トラベル&ホテル業界はなぜインフルエンサーとタイアップするのか?

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米国国勢調査局によると、1989年~1995年に生まれた「ミレニアル世代」の人口は8310万人で、これまで人口の多くを占めていた「ベビーブーマー」の7540万人を上回りました。インターネットと親和性が高いミレニアル世代が消費者の中心になったことにより、多くの老舗企業が自社のマーケティング手法を見直し始めました。

トラベル&ホテル業界も従来の広告手法からデジタルマーケティングへと移行し、ソーシャルメディアインフルエンサーとタイアップすることによって、これまでに接触することができなかったオーディエンスへのリーチを獲得しています。

トラベル&ホテル業界はインフルエンサーマーケティングと非常に相性が良い業界と言えます。

今回は、トラベル&ホテル業界がインフルエンサーとタイアップする理由と、業界内でソーシャルメディアを用いたマーケティングの先駆けとも呼べる存在である Marriott ホテルの事例を中心に、トラベル&ホテル業界のインフルエンサーキャンペーンを紹介します。

目次

    1. トラベル&ホテル業界とインフルエンサーマーケティング
    2. 旅行 × 写真 × Instagram
    3. Marriott ホテルの事例
    4. その他の事例
    5. まとめ

トラベル&ホテル業界とインフルエンサーマーケティング

トラベル&ホテル業界がインフルエンサーマーケティングに積極的に取り組む最も大きな理由の一つとして、ソーシャルメディアの「視覚的な効果」が揚げられます。

ソーシャルメディアインフルエンサーは、美しい写真や洗練された動画をプラットフォームに投稿することによって商品やサービスをプロモーションします。視覚に訴える写真や動画はオーディエンスの興味を惹きやすく、トラベル&ホテル業界の新たなプロモーション手法として注目されています。

消費者は、自分の美学にマッチし、理想的なライフスタイルを実現しているお気に入りのソーシャルメディアインフルエンサーをフォローし、コンテンツから直接情報を得ています。

「マッキンゼー・アンド・カンパニー」の調査によると、 信頼できる情報源から商品やサービスについての推薦があった場合、そのうちの50%は人々の話題に繋がると考えられています。TVコマーシャルや有名人に代わって、消費者は自分たちのお気に入りのブロガー、ビデオブロガー、インスタグラマー、ユーチューバーなどから、次の旅行先についてのインスピレーションを得たいと思っています。

ソーシャルメディアインフルエンサーは、彼ら自身の日々の生活や興味をベースにしてコンテンツを制作しています。子育て中の33歳の女性が制作するコンテンツと、24歳の男性ファッションブロガーが制作するコンテンツは内容が全く違い、フォロワーの特徴も異なります。

時には数百万人にも及ぶフォロワーを抱えるインフルエンサーがコンテンツを投稿し、フォロワーがインフルエンサーのコンテンツに対して「いいね!」や、コメント、タグ付け、フォローなどの行動を起こすことによって話題が拡散されていきます。ブランドはインフルエンサーを通じて今までにリーチしたことがないオーディエンス層と繋がることができます。

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旅行 × 写真 × Instagram

トラベル&ホテル業界が特に注目しているソーシャルメディアプラットフォームが Instagram です。写真や動画の投稿を主とする Instagram は「視覚的な効果」が高いソーシャルメディアプラットフォームの代表的存在です。

また、「photography(写真)」というキーワードで Instagram のコンテンツを検索すると306万件、「travel(旅行)」では327万件がヒットすることから、これらのジャンルに対して人々が高い関心を寄せていることが分かります。

「旅行」と「写真」はとても相性が良いカテゴリーで、トラベル&ホテル業界のブランドがInstagram 上で、トラベルインフルエンサー、フォトグラフィーインフルエンサーとタイアップして商品やサービスのプロモーションを展開しています。

世界中の「インスタ映え」する場所をインフルエンサーが共有することによって、フォロワーは旅行を疑似体験することができます。また、Instagram に投稿された美しい景色の写真はコンテンツの視覚的な価値を高めます。

Instagram でインフルエンサーとタイアップしたプロモーションの効果をリアルタイムで目撃したトラベル&ホテル業界のブランドが、デジタルマーケティングの予算を拡大しています。

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Marriott ホテルの事例

Marriott ホテルは、トラベル&ホテル業界の中でもソーシャルメディアを用いたマーケティングの先駆けとも言える存在です。Marriott ホテルのグローバルコンテンツマーケティング責任者の David Beebe さんは次のように話しています。

「コンテンツマーケティングはもはや「ブランド・ファースト」ではありません。オーディエンスの生活に付加価値を与えることができるコンテンツを提供すると、それが結果的に利益となって返ってくるのです。」

トラベル&ホテル業界のインフルエンサーマーケティング事例として、Marriott ホテルがフォトグラフィーインフルエンサーとタイアップしたキャンペーンを紹介します。

キャンペーンの内容:

Marriott ホテルは、フラッシュメモリー製品の製造を中心に行う「SanDisk ヨーロッパ」と共にフォトグラフィーインフルエンサーである Brendan van Son さんとタイアップして、アメリカの「route 66(国道66号線)」を旅するという内容のキャンペーンを実施しました。

今回のキャンペーンは、Marriott ホテルの「Marriott Americas」、SanDisk ヨーロッパの「Speed Up the Flow(フローのスピードアップ)」という、業界が異なるブランドがそれぞれ行っていたキャンペーンのインフルエンサーを Brendan van Son さんが務め、国道66号線を旅する中で2つのブランドをプロモーションするというユニークなものでした。

キャンペーンのゴール:

