ソーシャルメディアを使用したインフルエンサーマーケティングキャンペーンにはさまざまな指標があります。そのうちの一つである「いいね率」は、コンテンツのクオリティだけではなく、インフルエンサーとそのオーディエンスがどれほど魅力的であるかを判断する材料になります。
しかし、必ずしも「いいね率が低いインフルエンサーはパフォーマンスが低い」ということにはなりません。インフルエンサーマーケティングに関わるマーケターは、いいね率の仕組みを正しく理解し、インフルエンサーのパフォーマンスを評価しなければなりません。
今回は、いいね率の定義と、いいね率が意味すること、また、いいね率が高いインフルエンサーについて分かりやすく紹介します。
インフルエンサーマーケティングにおけるもう一つの重要な指標である「オーディエンス品質スコア」についてはこちらの記事で紹介していますので併せてご覧ください。
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目次
いいね率とは?
いいね率は、一つのコンテンツに対して付いた「いいね!」の数をフォロワーの数で割ったもので、コンテンツへの反響を測る指標の一つです。「いいね率」を知ることによって、コンテンツのクオリティや、インフルエンサーとそのオーディエンスの魅力度も推測することができます。
いいね率について、一つ例を見てみましょう。こちらは、ドイツのファッションとライフスタイルインフルエンサーであるCaro Daurさん(@carodaur)がインスタグラムに投稿したコンテンツです。
https://www.instagram.com/p/Bv_ONnhlHxL/?utm_source=ig_embed
Caro Daurさんは、上記のコンテンツをインスタグラムに発表した日に29,781件の「いいね!」を獲得しました。その時点で、Daurさんには98万1,215人のフォロワーが存在しました。
いいね率の計算は次のようになります。
いいねの数 ÷ フォロワー数 × 100 = いいね率
つまり、29,781 ÷ 981,215 × 100=3.04%が、このコンテンツのいいね率ということになります。この例では特定のコンテンツのいいね率を挙げましたが、一般的にインフルエンサーの平均いいね率は、インフルエンサーとそのフォロワーのエンゲージメントを全体的に理解するために、一定期間内の「いいね!」数の平均に基づいて算出されます。
いいね率が高いインフルエンサーとは
いいね率はフォロワー数をベースとして算出されるため、一般的にフォロワー数が多いインフルエンサーのいいね率は低くなる傾向にあります。
例えば、インスタグラムに100万人のフォロワーを持つ有名インフルエンサーがコンテンツを投稿した場合、フォロワー全員がそのコンテンツを閲覧しているとは限りません。コンテンツを定期的にチェックするフォロワーの数は、フォロワーが多ければ多いほど減っていく傾向にあります。そのため、「いいね率が低いインフルエンサーはパフォーマンスが悪い」と一概に言うことはできないのです。
しかし、インフルエンサーマーケティングに投資をしているブランドが、より少ない予算でより高い成果を上げたいと思うのは当然のことです。そこでおすすめしたいのが、フォロワー数は少ないけれど、「いいね!」やコメントなどのアクションをしてくれるエンゲージメントが高いフォロワーを多く持つ「マイクロインフルエンサー」と呼ばれるインフルエンサーとタイアップすることです。
マイクロインフルエンサーには次のような特徴があります。
・ソーシャルメディアのフォロワーは1万人~10万人
・特定の分野で強い影響力を持つ
・フォロワーとの結びつきが非常に強い
・1回のスポンサーコンテンツの投稿にかかる費用は比較的安い
マイクロインフルエンサーは、ニッチな分野で強い影響力を持ち、インフルエンサーの熱心なファンであるフォロワーと信頼関係で結ばれています。そのため、インフルエンサーがコンテンツを投稿すると「いいね!」やコメントなどのアクションをするフォロワーが多いのです。
しかし、マイクロインフルエンサーには、影響力を与えることができる範囲が非常に狭いというデメリットもあります。インフルエンサーマーケティングでは、いいね率が高い複数のインフルエンサーと同時にタイアップする手法が一般的で、そうすることによってマイクロインフルエンサーのデメリットをカバーすることができます。結果的に、ブランドは費用対効果が高いインフルエンサーマーケティングキャンペーンを展開することが可能になります。
インフルエンサーマーケティングにおけるいいね率の低下
インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「InfluencerDB」による社内調査で、2019年の各カテゴリのいいね率が2018年に比べて減少していることが分かりました。
これは、インフルエンサーマーケティング業界が成熟期に入っていることを意味します。ソーシャルメディアにはさまざまなブランドのスポンサードコンテンツが溢れ、ユーザーがコンテンツを見る目も厳しくなっています。
今後、インフルエンサーマーケティングキャンペーンを成功させるためには、エンゲージメントの高いフォロワーを持ち、ブランドにとって適切なインフルエンサーをビジネスパートナーとして選択することがこれまで以上に求められるようになります。
ブランドにとって適切なインフルエンサーとは、タイアップするブランドやプロモーションする商品を心から愛し、情熱を持ってそれをフォロワーに伝えることができる人物です。インフルエンサーが「本心で」ブランドや商品を推薦していれば、インフルエンサーが作成するコンテンツも質の高いものになり、多くのユーザーから共感を得て、たくさんの「いいね!」をもらうことができるでしょう。
偽フォロワーやBotによる「いいね!」には注意が必要
近年、Bot(機械)によって自動的に「いいね!」の数を増やしてコンテンツの価値を高めようとする「インフルエンサーマーケティング詐欺」が増えています。また、お金で買った偽のフォロワーも存在し、インフルエンサーマーケティングに携わるマーケターを悩ませています。フォロワーや「いいね!」の数はインフルエンサーの市場価値に直結するため、残念ながら不正行為をするインフルエンサーも存在するのが現状です。
タイアップ候補のインフルエンサーが見つかったら、インフルエンサーが過去にタイアップしたブランドやコンテンツの内容を確認して、「真にいいね率が高いインフルエンサー」を見極めることを意識しましょう。
インフルエンサーはインターネット検索などで自力で探す事もできますが、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「LMND(レモネード)」やエージェントを通じておすすめのインフルエンサーを紹介してもらうのも一つの手段です。
まとめ
今回は、いいね率の定義と、インフルエンサーマーケティングキャンペーンにおける活用方法を紹介しました。
いいね率はインフルエンサーやインフルエンサーマーケティングキャンペーンのパフォーマンスを測る大切な指標ですが、いいね率だけでは分からないこともあります。インフルエンサーのパフォーマンスは、いいね率、コメント数、コメントの内容、コンテンツのシェア数などから総合的に判断しましょう。
そして、パフォーマンスが良いインフルエンサーと長期契約を結び、ブランドのファンになってもらい、ブラントとインフルエンサーの間に信頼関係が生まれたら、いいね率やその他のキャンペーン指標にも良い影響を与えるようになるでしょう。
参考:https://blog.influencerdb.com/engagement-like-follower-ratio-explained/
https://cdn2.hubspot.net/hubfs/4030790/MARKETING/Resources/Education/E-
Books/Influencer%20Marketing%20Benchmarks%20Report%202019/InfluencerDB_Influencer-Marketing-Benchmarks-Report-2019.pdf