ティファニーによる「普通ではない」インフルエンサーとのタイアップ戦略とは?

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大手高級ジュエリーブランド「ティファニー社」といえば、有名モデルやハリウッド俳優などといったセレブによる広告が印象的ではないでしょうか。ハイエンドなアクセサリーを宣伝するにはラグジュアリーなジュエリーが似合うブランドパートナーがタイアップ相手としてふさわしく、またターゲットとなる人口統計も裕福な層をイメージするかと思います。

しかし、今回ティファニーがインフルエンサーマーケティングキャンペーンを行うにあたって選んだインフルエンサーパートナーは、普通では高級ジュエリーの広告塔には適さないような存在でした。

Jack Morris(@doyoutravel)さんは27歳のトラベルインフルエンサーで、自身の周りの素晴らしい景色を味わうボーイッシュな魅力で人気があります。フィリピンでロープアクションをしたり、トルコの丘をスケートボードで走ったり、ギリシャの海の崖からジャンプするなど、生き生きとしたアクションショットがファンに支持され、インスタグラムには280万人のフォロワーが存在します。

Morrisさんのようなカジュアルで親近感溢れる雰囲気を持ったインフルエンサーは、ミレニアル世代をターゲットにした製品を販売するブランドがインフルエンサーマーケティングを行う際にタイアップするのにふさわしい候補です。Morrisさんが高級ブランドのインフルエンサーとしても適していることはあまり知られていないため、Morrisさんがハイエンドジュエリーブランドのティファニー社とタイアップしたことは驚くべき結果を生みました。

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目次

  1. Jack Morrisがティファニー社の完璧なタイアップインフルエンサーである理由とは?
  2. ターゲットオーディエンスの興味、関心を狙う戦略
  3. ティファニー社はMorrisさんをベルギー旅行に招待
  4. ブランドとインフルエンサーの共通点を意識したキャンペーンの組み立て方とは?
  5. キャンペーン結果
  6. まとめ


  7. Jack Morrisがティファニー社の完璧なタイアップインフルエンサーである理由とは?

    ティファニー社はインフルエンサーのJack Morrisさんとタイアップすることで、ミレニアル世代の顧客を獲得したいと考えていました。Morrisさんはミレニアル世代のインフルエンサーであり、そのオーディエンスも大多数が同じミレニアル世代です。

    「ミレニアル世代はティファニーブランドの製品を買う金銭的余裕があるのか?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、公式ページティファニー.comにアクセスして「250ドル以下」のアイテムページに移動すると、手頃な価格のジュエリーを簡単に見つけることができます。

    高級ジュエリーブランドとして有名なティファニー社に、手頃な価格の製品があるということはあまり知られていません。そのため、ティファニー社はインフルエンサーマーケティングでJack Morrisさんとタイアップし、ミレニアル世代を中心とした幅広いオーディエンスにリーチすることで、手頃な価格のティファニーブランド製品を知ってもらいたいと考えていました。

    インフルエンサーマーケティングキャンペーンの1つのゴールとして「比較的リーズナブルな価格のブランドジュエリー」の認知度をアップすることがあったため、Morrisさんはティファニー社にとって完璧なタイアップ相手です。また、ほかにもMorrisさんがティファニー社に適している理由があります。

    ターゲットオーディエンスの興味、関心を狙う戦略

    インフルエンサーマーケティングキャンペーンに対するティファニー社のアプローチは、ハイエンドブランドのイメージを維持しながら、手頃な価格の商品を宣伝することではなく、より深いレベルでオーディエンスとつながることに重点を置いています。

    「ミレニアル世代(およびJack Morrisさんのオーディエンス)はティファニーのグッズを買いますか?」という質問には、「Morrisさんのオーディエンスは高級品を持ちたいのかどうか」という2番目の意味があります。MorrisさんのInstagramフィードでは新しい体験に夢中になっている若い旅行者に畏敬の念を示していますが、Morrisさん自身はリゾートホテル「Four Seasons Bora Bora」や「Ritz-Carlton」といったの5つ星ホテルやヴィラに一貫して滞在することで、高級品と豪華な経験に明確な関心を示しています。

    Morrisさんの過去のスポンサーシップでは、オメガ、アメリカンエクスプレス、およびランドローバーとのインフルエンサーマーケティングパートナーシップが含まれており、彼の趣味を強く反映しています。Morrisさん自身と、おそらくそのオーディンスは、贅沢な体験に興味を持っています。

    ティファニー社はMorrisさんをベルギー旅行に招待

    Jack Morrisさんとティファニー社のインフルエンサーマーケティングパートナーシップは、ベルギーにあるブランドのダイヤモンドグレード施設のテラスから始まります。ティファニー社はインフルエンサーマーケティングキャンペーンの一環として、ベルギー旅行にMorrisさんを招待し、ブランドとしてのティファニー社の精巧さと、ハイエンドな経験に対するMorrisさん自身の親和性の両方を表す体験をインスタグラムアカウントに投稿してもらいました。

    ティファニー社のインフルエンサーマーケティング戦略は、MorrisさんのフォロワーがMorrisさんのインスタグラムページを見ることで、贅沢なベルギー旅行を間接的に体験できるように組み立てられていました。Morrisさんとそのオーディエンスは明らかに贅沢さに興味があるため、ティファニー社にエンゲージメントしやすく、関連性の高い人口統計として位置づけることができます。

    2017年の調査では、人々はますますブランドを信用しなくなり、消費者の36%が大企業を「ごくわずかしか信じていない」という結果が報告されました。インフルエンサーが「独自の観点からブランドについて語る」という事実は非常に重要であり、Morrisさんがティファニー社を信頼していると明言する声は、彼のオーディエンスにもブランドを信頼してもらい、高く評価させることができるという点で効果的です。

    ティファニー社のインフルエンサーマーケティングチームは、高品質の商品とMorrisさんに共通する価値があることを強調しています。Morrisさんはこの共有価値に基づいて、ティファニー社をオーディエンスにとって「親近感のある存在」として紹介することに成功しています。

    ブランドとインフルエンサーの共通点を意識したキャンペーンの組み立て方とは?

