テキストで表現している内容を図表に直し、写真を入れれば関心を持ってもらえる」というほど単純ではありません。
視覚に訴えるコンテンツは読み手の興味を惹きます。イラスト、GIF、インフォグラフィックス、動画など、写真以外にも視覚に訴えることができる手段はたくさんあります。ストーリーを最も魅力的に表現できる方法を選択することが大切です。
特に、若い世代ほど活字よりも動画などの視覚的に分かりやすいコンテンツを好む傾向があります。今後のインフルエンサーマーケティング戦略において、動画での情報やストーリーの発信は必須と言えるでしょう。
まとめ
今回は、ストーリーテリングの詳細と、ストーリーテリングをインフルエンサーマーケティングに活かすための具体的な戦略について説明しました。
ストーリーテリングの良いところは、幅広い年代にアプローチができることです。また、ストーリーによってオーディエンスの感情が動き、その結果、商品やサービスのプロモーションが容易になります。
ストーリーテリングをうまく活用して、ブランド・インフルエンサー・オーディエンスの3者の関係がうまく構築できればインフルエンサーマーケティングは成功するでしょう。
参考:https://theinfluencermarketingfactory.com/top-5-influencer-marketing-trends-in-2019/
https://join.marketing/2018/storytelling/#/
https://www.jeffbullas.com/viral-power-storytelling-content-marketing/
https://thinkmarketingmagazine.com/why-we-should-stop-focusing-on-influencers-and-start-creating/