・Marriott ホテルはアメリカ国内にある自社ブランド系列のホテルを紹介する
・SanDisk ヨーロッパは自社商品の高速メディアストレージ(SSD)をオーディエンスに向けてアピールする

どちらのブランドにとっても、ターゲットとなるオーディエンスのエンゲージメント率向上が最大の目的です。

キャンペーンのアプローチ:

プラットフォーム:Instagram
インフルエンサー:Brendan van Son さん

Brendan van Son さんは Instagram に8万9000人以上のフォロワーを抱え、世界中を旅して撮影した素晴らしい写真の数々を投稿しています。ギリシャ、フェロー諸島、パタゴニア、ジョージアなど様々な場所で撮影した壮大な景色の写真、貴重な一瞬を捉えた写真、美しい自然の中での日常風景を切り取った写真など、思わず目を見張る美しいコンテンツでフォロワーを魅了しています。

Brendan van Son さんは、Marriott ホテルのコンテンツを投稿する際は、国道66号線沿いで撮影した写真に #marriottaamericas、#bvsroute66、#Route66 のハッシュタグを付けました。投稿されたコンテンツは、まるで絵のように神秘的な自然現象やアメリカを象徴するような景色の写真がメインで、キャプションで Marriott 系列のホテルに滞在していることをアピールしました。

また、SanDisk ヨーロッパのコンテンツを投稿する際は #speeduptheflow、#bvsroute66、#Route66 というハッシュタグを付けることによって、SanDisk ヨーロッパの「Speed Up the Flow(フローのスピードアップ)」キャンペーンと関連付けました。

そして、満点の星空の下でパソコンを使って写真の編集や動画ブログの作成をしている様子を投稿し、SanDisk ヨーロッパの高速メディアストレージ(SSD)をプロモーションをしました。

Brendan van Son さんが2つのキャンペーンのために制作したコンテンツは、カジュアルなものから、情熱的で詩的なものまで様々でした。

どちらのキャンペーンの投稿でも、Brendan van Son さんは Instagram のコメント欄を利用してフォロワーの質問に答えたり、フォロワーの日々のサポートへ感謝の気持ちを伝えました。

キャンペーンの結果:

Instagram「いいね!」:17,566
Instagram コメント: 220
Hashtag の使用(#Route66 を含む):1,270,121
エンゲージメント率:2.89%

おすすめ記事:成功を収めた旅行業界のインフルエンサーキャンペーン事例7選

https://lmnd.jp/blog/travelindustrycasestudy7

その他の事例

Marriott ホテルだけではなく、多くのトラベル&ホテル業界のブランドがマーケティング戦略にインフルエンサーとのタイアップを取り入れています。今回はその例として、St. Regis ホテルと、旅行会社である New Zealand Board of Tourism の事例を簡単に紹介します。

デジタルメディアの普及により、YouTube や Instagram、Snapchat といったソーシャルメディアは消費者へリーチするプラットフォームとして最適だと言われています。

St. Regis ホテルの事例

家族をテーマにしたブログ「Love Taza」を運営するインフルエンサーの Naomi Davis さんはSt. Regis ホテルとタイアップし、父の日の週末に合わせて「Monarch リゾート」をプロモーションしました。「A Weekend at Monarch Beach(Monarch ビーチで過ごす週末)」というタイトルのブログ投稿には一家で滞在を楽しむ写真が複数アップされ、オーディエンスは自然と親しい友人一家から良いホテルを勧められているような気分になります。また、St. Regis ホテルは Naomi Davis さん一家とタイアップすることにより、これまで St. Regis ホテルを「家族向けのホテルではない」と思っていたオーディエンスに向けてプロモーションすることに成功しました。

New Zealand Board of Tourism の事例

アドベンチャーブロガーの Devin Graham さんは、元々は映画製作を勉強する学生でしたが、スマートフォンで撮影した動画を YouTube にしたことから有名になりました。 Devin Graham さんはニュージーランドの旅行会社である「New Zealand Board of Tourism」とタイアップしました。YouTube にアップされた動画は270万回以上再生され、その他の投稿や動画を含めると、広告価値は400万ドル(約4.4億円 / 1ドル110円計算)に近くになり、New Zealand Board of Tourism のそれまでのキャンペーンの中で最大の成功を収めました。

おすすめ記事:IGCとUGCを組み合わせたAirBnB(エアビーアンドビー)のインフルエンサーマーケティング戦略

https://lmnd.jp/blog/influencer-marketing-strategies-of-airbnb

まとめ

Instagram を中心としたソーシャルメディアプラットフォームを用いたインフルエンサーマーケティングは、視覚に訴えることによってオーディエンスの興味を惹きやすい新たなプロモーション手法として注目されています。

Marriott ホテルのような大手ブランドがインフルエンサーとタイアップしてユニークなプロモーションを展開することによってトラベル&ホテル業界内で話題となり、次々と新しいブランドがインフルエンサーマーケティングに参入しています。

世界中を旅して美しい写真や動画を含んだコンテンツを提供するトラベルインフルエンサー、フォトグラフィーインフルエンサーの需要は今後益々高まっていくでしょう。

 

参考:http://mediakix.com/2015/08/travel-hospitality-brands-marketing-with-social-media-influencers/#gs.11h0dd https://contentmarketinginstitute.com/2015/08/marriott-influencer-marketing/ http://mediakix.com/2018/09/influencer-marketing-case-study-marriott-sandisk-instagram-travel-photography/#gs.11xvry https://stoppress.co.nz/news/one-trip-25-million-worth-advertising-tourism-new-zealands-social-studies-pay

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