    Jack Morrisさんとティファニー社は、「品質・環境への責任・ソーシャルグッド」という3つの共通価値観に沿ってインフルエンサーマーケティングキャンペーンを展開しています。

    ティファニー社は、ジュエリーブランドとして高級品を製作することで存在し、社会的および環境的に責任のある製造業であることを公に宣伝しています。また、Morrisさんのインスタグラムフィードは、高級ブランドとの以前のパートナーシップ、5つ星の別荘への頻繁な滞在、地域コミュニティや動物保護施設への旅行など、3つの価値すべてへの投資を示しています。

    環境への責任
    環境保護への取り組みの一環として、2000年にティファニー社は、環境に配慮した宝石の採掘やサンゴの保護など持続可能性への取り組みに焦点を当てたティファニー財団を設立しました。同社は環境価値を重視した活動を行っているMorrisさんを発見し、共通価値を見出したためインフルエンサーマーケティングパートナーに選びましたが、一見「ミレニアル世代」という高級ジュエリーブランドのターゲットオーディエンスには異色と思われる相手でも、キャンペーンの方向性が合致すればインフルエンサーマーケティングは成功することを示しました。

    したがって、当然のことながら環境に準拠している国とリサイクルされた供給源からのみダイヤモンドと金属を採掘することから始まるティファニー社の責任ある採掘作業について、Morrisさんは招待された旅を通して内観を行っていました。

    Morrisさんは「グレーディングプロセスだけでなく、社会的および環境的責任を促進するために非常に重要なティファニーストーンの持続可能な調達方法についても学びました。これは、僕のファンにもシェアしたい情報です。」と言及しています。

    ソーシャルグッド
    環境への取り組みと併せて、ティファニー社は独自の慈善寄付プログラムを通じてダイヤモンドを調達および製造している地域社会に貢献するための取り組みを行っています。ティファニー社は定期的に莫大な慈善寄付を行い、2015年には非営利財団に320万ドルを寄付しました。ティファニー社と同様にMorrisさんも、規模は小さいですが慈善家であり、訪問する国の地域社会と定期的に関わっています。

    インフルエンサーマーケティングキャンペーンの一環として、Morrisさんはティファニー社のマーケティングチームと一緒にモーリシャスという東アフリカの島国で労働者としての時間を体験しました。滞在中、Morrisさんはダイヤモンドの研磨プロセスを観察し、参加しただけでなくモーリシャスの文化についてもっと学び、数人の地元の人たちと一緒にボートで出かけました。

    ソーシャルグッドに対するMorrisさんの関心は、多くのミレニアル世代が共有する価値観と同じです。ある研究結果では、ミレニアル世代の91%がブランドを選ぶ際に環境保全を重視するブランドを意識し、また同じくミレニアル世代の62%が社会的責任感のある企業で働くために給与を削減することをいとわないという事実が報告されました。

    キャンペーン結果

    ティファニー社とMorrisさんにとって、ミレニアル世代のコミュニティに関わることは非常に重要であり、Morrisさんは自身のファンのソーシャルグッドに対する共通の関心についてシェアしています。こういったソーシャルグッドの観点から、Morrisさんはフォロワーに対して「他の同等の手頃な価格のジュエリーよりもティファニーを選ぶ理由」として巧みに伝えています。

    純粋に定量的な観点から見ると、高級ジュエリーブランドとしてミレニアル世代のインフルエンサーとタイアップしたインフルエンサーマーケティングキャンペーンはティファニー社にとって印象的なパフォーマンスを生み出しています。

    合計で、Morrisさんのインスタグラムに投稿した3つのスポンサードコンテンツは、
    ・合計234,000件を超えるいいね
    ・1,600件以上のコメント
    を獲得しました。

    さらに、スポンサードコンテンツとして投稿されたYouTubeビデオは、これまでに3万9,000回以上の視聴回数を集め、3,000件近くのコメントを得ています。

    まとめ

    ティファニー社がミレニアル世代をインフルエンサーマーケティングパートナーに選んだ事例を紹介しました。

    今回のティファニー社によるインフルエンサーマーケティングキャンペーンは、同社が扱う製品の中でもリーズナブルな価格のジュエリーをミレニアル世代を中心に知ってもらい、自社ブランドの印象を親近感のあるものに変えることを主なゴールとしています。そのため、環境への配慮を重んじる考え方が多いミレニアル世代へ向けて、ソーシャルグッドの観点からティファニー社の取り組みを紹介することで認知度をアップさせる戦略が行われました。

    Jack Morrisさんはミレニアル世代でありながら、高級品や贅沢な体験に関心のあるインフルエンサーであり、慈善活動家としての側面を持っていたため、ティファニー社にとって最適なタイアップ相手となっています。

    一見、高級ブランドに適さないようなインフルエンサーでも、インフルエンサーマーケティングキャンペーンのターゲットとゴールを明確に決定し、慎重にインフルエンサーを選ぶことで見違えるような成功につながります。

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    参考:https://mediakix.com/blog/luxury-brand-marketing-case-study-tiffany-and-co/

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